放射線取扱主任者試験に合格しよう!

資格取得を目指す皆さんを応援します

壊変に関する基本問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

今日は壊変に関連する基本的な問題を一緒に解いてみましょう。

放射線を学んでいく中で壊変の種類については最初の段階で覚えておきたい分野です。しっかり覚えて下さい。

 


問 原子核で次の現象が生じたとき、その前後で原子番号が最も大きく変わるものはどれか。
1 電子捕獲 2 陽電子放出 3 陰電子放出 4 核異性体転移 5 自発核分裂 

放射線取扱主任者試験で出題される壊変としては、α壊変、β-壊変、β+壊変、軌道電子捕獲(EC)があります。その他、原子核での現象としては内部転換や核異性体転移、自発核分裂も試験ではよく出題されますので押さえておきたい分野です。
 
α壊変
 α粒子であるヘリウムの原子核を放出する壊変であり、ヘリウムの原子核分だけ原子番号と質量数が減少します。すなわち、原子番号は2減少し、質量数は4減少します。
 
 イメージ 1 
 
β-壊変
 原子核内の中性子が陽子に壊変するもので、このとき電子線(β-線)と反ニュートリノを放出します。中性子が陽子に変わるので原子番号は1つ増加します。質量数は変化しません。

 イメージ 2

β+壊変
 原子核内の陽子が中性子に壊変するもので、このとき陽電子(β+線)とニュートリノ(ν)を放出します。 陽子が中性子に変わるので原子番号は1つ減少します。質量数は変化しません。

 イメージ 3
 
軌道電子捕獲(EC)
 原子核内の陽子が軌道電子と結合して中性子となり、ニュートリノを放出する現象です。 β+壊変との競合過程となるのでβ+壊変同様、原子番号は1つ減少します。質量数は変化しません。
 
異性体転移 
 原子核励起状態(不安定な状態)が比較的安定ですぐには基底状態(安定な状態)に転移しない場合があります。この状態からエネルギーの低い安定な基底状態に移る過程を核異性体転移(IT)といいます。核異性体転移では、転移の前後では原子番号も質量数も変化しません
 
内部転換
 原子核励起状態(不安定な状態)にあるときに光子であるγ線を放出して安定な基底状態に遷移する代わりに、軌道電子を放出して安定な基底状態に遷移することを内部転換と呼びます。内部転換の前後では原子番号も質量数も変化しません
 
自発核分裂
 重い原子核が自発的に分裂する現象のことで、分裂に伴い中性子が放出されます。
 
では、問題の選択肢の原子番号の変化を見てみますと、
 1 電子捕獲:原子番号は1減少する
 2 陽電子放出:原子番号は1減少する
 3 陰電子放出:原子番号は1増加する
 4 核異性体転移:原子番号は変化なし
 5 自発核分裂原子核が分裂するため原子番号は大きく変化する
よって、原子番号が最も大きく変わるものは自発核分裂になるので正答は5になります。
 
放射線取扱主任者試験では自発核分裂に関して252Cfが最もよく出題されています。
2019年度の試験で自発核分裂に関する問題として以下の問題が出題されています。
第一種試験物理問11
次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 239Puは熱中性子照射により核分裂を起こす。
2 238Uは自発核分裂を起こさない。
3 252Cfの放射性壊変の大半はα壊変であり、自発核分裂の分岐比は約3%
   である。
4 天然に存在するウラン同位体の99%以上は238Uである。
5 252Cfは人工的に生成される。
 

第二種試験物理問1

放射性壊変に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A β+壊変により、原子核から陽電子が放出される。
B EC壊変により、原子核から特性X線が放出される。
C 内部転換により、原子核からニュートリノが放出される。
D 自発核分裂により、原子核から中性子が放出される。

 

自発核分裂に関しては 自発核分裂の部分半減期を求める問題や放出される中性子の個数を求める問題も出題されます。これらの過去問題については、また次回紹介したいと思います。

 

壊変に関する問題は毎年必ず出題されますので必ず暗記しておくようにして下さい。

暗記しておけば確実に得点できます。本ブログでは今日の問題と同様の問題を以下の記事でも取り上げていますので是非ご覧下さい。

 壊変、内部転換、自発核分裂の問題

 壊変、核異性体転移、自発核分裂に関する問題