2019年度第二種試験問題 GM計数管
ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
10月半ばの土曜日いかがお過ごしでしょうか。北海道を除き、全国的に雨の土曜日にになり、雨の日は気温も低く外は肌寒く感じます。
12月の放射線取扱主任者試験まで2ヶ月半の時期に来ました。
思うように勉強が進んでいない人にとっては気持ちも沈み、諦めムードが漂い始めているかもしれません。諦めるのは簡単ですが、諦めたらいつまで経っても目標は遠のいてしまいます。
辛いとき、苦しいときほど、自分に厳しくなり、頑張ろうという気持ちを奮い立たせて下さい。
さて、今日も2019年度の第二種試験の問題から記事を記載したいと思います。
実務の問題です。
2019年度第二種試験実務問11
GM計数管内で最初の電離過程により生成した電子は、気体分子と衝突しながら陽極に向かって移動し、陽極近傍の、電場の強い領域に達すると、次の衝突までの間に十分な(A)エネルギーを得て他の気体分子を電離するようになり、さらに、この二次電離過程で生成した電子もまた他の気体分子を電離し、電子数はぞうだいしてゆく。こうした電離過程は、(B)と呼ばれる。
この過程では、電子‐イオン対とともに多数の(C)が作られる。(C)は、短時間で可視光あるいは(D)線領域の光子を放出して基底状態に戻る。これらの光子は、ある確率で、管壁内表面等で(E)され、電子が放出される。この新しく生じた電子も陽極に向かって移動し、最初に(B)電子なだれが生じた場所とは別の場所で(B)電子なだれを引き起こす。光子が(E)される確率pともう1つの(B)電子なだれで作られる(C)励起分子の数nとの積が、GM計数管では(F)であり、(B)電子なだれは急速に陽極全体に広がる。こうした現象は、(G)放電と呼ばれる。
以上の過程は電子の移動によるものであり、ごく短時間のうちに起こる。一方、(H)の移動は電子に比べて遅く、陽極全体を鞘のように覆うので一時的に電場が弱まり、放電は停止する。(H)は次第に陰極に向かって移動してゆき、電場は回復してゆく。(H)は最終的に陰極の表面に達して中性分子となるが、このとき、その表面から(I)が引き出されると、その(I)電子が引き金となって第二の(G)ガイガー放電が引き起こされる。この過程が繰り返されることにより、多重パルスからなる連続出力が発生し、計数管として動作しなくなる。この現象を防止するために、通常の内部消滅型GM計数管には、消滅ガスと呼ばれる(J)ガスやハロゲンガスが少量混ぜられている。
GM計数管は放射線取扱主任者試験で最も出題される検出器で、第一種試験でも頻繁に出題されています。
気体検出器の印加電圧とイオン対生成数の関係を表す以下の図は放射線概論にも掲載されています。電圧とそれに該当する領域、またイオン対の数を表す曲線形状など、グラフの大まかなことは覚えておくと役に立ちます。
GM計数管の特徴は暗記しておきましょう。GM計数管
放射線により気体中で発生した電子やイオンは、ガス分子と衝突しながら正または負の電極に引き寄せられる。電子は衝突の合間に強く加速され、次の衝突の際にガス分子を電離して新たに電子-イオン対を生成する。(電子なだれ)また、電子-イオン対数が増幅され、パルス波高が大きくなることをガス増幅という。
GM計数管ではガス増幅が極めて大きく、電子なだれは芯線全体を覆う。電子に比べて移動速度の遅い陽イオンによって芯線全体がさやのように覆われる。
・パルス波高は発生した電子-イオン対に無関係で一定であるためエネルギー測定は
・分解時間が大きい(100μs程度)ため高線量場では窒息現象に注意が必要
・ガス増幅が大きいので増幅器は不要
・ガス増幅が大きく芯線が陽イオンで覆われ電場強度が下がることを防ぐためクエン
チングガス(内部消滅ガス)として計数ガスにハロゲンガスや有機ガスを加える
・計数ガスにはQガスと呼ばれるHeとイソブタンの混合ガス使用
比例計数管ではPRガス(Ar+メタン)または純粋なメタンを利用しています。
(PM AM(P:proportional(比例)、M(メタン)、A(Ar))と覚えましょう)
数え落としの割合(誤差)とは正味のカウント数(n0)から実測カウント(n)を引いたものを正味のカウントで除したもの
数え落としの割合(誤差)
