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阻止能②

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
 
昨日までは飛程に関する記事を少し掲載してきましたが、今日は飛程とともに放射線取扱主任者試験ではよく出題される阻止能に関して簡単に記載したいと思います。
 
実際に出題された問題をみてみましょう
2012年度第二種放射線取扱主任者試験管理技術Ⅱ問6

重荷電粒子に対する物質の阻止能は、非相対論的領域において、おおよそ、物質の原子番号の(A)乗に比例し、荷電粒子の電荷の(B)乗に比例し、速度の(C)乗に比例する。
    (A)  (B)  (C)
1  2         1        -1
2  1         2        -2
3  1         1        -1
4  2         1        -2
5  1         2        -1
 
重荷電粒子が物質中を通過すると、原子を電離または励起しながらエネルギーを失っていきます。粒子が低速の場合は原子核と弾性散乱を起こし、高速になると制動放射や核反応によってもエネルギーを失います。ただ、一般的に重荷電粒子による制動放射は電子に比べてエネルギーが高い場合でなければ問題とならない場合が多いので無視してもよいでしょう。
荷電粒子が物質中を通過する過程において、粒子の飛跡の単位長さ当たりに失うエネルギーを阻止能といいます。電離や励起により失うエネルギーを衝突阻止能、制動放射により失うエネルギーを放射阻止能といいます。
衝突阻止能は以下のベーテの理論式によって表されます。
(第一種放射線取扱主任者試験2007年度物化生問3Ⅰ参照)
 
 イメージ 1
 
 e:電子の素電荷 m:電子の質量 z:入射粒子の電荷数(原子番号
 Z:標的物質の原子番号 N:標的物質の単位体積中の原子数
 I:物質の平均励起ポテンシャル β:v/c
 
この複雑な式は暗記する必要はないと思います。
荷電粒子が単位長さあたりに失うエネルギー損失として、阻止能Sは
 
 
 
 
をしっかりと暗記しておけばよいでしょう。
 
この式を暗記しておけば、阻止能は物質の原子番号の1乗に比例し、荷電粒子の電荷の2乗に比例し、速度の-2乗に比例することが分かります。
よって、問題の正答は2となります。
 
第一種試験では2007年度物化生問3Ⅰに重荷電粒子の阻止能に関する問題が出題されています。また、近年では2013年度物化生問2Ⅱ、2015年度化生問1でも阻止能に関する問題が出題されています。多少難しく感じられるかもしれませんが、実際に出題された過去問題ですので解いてみて下さい。
 
物理の試験でも阻止能に関しては、2014年度物理問12、2017年度物理問15のような計算問題、また2012年度物理問12、2014年度物理問11、2016年度物理問13のような文章問題も出題されています。過去問題をしっかりと勉強しておきましょう。
 
本ブログでも阻止能に関する計算問題を掲載していますので是非ご覧下さい。
 
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