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飛程(補足)

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
先日、飛程に関する記事を掲載いたしましたが、その補足を少ししたいと思います。
 
以下の問題をご覧ください。
2015年度第二種放射線取扱主任者試験管理技術Ⅱ問7
放射線の飛跡、飛程に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A α線の飛跡はほぼ直線的である。
B α線には水中の飛程が空気中の飛程よりも長くなるものがある。
C β線は物質中で電子あるいは原子核の電場で散乱される。
D β線には空気中の飛程が1mを超えるものはない。
 
1 AとB  2 AとC  3 BとC  4 BとD  5 CとD 
 選択肢Bのようなα線に関して水中の飛程と空気中の飛程を比べる問題は時々出題されています。
 
2008年度第一種放射線取扱主任者試験物理問16
C 空気中での飛程が3cmのα線の水中での飛程は50μm以上である。
この問題を少し考えてみましょう。
飛程の単位には[cm]と[g/cm2]がありますが、[g/cm2]単位は[cm]単位に物質の密度[g/cm3]を乗ずることで変換することができます。単位から考えれば分かりやすいですね。

 イメージ 1
 
平成20年度物理問16において、空気中での飛程が3cmのα線の単位を[g/cm2]で表してみると、空気の密度は0.0013[g/cm3]ですので、(空気の密度0.0013[g/cm3]は是非暗記しておきましょう)
 
 イメージ 2
 
となります。
この[g/cm2]で表される飛程は物質に依存しない値ですので、空気中での飛程が0.0039[g/cm2]α線は水中での飛程も0.0039[g/cm2]となります。

では、水中で0.0039[g/cm2]の飛程を[cm]単位に変換してみると、今度は0.0039[g/cm2]を物質(水)の密度1[g/cm3]で除すれば[cm]単位になりますので、
 
 イメージ 3
 
これを[μm]に変換すると、
 
 イメージ 4

となり、50μm以下となりますので、平成20年度物理問16の選択肢Cは誤りとなります。また、上で示した2015年度第二種試験管理技術Ⅱ問7の選択肢Bも誤りとなりますね。
 
また、以下のような問題も出題されています。
2015年度第一種放射線取扱主任者試験物理問14
水中における飛程が35μmであるα線の空気中での飛程[cm]に最も近い値は、次のうちどれか。ただし、空気の密度は0.0013[g/cm3]とする。
(選択肢略)
自分で解いてみて下さい。
 
次回は、
上で示した2015年度第二種試験管理技術Ⅱ問7の選択肢D「β線には空気中の飛程が1mを超えるものはない。」について一緒に考えてみましょう。