(ただし、実測カウントの単位と分解時間の単位は統一することを忘れないように)
2.正味のカウント数
2019年度第二種試験問題 核融合反応
ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
先日、2019年度第二種試験の物理問11Ⅱの問題について記事にしました。64Cuの壊変図式に関する問題です。この物理問11の問題では、Ⅰに核融合反応に関する問題が出題されています。
以下の問題です。
2019年度第二種試験物理問11Ⅰ
正の電荷を持つ原子核は原子の中心にあり、正電荷を持つ陽子と電荷を持たない中性子によって構成されている。両者の質量を比較すると、(A)。陽子1個と中性子1個は、核力によって強く結合して重水素原子核を形成する。この質量は、陽子の質量と中性子の質量の和よりも(B)、その差、2.2MeVは結合エネルギーと呼ばれる。原子核の安定度は、結合エネルギーを核子数で除した核子当たりの結合エネルギーの値で比較される。質量数20以上では(C)の核子当たりの結合エネルギーが最大となり、最も安定である。
ここで、重水素原子核2個から、3He原子核1個と(D)1個が生成する核融合反応を考えてみる。3He原子核の核子当たりの結合エネルギーは2.57MeV/核子であるので、この核融合反応によって放出されるエネルギーは、反応当たり(E)MeVとなる。
(A),(B),(C)は基本問題ですので、必ず正答できるようにしておきましょう。
陽子や中性子、電子の質量は是非暗記しておきたい値です。
陽子の質量(静止エネルギー) : 1.6726×10-27kg (938.3MeV)
中性子の質量(静止エネルギー): 1.6749×10-27kg (939.6MeV)
電子の質量(静止エネルギー) : 9.1×10-31kg (0.511MeV)
平均結合エネルギー(結合エネルギーを核子数で除した核子当たりの結合エネルギー)は質量数がおよそ60のFe付近までは質量数とともに上昇しその後は減少します。
以下の図の形状、また平均結合エネルギーの最大値(およそ8.8MeV)は覚えておきましょう。また、Heでも極大(およそ7MeV)になることも覚えておきましょう。
この物理問11Ⅰの問題では、(D)はともかく,(E)は第二種試験では難しかったかもしれません。
重水素原子核2個から3Heと中性子を生成する核融合反応(D-D反応)における放出エネルギーを計算する問題です。
(D)は核融合反応について知らなくても、重水素2個から3He 1個が生成することが問題文に書かれてありますので、左辺と右辺の質量数、原子番号の数を等しくなるように反応式を組み立てれば、(D)が中性子(1n)が正答であることは容易に分かります。反応式は以下のとおりです。
この問題は2015年度の第一種試験物化生問2Ⅰ,Ⅱでも類似の問題が出題されています。
重水素2個の核融合反応はD-D反応と呼ばれ、重水素と三重水素(トリチウム)の核融合反応であるD-T反応と並び第一種試験では時々出題されています。(D-D反応、D-T反応の記事参照)
(E)は正答できなくても、(A)から(D)までは確実に正答しておきたい問題です。
2ヶ月半
ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
昨日までの台風の影響による雨も上がり、今日は秋晴れの良い天気となりました。
今日は30℃近くまで気温も上昇し半袖でも過ごせる陽気です。今週は気温も高いようですね。
さて、今日は10月11日。
今年度の放射線取扱主任者試験まで2ヶ月半となりました。
既に過去問題を解き始めている人も多いと思いますが、これからの勉強はできるだけ過去問題を解くことに勉強時間に割きましょう。
問題を解くことで出題される形式や傾向も分かり、また自分の弱点も見えてきます。
弱点全てを克服することはなかなかできないにせよ、本番の試験で確実に6割を得点できるように得意分野を作っておかなくてはなりません。自分が得点できる分野は試験で取りこぼしがないように過去問題を解きながらチェックしていくことが大切です。
過去問題は最低5年間分を3回りは解いておきたいところです。
1週間で1年間分を解くことを目標に勉強計画を立て、限られた時間を有効に利用しながら効率よく残りの2か月半を集中して勉強しましょう。
頑張って下さい!!
