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β線の飛程

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
 
昨日は飛程に関する補足記事を掲載いたしましたが、昨日の記事に関して少し付け加えておきたいことを記載します。
 
昨日の記事で、α線に関して空気中の飛程から水中での飛程を求める際にそれぞれの密度を利用して計算することを記載しました。これは空気と水の実効的な質量数があまり変わらないため、それぞれの密度のみを用いて計算しても問題ないためです。
本来ならば異なる物質中でのα線の飛程を計算するためにはブラッグ・クレーマン則という法則を用いて計算します。ブラッグ・クレーマン則に関しては放射線取扱主任者試験でも時々出題されていますので是非覚えておきたい法則です。
 
○ブラッグ・クレーマン
 重荷電粒子の飛程は物質の密度に反比例し質量数の平方根に比例する
 (第7版放射線概論P.102問14参照)
 詳細はブラッグ・クレーマン則の記事をお読み下さい。
 
それでは、本日の記事に移りましょう。
昨日掲載した2015年度第二種試験管理技術Ⅱ問7の選択肢D「β線には空気中の飛程が1mを超えるものはない。」について一緒に考えてみましょう。
 
β線のアルミニウム中での最大飛程R[g/cm2]に関しては以下の重要公式があることは先日の飛程の記事でも記載しました。
 
 
 
 
例えば、90Yのβ線の最大飛程を計算してみましょう。
90Yのエネルギーは2.28MeV(必ず暗記!)ですので、上式を用いて、
 
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となります。
この単位を[cm]単位に変換するためには物質の密度で除せばよいので、空気中での飛程は空気の密度0.0013[g/cm3]で除すと、
 
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となります。
よって、2015年度第二種試験管理技術Ⅱ問7の選択肢D「β線には空気中の飛程が1mを超えるものはない。」は誤りになりますね。
 
β線の空気中での飛程
原子力百科事典 ATOMICA
原子核物理の基礎(6)放射線と物質の相互作用 (03-06-03-06)参照
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