ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日も演習問題をひとつ一緒に解いてみましょう。本日は計算問題です。
放射線取扱主任者試験では第一種試験、第二種試験ともに毎年必ず計算問題が出題されます。公式を暗記しておけば正答できる問題も多くありますので、計算問題が苦手な人も諦めずに基本的な問題は解けるようにしておきましょう。本番の試験で得点に結び付きますので合格により近づけます。
問 360GBqの192Ir照射線源がある。放射能が1/3に減衰したとき線源交換を行うとすると、交換日に最も近い日数は次のうちどれか。
まず基本的なおさらいをしましょう。
A[Bq]:t[s]後の放射能 T[s]:半減期 A0:最初(t=0[s]のとき)の 放射能
この式ではt=T[s]、すなわち時間が半減期分経過すると放射能が最初の1/2になって
いることが分かります。
本日の問題では②の公式を用います。
最初の放射能が360GBqの192Ir線源がt日間経過した後の放射能は、192Irの半減期を74日とすると、
となります。
この放射能が最初の192Ir線源の放射能、すなわち360GBqの1/3になったときに線源を交換するので以下の式が成り立ちます。
等式が出来ましたのあとはこれを解くことになります。
まず、両辺を360GBqで除して、
この後は、対数の計算になります。
問題文に自然対数(底がe)の値が記されているので、両辺の自然対数を取ると、
(問題文には自然対数はloge2、loge3とありますが、ここではln2、ln3で表します)
対数の基本公式 を用いると、t/74が下りてきて、
となります。
ここで、さらに対数の公式を用いて、
を代入すると、
問題文から、loge2=0.69(ln2=0.69)、loge3=1.1(ln3=1.1)を代入して、
よって、192Ir線源の放射能が最初の放射能の1/3に減衰し、線源交換を行うまでの日数はおよそ118日となり、正答は4になります。
上述した放射能の公式①の0.693はこのloge2=0.69(ln2=0.69)の値です。
loge2=0.69(ln2=0.69)、loge10=2.3(ln10=2.3)は半価層、1/10価層の計算でも使用されますので暗記しておくと役に立ちます。
本日の問題のような線源交換までの日数を求める問題は第二種試験では過去に何度か出題されています。復習を兼ねて是非解いてみて下さい。
2010年度管理技術Ⅰ問2Ⅱ
2011年度管理技術Ⅰ問3Ⅱ
2013年度管理技術Ⅰ問3Ⅱ
また、基本的な対数、指数の計算はできるように勉強しておかなくてはなりません。放射線取扱主任者試験で出題される対数や指数の計算問題は基本的な公式を暗記しておけば難しい問題は出題されません。
本ブログの以下の記事に本日の類題を掲載しているとともに対数、指数に関する基本的な公式も掲載しています。是非ご覧下さい。