除染に関する過去問題
ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
先日は第二種試験から除染に問題を掲載しました。今日は除染に関する第一種試験の過去問題をいくつか掲載したいと思います。
過去の第一種試験では管理測定技術(2019年度からは実務)の試験で除染に関する問題が出題されています。過去問題をしっかりと勉強し、暗記すべきことを確実に覚えておけば十分得点源になる分野です。
第一種試験
2017年度管理測定技術問3Ⅲ
放射性同位元素の使用の際には作業室の実験台や床面の汚染に注意する。汚染が発生した場合には、汚染核種の特定、汚染範囲の確認、汚染の拡大の可能性の予測などが必要である。サーベイメータを利用しての汚染状況の把握は対策の第一歩である。スミア法による汚染検査を併用することで、汚染核種の特定や(O)の状況についての基礎データを得る。
汚染状況に基づいて除染計画が立案される。短半減期核種による汚染では、汚染が広がらないような措置等を講じて、除染せずに(P)による放射能の減少を待つ場合がある。例えば、3H、18F、57Co、131I、134Csを使用する施設の場合には、最も半減期の短い使用核種である(Q)による単独の汚染などで、こうした対処もあり得る。
複数の核種を使用している施設での汚染では汚染核種の特定が必要である。(R)放出核種の同定には、Ge検出器によるエネルギースペクトル測定が有効である。ただし、134Csなどの定量の際には(S)の寄与の補正を要する場合がある。
除染作業では、まず吸湿紙でふき取ることがよく行われる。水溶性の汚染に対しては、水、中性洗剤の他、(T)などのキレート性除染剤を脱脂綿にしみこませてふき取ることもよく行われる。
2015年度管理測定技術問4Ⅱ
Ⅱ 実験室の反対側にあるフード3では、51Crと60Coを用いた実験を行っている。51Crは(K)壊変するのに対し、60Coはβ-壊変するが、これらはともに(L)を放出する。これらの核種からの放射線を効率よく測定するためには(M)検出器が有効である。これらの核種による汚染の除去には状況に応じて種々の方法が用いられるが、EDTAのように多くの金属イオンと水溶性の(N)を形成する除染剤を用いることが有効である。
フード3に隣り合うフード4は131I取扱い専用としている。ヨウ素は揮散しやすく、ヨウ素を含む水溶液は、特に(O)にするとヨウ素が気体として拡散するおそれがある。131Iを使用する実験はヨウ素を有効に吸着する(P)トラップを装着したグローブボックス内で行う。
2014年度管理測定技術問3Ⅲ
(略)
実験終了後、実験室の汚染検査と除染方法を、汚染核種、場所、及び汚染の形態などに応じて適切に選択する。まず、ガラスバイアルの外側に汚染のないことを(N)法などの間接法で確認した後、線源を貯蔵庫に収納する。次に、実験テーブルや床面全体の表面汚染をGM管式サーベイメータによる(O)法で測定する。表面汚染が認められる場合には、汚染箇所に印をつけて明示し、汚染の拡大を防ぐ。速やかに対処することで除染効果は大きくなる。中性洗剤、酸、あるいは(P)を含ませたペーパータオルなどによるふき取り作業を行い、その後、再度、サーベイメータで測定して除染されたことを確認する。
2013年度管理測定技術問5Ⅲ
放射性物質を体内摂取した場合、医師の判断に基づき、生物学的影響を低減するための除染治療を行う。除染治療においては、摂取した放射性物質の種類や摂取経路等を踏まえ、適切な方法を選択する。消化管での吸収を低減するためには、胃洗浄や下痢の投与、プルシアンブルーなどの(Q)投与などが行われる。主に腎臓から排泄される核種については(R)の投与が、そして、安定同位体投与により内部被ばくを低減する方法の例としては、トリチウム摂取の際の(S)があげられる。キレート剤による体外排泄促進法では、コバルトや銅などの重金属についてはペニシラミンが、プルトニウムやアメリシウムなどの超ウラン元素については(T)がそれぞれ用いられる。これらの処置は、体外排泄効果をモニタリングしながらその継続の可否を判断する。
