放射線取扱主任者試験に合格しよう!

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過去問題の活用法

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
昨年末の記事で
「過去問題をどのように解くかによってその過去問題から得られる情報、知識は変わってきます。試験勉強として過去問題を解く際には、その問題で問われていることではなくても問題文中に出てくる核種や用語などについても意味を考えながら、そして重要なことは覚えながら勉強していくことを心掛けて下さい。より理解が深まり実力を養うことができます。」
と記載しました。
そして、平成30年度(2018年度)の物化生の試験の問1Ⅰに関して後日追記の記事を掲載しますと書きましたので、今日は平成30年度物化生問1Ⅰについて少し触れたいと思います。
 今年度平成30年度(2018年度)の物化生の試験の問1Ⅰでは反跳エネルギーに関する問題が出題されました。以下のような問題でしたね。

2018年第一種放射線取扱主任者試験物化生問1Ⅰ
質量数147の原子核がα壊変してエネルギー2.3MeVのα粒子を放出した。このとき、娘核である反跳核の運動エネルギーは(ア)MeVである。一方、質量数210の原子核がα壊変するときの壊変エネルギーが5.4MeVであれば、放出されるα粒子のエネルギーは(イ)MeVである。
質量数60の原子核が1,333MeVのγ線を放出するとき、原子核が受ける反跳の運動エネルギーは(ウ)keVである。
質量数11の炭素原子核が(A)壊変するとき、放出される(A)線のエネルギーは最大で(エ)MeVである。ただし、親核、娘核、並びに電子の質量を原子質量単位で、それぞれ11.01143u、11.00930u、0.00055uとする。
前半のα壊変時の反跳エネルギーを求める問題は放射線取扱主任者試験では、物理、化学、物化生の試験でよく出題されていますので必ず解けるようにしておいて下さい。
本ブログではα線放出に伴う反跳エネルギーの記事に記載してあります。
 
また、γ線放出時の原子核が受ける反跳エネルギーはホットアトムに関する問題です。
本ブログではホットアトムの反跳エネルギーの記事に記載してあります。
 https://radioisotope-f.hatenablog.com/entry/65671051

さて、本問題では
・質量数147の原子核
・質量数210の原子核
・質量数60の原子核
が出題されてますが、それぞれ何の核種になるか分かりますか?
問題を解く上で核種が何であるか分からなくても正答は導くことはできますが、復習するときはこれらの核種が何であるかはしっかりと勉強しておきましょう。

放射線取扱主任者試験の勉強をしていて質量数147の核種ですぐに思い浮かぶ核種は何でしょうか?147Pmではないでしょうか。
 147Pm:β-壊変 半減期2.6年 224keVのβ線のみ放出
は是非暗記しておきたいことです。

しかし、本問題では 質量数147の原子核がα壊変すると書かれてありますので、147Pmとは異なります。
質量数147でα壊変する核種として放射線取扱主任者試験ではサマリウムSmを覚えておきましょう。Smは天然放射性核種として出題されることがあります。
 
壊変系列をつくらない放射性核種として以下のものは覚えてきましょう。
  40K 87Rb 115In 138La 144Nd 147Sm 176Lu 180W 187Re 190Pt 210mBi

本ブログでは天然放射性核種の記事に記載してあります。
 https://radioisotope-f.hatenablog.com/entry/65656788

では、本問題では質量数210の原子核は何かわかりますか? 正解は210Poですね。

210Poはウラン系列に属する核種として重要で試験にもよく出題されています。

本ブログでも重要核種としてポロニウム記事にも記載しています。
 
また、210PoはRa-DEF線源としても重要です。
本ブログの記事にも記載しています。
 https://radioisotope-f.hatenablog.com/entry/66043696

質量数60の原子核は簡単ですね。60Coです。
60Coは放射線取扱主任者試験では超重要核種です。
本ブログのコバルト(60Co、57Co)の記事に記載しています。
 
質量数11の炭素原子核11Cですが、これはPET製剤として非常に重要な核種です。
本ブログの陽電子放射断層撮影(PET)製剤の記事に記載しています。
 
過去問題をしっかりと活用することが合格への近道です。できるだけ多くの過去問題を解くことで実力を付けて下さい。