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コンプトン散乱の公式

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

先週、近年の放射線取扱主任者試験における出題傾向をまとめた記事を掲載いたしました。過去問題を見てみると物理の試験では光子と物質の相互作用のひとつであるコンプトン散乱の計算問題が第一種試験、第二種試験ともによく出題されています。

 

コンプトン散乱

 光子が電子と衝突し入射光子の振動数より小さな振動数の光子が散乱する現象

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コンプトン散乱で覚えておきたいことは、
・コンプトン散乱は光の粒子性を示す現象である
・入射光子と軌道電子との弾性散乱といえる
・コンプトン散乱後の散乱光子の波長は入射光子の波長よりも長い
・コンプトン散乱が起こると特性X線またはオージェ電子が放出される
・コンプトン散乱における原子当たりの断面積は原子番号に比例する
など

光子が物質と相互作用を起こし、コンプトン散乱が起こった場合の散乱光子のエネルギーを表す以下の公式は超重要公式です。必ず暗記しましょう。
エネルギーを代入するときの単位はMeVであることに注意しましょう。
 
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式中のm・c2は電子の静止エネルギーを表し0.511MeVとなり、角度θは散乱光子の散乱した角度になります。
 
その他にもコンプトン散乱に関連する重要な公式がいくつかありますので必ず暗記して使えるようにしておいてください。

コンプトン電子のエネルギーEe
 

散乱光子の波長λと入射光子の波長λ0の差
 

 

コンプトン散乱の問題ではコンプトンエッジも時々出題されることがあります。
2019年度第一種試験の物理の試験でも出題されています。
物理問18
γ線スペクトロスコピーにおいて、コンプトンエッジと全吸収ピークとのエネルギー差は、入射光子のエネルギーが大きくなると、次のどの値{MeV]に近づくか。
2017年度第一種試験でも出題されました。
物理問17
NaI(Tl)γ線スペクトロメータにより、エネルギー未知のγ線の波高分布スペクトルを測定したところ、全吸収ピークが600チャネルに、コンプトンエッジが400チャネルに観測された。この場合のγ線エネルギー[keV]として、最も近い値は次のうちどれか。ただし、このスペクトロメータの零点調整はなされている。
 
コンプトンエッジ(コンプトン端)はコンプトン散乱が起こった場合に、波高スペクトルにおいてコンプトン電子の最も高いエネルギーの位置付近に観測されます。
コンプトンエッジに関しては以下のブログ記事でも掲載していますのでご覧下さい。

 コンプトンエッジに関する問題

 

第二種試験でのコンプトン散乱に関する問題は、過去ではほとんどが以下の公式を用いる基本的な問題です。公式をしっかりと暗記し自分で計算できるようにしておけば必ず得点できる問題です。

 
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2019年度第二種試験の物理の試験で出題されたコンプトン散乱に関する問題は以下のような問題でした。

物理6

137Cs線源からのγ線が物質に入射してコンプトン効果を起こした場合、次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A コンプトン効果は光子の波動性を示す現象である。
B 散乱光子のエネルギーは331keVを超えない。
C γ線の入射方向から180°方向に散乱される光子のエネルギーは約184keV

   である。
D 反跳電子のエネルギーは480keVを超えない。

 

第二種試験におけるコンプトン散乱に関する記事は以下のブログ記事でも掲載していますのでご覧下さい。

 第二種試験のコンプトン散乱

 

計算問題の公式は暗記しても自分でその式を利用できなくては意味がありません。

過去問題を解く中で使い方を覚えていくことが大切です。最初は公式の使い方が分からなかったり間違えたりで構いません。少しずつ理解していくことが大切です。

 

試験勉強では、計算問題によらずどのような問題でも何度も間違えながら、その都度解説を読み、自分がなぜ間違えたのか、何を理解していなかったのか、何を暗記していなかったのかを復習しながら、少しずつでも理解していくこと、暗記していくことを増やしていくことが重要です。失敗から学んでいくことが大切です。

 

試験勉強ではいくら失敗しても大丈夫です。努力により失敗を成功に変えていくことで本番の試験では必ず合格という目標を達成することができます。