2009年度管理測定技術問4Ⅰ
(略)
汚染発生時に速やかにかつ効率的に除染できるような対処法を事前に検討しておくことも必要である。例えば、液体の放射性同位元素による床の汚染が発生した場合には、汚染の範囲と量を調べ、(F)ことによって汚染の拡大を防ぐ。更に、水や中性洗剤、必要に応じて(G)のようなキレート形成剤を用いて除染を行う。
(略)
2008年度管理測定技術問4Ⅳ
(略)
遊離性の汚染の除去には、一般に、水、中性洗剤、酸、可溶性錯塩形成剤などが用いられる。可溶性錯塩形成剤としては(E)などが用いられる。ただし、14Cが(F)として存在している場合には、(G)を用いると14CO2の発生により汚染が拡大する可能性がある。
2005年度管理測定技術問2Ⅲ
汚染の拡大を防ぐために、状況に応じた処置を講ずる必要がある。場合によっては、汚染核種に固有の(A)を考慮して適切な除染時期を設定することもある。これにより、除染作業に伴う被ばく線量並びに廃棄物の発生量を軽減することができる。汚染核種だけでなく汚染された素材の(B)も重要であり、不適切な除染剤の選択は汚染の拡大すらも促すことがある。例えば、樹脂製の床材への(C)の使用は不適切である。
2019年度第二種試験問題 除染
ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日も2019年度の第二種試験の問題から記事を掲載したいと思います。
2019年度第二種試験化学問8
汚染除去に用いる溶媒(除染剤)に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 水は無極性溶媒である。
B 中性洗剤は界面活性剤を含む。
C キレート形成剤は金属元素の放射性核種に対して用いる。
D EDTA-2ナトリウム水溶液は強アルカリ性を示す。
先日、2019年の第一種試験の問題から化学分離に関する記事を掲載しましたが、それに少し関連のある除染に関する問題です。
この問題は化学的な基礎知識が必要な問題ですので難しかったかもしれません。
除染に関する重要事項は必ず覚えておかなくてはなりません。
〇床等の除染
① 吸湿紙で拭き取る
② 吸湿紙に温和なものを染み込ませふき取る
(水、中性洗剤、亜硫酸Naなどの順)
③ 除染ができない場合は減衰を待つ
(ビニルシートでなどで被い触れないように保護)
除染に際しての注意事項は、「有機溶剤、シュウ酸など放射性気体が発生する可能性のあるものは使用しない」、「酸性にはしない」など
参考までに極性、無極性に関して少し記述します。
極性、無極性には電気陰性度が関係します。
異なる種類の原子が共有結合すると共有電子対は電気陰性度の大きい原子の方へ偏ります。
例えば、塩化水素(HCl)では、共有電子対は水素原子Hよりも電気陰性度の大きい塩素 原子Clの方へ偏ります。そのため、Cl は負に、H は正に帯電します。このように原子間の電気陰性度の差によって生じる電荷の偏りを極性といい、極性を持つ分子を極性分子といいます。水素原子(H 2 )のように同じ種類の原子同士が結合するときは電気陰性度に差がないため極性は生じず無極性分子となります。
電気陰性度に順位として「F>O>Cl>N」くらいは暗記しておきましょう。
参考までに、ネットには「F>O>N=Cl>C>H>金属」とあり、「本当に(F>O>N)狂(Cl)っちゃう(CH)金(金属)」と覚えるそうです。
第二種試験では2018年度にも除染に関する問題が出題されています。
