ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
これから放射線の資格取得を目指す人に対して放射線の種類について数回にわたって記事にしてきました。
放射線を学び始めると、α線はヘリウム4Heの原子核、β線は原子核から放出される電子、γ線は原子核から放出、X線は原子から放出といったように、原子や原子核といった用語が頻繁に出てきます。原子や原子核の理解なくしては放射線取扱主任者試験の合格も難しくなりますので基本的なことはしっかりと勉強して暗記するようにしましょう。
原子や原子核に関しては高校の物理や化学でも学びますので、知識があやふやな人は今のうちに高校物理、高校化学の復習をしてしっかりと基本を押さえるようにして下さい。本ブログでも以下の記事で原子や原子核について記載しています。
原子や原子核に関して2019年度の実際の試験ではどのような問題が出題されたかを見てみましょう。
第一種試験では物理問3で出題されました。
2019年度第一種試験物理問3
次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 同重体は、質量数が互いに等しい。
2 核異性体は、核内の陽子の数と中性子の数が互いに入れ替わっている。
3 原子核の半径は、質量数の2/3乗に比例する。
4 原子の半径は、軌道電子数に比例する。
5 同位体は、核内の中性子数が互いに等しい。
上記に記載した本ブログでの記事、原子の構造に関する問題や原子の構造に関する問題②はこの物理問3に類似する問題です。原子や原子核に関する問題では核異性体についてもよく出題されています。こちらもしっかり押さえておく必要があります。
第二種試験では物理問1で壊変に絡めて出題がありました。
2019年度第二種試験物理問1
放射性壊変に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A β+壊変により、原子核から陽電子が放出される。
B EC壊変により、原子核から特性X線が放出される。
C 内部転換により、原子核からニュートリノが放出される。
D 自発核分裂により、原子核から中性子が放出される。
壊変も放射線を学ぶ上では基本になりますので、放射線を学び始めた人もこれから勉強しながら暗記していかなくてはなりません。
また、第二種試験では物理問11Ⅰでも原子、原子核に関する問題が出題されました。
この問題は良い問題だと思います。前半部分は基本的な内容ですのでしっかりと勉強して覚えるようにしましょう。
原子、原子核に関する問題では、この物理問11Ⅰの前半部分のように陽子や中性子などの質量に関する問題、結合エネルギーに絡めた問題、そして質量欠損に関する問題などがよく出題されています。
陽子や中性子、電子の質量や静止エネルギーは覚えておくと得点に繋がりますので暗記しておくことが大切です。
陽子の質量(静止エネルギー) : 1.6726×10-27kg (938.3MeV)
中性子の質量(静止エネルギー): 1.6749×10-27kg (939.6MeV)
電子の質量(静止エネルギー) : 9.1×10-31kg (0.511MeV)
また、平均結合エネルギーは質量数がおよそ60のFe付近までは質量数とともに上昇しその後は減少します。平均結合エネルギーの最大値はおよそ8.8MeVであることも覚えておきましょう。(結合エネルギーの記事参照)
第二種試験物理問11Ⅰの後半部分は重水素原子核2個から3He原子核を生成する核融合反応における放出エネルギーを計算する問題です。
第二種試験では少し難しかったかもしれませんが、この問題は2015年度の第一種試験物化生問2Ⅰ,Ⅱでも類似の問題が出題されています。
重水素2個の核融合反応はD-D反応と呼ばれ、重水素と三重水素(トリチウム)の核融合反応であるD-T反応と並び第一種試験では時々出題されています。(D-D反応、D-T反応の記事参照)
放射線取扱主任者試験では出題範囲も広く、また覚えることもたくさんあります。
少しずつコツコツと勉強を積み重ねることで知識も増えていきますので、今はまだ分からないことが多くても慌てる必要はありません。
毎日の勉強の継続により基本的なことからしっかりと学んでいきましょう。