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2020年度第二種試験問題総評 物理編

2020年度第二種試験総評

【物理】

問1は核子当たりの結合エネルギーに関する計算問題です。質量欠損の計算ができれば正答できます。2021年度物理問3、2017年度管理技術Ⅱ問2でも同様の問題が出題されています。

問2は壊変に関する問題です。壊変後の生成核種の原子番号、質量数がどのように変化するかは確実に理解しておきましょう。特性X線、オージェ電子、内部転換、核異性体転移、そして線スペクトル、連続スペクトルなども合わせて学習しておきましょう。

問3、問4光電効果に関する問題です。光子と物質の相互作用では光電効果、コンプトン散乱、電子対生成はしっかり勉強しておきましょう。光電効果の原理や断面積、そして問4で問題となっている放出される光電子のエネルギーなどは重要です。光電子のエネルギーは入射光子のエネルギーと結合エネルギーの差から求められます。

問5はコンプトン散乱に関する問題です。光電効果同様、原理や断面積をしっかり学習しておきましょう。コンプトン散乱では計算問題もよく出題されていますので、散乱後の散乱光子のエネルギーを求める重要な公式は確実に覚えておきましょう。2021年度の物理ではコンプトン端(コンプトンエッジ)に関しても出題されていましたのでコンプトン端(コンプトンエッジ)についても勉強しておくと良いでしょう。

問6は光子の減弱に関する問題です。半価層の公式を覚えておけば線減弱係数は簡単に求めることができます。

問7は中性子に関する問題です。中性子が起こす核反応、例えば弾性散乱や捕獲反応などはよく出題されています。

問8は荷電粒子に関する問題です。荷電粒子では阻止能や飛程がよく出題されています。式がありますので覚えておきたいですね。W値は荷電粒子に使われる用語ですが、定義、そしてヘリウムやアルゴン、空気などのW値は暗記しておきましょう。

問9は遮蔽に関する問題です。β線を遮へいする際の制動放射線の発生や中性子の遮蔽に水素を多く含むものなどといった基本的事項はしっかりと勉強しておかなくてはなりません。

問10は単位に関する問題です。毎年、出題されるものですから確実に得点しましょう。5~7年間分程度の過去問題を解いておけば出題されるものの単位は大体網羅されています。単位は計算問題を解く上でも役に立ちますので確実に覚えておきましょう。

問11

Ⅰは高校の物理のような問題で高校物理を履修していなかった人には難しかったかもしれません。(A)、(B)の運動量や運動エネルギーは公式としても基本ですので必ず暗記しておきましょう。相対論の運動量を表す式は覚えていないとなかなか正答は難しかったかと思います。(D)の近似は難しかったですね。解けなくても問題ありません。

Ⅱは252Cfの自発核分裂に絡めた問題ですが、252Cfの知識は必要ありません。問題文に従って解いていけば単純な計算問題ですので正答したい問題です。252Cfの自発核分裂については放射線取扱主任者試験では重要分野ですのでしっかりと勉強しておきましょう。