2018年度管理技術Ⅱ問17
化学的性状が不明の汚染を除去するとき、最初に試みるべき除染剤として最も適切なものは次のうちどれか。
1 水
2 クエン酸
3 DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)
4 希硫酸
5 熱濃硫酸
除染に関する問題は、第一種試験の管理測定技術の試験でも非常によく出題されています。今後は実務の試験で頻繁に出題されることになると思います。
第一種試験の除染に関する過去問題は、また次回掲載いたします。
放射線取扱主任者試験に合格し、実際に主任者に選任されて現場で仕事をするようになると、除染に関する知識は非常に重要になります。今後、このような実際の現場で必要となる知識に関する問題は必ず試験でも問われてきます。しっかりと勉強しておいて下さい。
2019年度第二種試験問題 壊変図(64Cu)
ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日は2019年度の第二種試験の問題とそれに類似する過去問題を掲載します。
自分で解いてみて下さい。
2019年度第二種試験物理問11Ⅱ
下図は64Cuの壊変図式である。64Cuは2種類のβ壊変(β+およびβ-)を起こして、(F)および(G)に変化する。また、電子捕獲(EC)も起こる。これらの壊変割合(分岐比)から(F)の方が多く生成することがわかる。
この図から、64Cuの壊変当たりのγ線の放出割合は(H)%であることがわかるが、それ以外にβ+壊変に伴う消滅放射線の放出割合が壊変当たり(I)%である。ただし、内部転換は起きないものとし、陽電子による消滅放射線は3本生成することはないものとする。特性X線あるいはオージェ電子が放出される原因となる内殻電子軌道の空孔を生成する電子捕獲(EC)の壊変当たりの割合は(J)%である。
64Cuは放射線取扱主任者試験においてよく出題されている核種ですので、重要事項は暗記しましょう。
64Cu:β-壊変、EC壊変,、β+壊変すべて
半減期12.7時間
64Cuの壊変図に関しては過去の第一種試験でも出題されています。
第一種試験
2007年化学問16
64Cuの壊変に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A γ線スペクトルに511keVのピークがみられる。
B 64Znを生成する部分半減期は64Niを生成する部分半減期より長い。
C EC壊変に伴い、Cuの特性X線が放出される。
D 発生する陽電子の運動エネルギーは単一である。
E 1346keVのγ線はEC壊変に続いて発生する。
2011年化学問20
64Cuの壊変に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A γ線スペクトルに511keVのピークがみられる。
B 64Znを生成する部分半減期は64Niを生成する部分半減期より長い。
C EC壊変に伴い、Cuの特性X線が放出される。
D β-壊変はγ線放出を伴わない。
2015年化学問8
64Cuの壊変図式を示す。次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A β-壊変に伴って1346keVのγ線が放出される。
B EC壊変に伴ってNiの特性X線が放出される。
C 単位時間に生成する原子核の数は、64Niに比べて64Znのほうが少ない。
D γ線スペクトルに511keVのピークは現れない。
β-壊変,、EC壊変,、β+壊変をする核種として64Cu以外にも74Asも出題されています。
2016年度第一種試験化学問4
