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2019年度第二種試験問題 核融合反応

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

先日、2019年度第二種試験の物理問11Ⅱの問題について記事にしました。64Cuの壊変図式に関する問題です。この物理問11の問題では、Ⅰに核融合反応に関する問題が出題されています。

以下の問題です。

 


2019年度第二種試験物理問11Ⅰ

正の電荷を持つ原子核は原子の中心にあり、正電荷を持つ陽子と電荷を持たない中性子によって構成されている。両者の質量を比較すると、(A)。陽子1個と中性子1個は、核力によって強く結合して重水素原子核を形成する。この質量は、陽子の質量と中性子の質量の和よりも(B)、その差、2.2MeVは結合エネルギーと呼ばれる。原子核の安定度は、結合エネルギーを核子数で除した核子当たりの結合エネルギーの値で比較される。質量数20以上では(C)の核子当たりの結合エネルギーが最大となり、最も安定である。

ここで、重水素原子核2個から、3He原子核1個と(D)1個が生成する核融合反応を考えてみる。3He原子核核子当たりの結合エネルギーは2.57MeV/核子であるので、この核融合反応によって放出されるエネルギーは、反応当たり(E)MeVとなる。


 

(A),(B),(C)は基本問題ですので、必ず正答できるようにしておきましょう。

陽子や中性子、電子の質量は是非暗記しておきたい値です。

陽子の質量(静止エネルギー) : 1.6726×10-27kg  (938.3MeV)
中性子の質量(静止エネルギー): 1.6749×10-27kg  (939.6MeV)
電子の質量(静止エネルギー) : 9.1×10-31kg  (0.511MeV)

 

平均結合エネルギー(結合エネルギーを核子数で除した核子当たりの結合エネルギー)は質量数がおよそ60のFe付近までは質量数とともに上昇しその後は減少します。

以下の図の形状、また平均結合エネルギーの最大値(およそ8.8MeV)は覚えておきましょう。また、Heでも極大(およそ7MeV)になることも覚えておきましょう。

 イメージ 1

 

この物理問11Ⅰの問題では、(D)はともかく,(E)は第二種試験では難しかったかもしれません。

重水素原子核2個から3Heと中性子を生成する核融合反応(D-D反応)における放出エネルギーを計算する問題です。

(D)は核融合反応について知らなくても、重水素2個から3He 1個が生成することが問題文に書かれてありますので、左辺と右辺の質量数、原子番号の数を等しくなるように反応式を組み立てれば、(D)が中性子1n)が正答であることは容易に分かります。反応式は以下のとおりです。

 f:id:radioisotope_f:20191217105033g:plain

この問題は2015年度の第一種試験物化生問2Ⅰ,Ⅱでも類似の問題が出題されています。

重水素2個の核融合反応はD-D反応と呼ばれ、重水素三重水素トリチウム)の核融合反応であるD-T反応と並び第一種試験では時々出題されています。(D-D反応、D-T反応の記事参照)

(E)は正答できなくても、(A)から(D)までは確実に正答しておきたい問題です。