ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日も演習問題を一緒に解いてみましょう。
電離箱におけるブラッグ・グレイの空洞原理に関係する問題です。ブラッグ・グレイの空洞原理は第一種放射線取扱主任者試験では頻出問題ですので、必ず過去問題をしっかりと勉強して自分で解けるようにして下さい。
問 空気等価電離箱をγ線場に置き放射線量を測定したところ、電流が1nA得られた。このとき、電離箱内の空気が吸収したエネルギー[nJ・s-1]に最も近い値は次のうちどれか。
① 1.7 ② 17 ③ 0.34 ④ 3.4 ⑤ 34
電流の単位[A]は1秒間に流れる電荷量です。すなわち、[A]=[C・s-1]になります。
1nAは1×10-9Aですので、1nAの電流が流れたということは1秒間に1×10-9[C]の電荷量が生成したことを意味しています。
1個の電子の電荷量は1.6×10-19[C]ですので1×10-9[C]中には、
個・s-1
の電子が存在していることになります。
空気中で電子-イオン対を1対生成するのに必要なエネルギー、すなわちW値は34eVですので、上述の数の電子を生成するためには、
のエネルギーを吸収したことになります。
また、1[eV]=1.6×10-19[J]ですので、吸収したエネルギーを[J]単位に換えると、
よって、吸収したエネルギーは34[nJ・s-1]となりますので、正解は⑤となります。
電子-イオン対を1対生成するのに必要なエネルギーW値のおおまかな値は覚えておきましょう。
ヘリウム:41eV 空気:34eV アルゴン:26eV
本問題で求めた吸収エネルギーを空気の質量で除すことで、空気の吸収線量率が求まります。次回は空気の吸収線量率を求めてみましょう。
本日の問題に関連する内容として、本ブログでは以下の記事がありますのであわせてご覧下さい。
ブラッグ・グレイの空洞原理