74Asの壊変図式を図に示す。次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 74Seの生成速度は74Geの生成速度よりも大きい
2 β-壊変に伴ってGeの特性X線が放出される。
3 β+壊変に伴って1204MeVのγ線が放出される。
4 EC壊変に伴って635keVのγ線放出される。
β-壊変、EC壊変,、β+壊変をする核種ではありませんが、2012年度には壊変図に関する以下のような問題も出題されいます。
2012年度化学問19
図は質量数51の壊変図を示している。次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 51Tiと51Crは320keVのγ線を放出する。B 51Crの壊変によりVの特性X線が放出される。
C 51Tiの壊変は511keVの光子の放出を伴う。
D 51Crの壊変は609keVのγ線の放出を伴う。
EC壊変、β+壊変する核種は暗記しておきましょう。
11C 13N 15O 18F 22Na 26Al 30P 57Ni 64Cu 65Zn 68Ga
イオン交換に関する過去問題
ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
先日の化学分離に関する記事の後、溶解度、溶媒抽出法に関する過去問題を掲載しましたので、今日はイオン交換に関する過去問題をいくつか掲載したいと思います。
第一種試験
化学
2009年度問20
6mol・l-1塩酸に溶けている45Ca2+、59Fe3+及び65Zn2+をジエチルエーテルで抽出すると、有機相に核種Aが抽出された。その後、水相を陰イオン交換樹脂カラムに通すと、核種Bがカラムに吸着し、核種Cは通過した。核種A、B、Cの組合せは次のうちどれか。
2014年度問28
次の記述のうち、ホットアトム効果による現象として正しいものの組合せはどれか。
A ヨウ化エチルを中性子照射したのち、水を加えて振とうすると放射性
ヨウ素が水相中に移った。
B 安息香酸と炭酸リチウムを混合して中性子照射すると、トリチウムで
標識された安息香酸が得られた。
C 90Srを含むSr2+の水溶液をろ過すると、90Yがろ紙に捕集された。
D クロム酸カリウムを中性子照射したのち、水に溶解し陽イオン交換樹
脂カラムに流すと51Cr3+が樹脂に捕集された。
2015年度問18
イオン交換樹脂の利用に関する正しい記述は次のうちどれか。
A 強塩基性陰イオン交換樹脂では、36Cl-が32PO43-より先に溶離する。
B 弱酸性陽イオン交換樹脂では、樹脂の-SO3-基に陽イオンが吸着する。
C 強塩基性陰イオン交換樹脂により、塩酸濃度を1mol・L-1から
0.005mol・L-1まで変化させながら59Fe(Ⅲ)と65Zn(Ⅱ)のクロロ錯体を
分離する場合、59Fe(Ⅲ)の方が65Zn(Ⅱ)より先に溶離する。
D 強酸性陽イオン交換樹脂では、45Ca2+が42K+より先に溶離する。
2016年度問21
イオン交換樹脂の性質に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A Na型の陽イオン交換樹脂に45Ca2+を含む水溶液を流すと、45Ca2+が吸着
する。
B H型の陽イオン交換樹脂に40K+を含む水溶液を流すと、40K+は吸着しな
い。
C OH型の陰イオン交換樹脂に57Ni2+を含む9M塩酸酸性溶液を流すと、
57Ni2+が吸着しない。
D OH型の陰イオン交換樹脂に14CO32-を含む水溶液を流すと、14CO32-が吸
着しない。
2017年度問19
次の溶液を強塩基性陰イオン交換樹脂カラムに通したとき、放射性核種が樹脂に最も吸着しやすいものはどれか。
1 [26Al]Alを1mol・L-1塩酸に溶解した溶液
2 [24Na]Na2CO3を1mol・L-1塩酸に溶解した溶液
3 [59Fe]Fe(OH)3を8mol・L-1塩酸に溶解した溶液
4 [59Fe]Fe(OH)3を2mol・L-1硝酸に溶解した溶液
5 [64Cu]Cuを3mol・L-1硝酸に溶解した溶液
2019年度問22
イオン交換樹脂に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 強酸性陽イオン交換樹脂カラムに137Csイオンを含む水溶液を流すと、
娘核種の137mBaが137Csよりも先に溶離する。
B 強酸性陽イオン交換樹脂カラムに22Naイオンと86Rbイオンを含む水溶液
を流すと、22Naが86Rbよりも先に溶離する。
C 強塩基性陰イオン交換樹脂カラムに57Niと65Znを含む6M塩酸酸性溶液
を流すと、65Znが57Niより先に溶離する。
D 強塩基性陰イオン交換樹脂カラムに38Cl-イオンを含む水溶液を流す
と、38Cl-イオンが吸着する。
物化生
2010年度問4Ⅲ
(略)
(H)充填カラムを使う方法では、0.2mol・L-1硝酸中では、Fe3+の方がCo2+より樹脂に吸着しやすいことを利用して、カラムに59Fe3+を吸着させてCoと分離する。(I)を用いて分離する方法では、0.5mol・L-1塩酸溶液中でFe3+のみが(J)を形成する性質を利用して分離を行う。また、8mol・L-1の塩酸溶液からの溶媒抽出では、(K)だけを選択的に(L)に抽出することができる。
2012年度問4Ⅲ
(略)
一般に無担体のRIは、溶液中で(O)に達して沈殿を生成することはまずない。銅イオンの方が(P)ため、電気分解法では銅を陰極に選択的に析出させることができる。また(Q)の方がクロロ錯体を形成しやすいことを利用して、(R)を使って(Q)を捕集するのも1つの方法である。さらに錯形成能の違いを利用して分離する方法に溶媒抽出法がある。オキシン(8-オキシキノリノール)がpH3では、銅と錯体を形成するが、亜鉛とは形成しないことを利用して、銅の錯体を(S)のような溶媒に抽出して分離することができる。
2013年度問3Ⅱ
(略)
一例として、Cu2+、Ni2+、及びZn2+を含む6mol・L-1塩酸溶液試料中のZn2+を直接希釈法で定量する。この試料溶液に、10mgの65Zn2++Zn2+(比放射能15.0kBq・mg-1)を加え、十分混合して均一にした。この溶液の一部をとり、6mol・L-1塩酸で前処理した(K)カラムに通す。これらの金属イオンは塩化物イオンとクロロ錯体を生成すると(K)カラムに吸着される。6mol・L-1塩酸を流し続けると、Ni2+はいずれの塩酸濃度でも陽イオンのままなので、まず(L)が溶出し、次いで2.5mol・L-1塩酸で(M)が、最後に0.005mol・L-1塩酸を流すと最もクロロ錯体を作りやすい(N)が溶出する。溶出した(N)の一部をとり、質量と放射能の測定から比放射能2.0kBq・mg-1を得た。したがって、試料溶液中のZn2+の質量は(O)mgであった。
2014年度問4Ⅱ
イオン交換樹脂は、イオン交換基をもつ高分子であり、水溶液中のイオンと樹脂自身に吸着しているイオンを交換する。イオン交換樹脂が水溶液中のイオンを吸着する強さがイオンによって異なり、この性質を利用してイオンを分離することができる。
例えばスチレン-ジビニルベンゼン共重合体を高分子骨格とし、(C)基をイオン交換部位として持つ強酸性陽イオン交換樹脂では、+1価イオンの樹脂への吸着強度は(D)であり、水和イオン半径が小さいものほど強い。また、価数が異なるイオンに対しては、一般に(E)という傾向がある。イオン交換樹脂に吸着しているイオンと水溶液中のイオンは吸着平衡になる。陽イオン交換樹脂に吸着しているA+イオンの濃度を[A]r、水溶液中のA+イオンの濃度を[A]a、B+イオンについても同様な記号を使うと、
という平衡定数となる。Kr>1のときには、(F)。
イオン交換樹脂の吸着平衡は、溶液と樹脂吸着のイオンの濃度比を決定し、濃度に依存しないので、無担体の放射性同位体の分離に適している。
一方、強塩基性陰イオン交換樹脂を用いて塩化物イオンとの錯形成能の違いを利用して分離することができる。強塩基性陰イオン交換樹脂カラムに、Fe3+、Co2+、Ni2+を含む9mol・L-1塩酸溶液を1.0mL、その後9mol・L-1、4mol・L-1、0.5mol・L-1の濃度の塩酸を順次12mLずつ流して各イオンを分離すると右図のようになった。塩化物イオンとの錯形成能の強さは(G)の順であり、a、b、cのピークは左から順に、(H)であった。
2016年度問3Ⅱ
(略)
イオン交換法も放射化学分離法としてしばしば利用される。イオン交換樹脂を用いる方法が一般的である。この場合、固体-溶液間のイオン性化学種の分配平衡を利用している。陽イオン交換樹脂ではスルホン酸基を持つ強酸性イオン交換樹脂と(N)を持つ弱酸性イオン交換樹脂がある。陰イオン交換樹脂では(O)を持つ強塩基性イオン交換樹脂と、弱塩基性イオン交換樹脂がある。対象とする放射性核種の溶存状態やpHなどから適切なイオン交換樹脂を選んで使用する。
(略)
2017年度問4Ⅱ
(略)
65Znを銅金属標的から化学分離するにはイオン交換樹脂の利用が便利である。イオン交換樹脂への吸着のしやすさは分配係数を用いて表される。分配係数は、対象元素の交換平衡時の樹脂相での濃度と溶液相での濃度の比として定義される。例として、Cu(Ⅱ)とZn(Ⅱ)の陰イオン交換樹脂への分配係数の塩酸濃度に対する変化を図2に示す。これを参考にすると、次の化学操作で銅と亜鉛を分離することができる。
銅金属標的を(J)で溶解後、(K)を加えると銅と亜鉛はともに水酸化物として沈殿する。このとき(K)を過剰に加えすぎると生成した沈殿は溶解してしまうので、注意が必要である。この沈殿を(エ)mol・L-1の塩酸溶液にして、陰イオン交換樹脂カラムに通すとZn(Ⅱ)は最も樹脂に吸着し、Cu(Ⅱ)は吸着せずカラムから流出するので、亜鉛と銅が分離できる。0.01 mol・L-1の塩酸を流すと亜鉛は樹脂から溶離する。
管理測定技術
2018年度問4Ⅱ
放射性物質を含む廃液の処理を検討するには、化学的性質等の理解が不可欠である。液体のまま保管する場合、容器の破損などで、汚染が拡がる可能性がある。そこで、沈殿として回収して、固体廃棄物とすることも検討してみることにした。化学操作をするにあたっては、液性や化学種を事前に調べ、試薬の混合による発熱、気体発生などに注意して行う必要がある。
廃液A、Bには、以下の表に示す化学形をもつ核種が含まれているとして、化学分離に関する基礎的な反応を検討してみる。
廃液Aは、①~③それぞれのイオンが0.1mol・L-1の濃度で含まれている中性の水溶液である。塩酸酸性にすると放射性の気体が発生することに注意する必要があるのは(J)である。廃液Aに、Fe3+イオンを加え、アンモニア水を滴下していくと、沈殿が生成して(K)が共沈する。この沈殿を分離した後、さらにBa2+イオンを加えていくと、(L)の沈殿が生成する。
廃液Bは、④~⑦それぞれのイオンが0.1mol・L-1の濃度で含まれている中性の水溶液である。水素型にした陽イオン交換樹脂を加えても、(M)は吸着しない。また、吸着するイオンのうち、陽イオン交換樹脂への吸着強度は(N)が最も大きい。廃液Bに、CO32-イオンを加えていくと、(O)が沈殿する。廃液Bに、Ag+イオンを添加した場合には(P)の沈殿が生じる。また、廃液Bに、無機イオン交換体のゼオライト粒子を加えると、(Q)が良く吸着する。
(略)