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放射線の利用に関する問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日は放射線の利用に関する演習問題を解いてみましょう。


問 放射線の利用に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 日本では、ジャガイモの発芽制御のための食品照射は認可されていない
② γ線照射により突然変異が誘発されることを利用して、茎が倒れにく稲や黒斑病
  に耐性を示す梨などの新品種が育成された
③ 人工増殖した害虫のオスのさなぎにγ線を照射して不妊化させたのち、羽化した
  成虫を野外に放飼することによって害虫を根絶する試みが行われた
④ プラスチックやゴムへの放射線照射による架橋反応を利用して、強化プラスチッ
  クの製造やタイヤの強化が行われている。
⑤ 人工腎臓、注射針、手術用手袋、メスや縫合糸などの医療用具の滅菌処理に放射
  線が利用されている。


放射線は医療以外にも食品分野や工業分野でも利用されています。

日本では食品衛生法でジャガイモの発芽抑制のためにγ線照射が認められています。よって、①は誤りです。
放置したジャガイモから芽が出ているのを見たことがあると思います。食べるときにはこの芽を取り除いてから食べますが、一度芽が出ると栄養が吸収されてしまうのでジャガイモの栄養価は低くなります。またソラニンという毒を生成するので誤って摂取すると腹痛を起こすこともあります。そのため、厚労省の許可を受けて、ジャガイモの発芽防止のために60Coのγ線照射が行われています。

②は品種改良を目的としたγ線照射です。②は正解です。
植物に放射線を照射し、その品種を改良することを「放射線育種」といいます。風などの影響に強く倒れにくい「レイメイ」や収穫量が多い「アキヒカリ」などのイネが有名です。

③は放射線を利用して害虫を根絶させる「不妊虫放飼法」です。③は正解です。
ゴーヤなどに寄生する「ウリミバエ」などを根絶させています。工場などで人工的に繁殖させたウリミバエのオスのさなぎに放射線を照射して不妊化し、これらを野外に放ちます。放射線照射されたオスはメスと交尾をしても卵は孵化することがありません。この操作を繰り返すことで害虫を根絶させます。

④はプラスチックやゴムなどに放射線を照射することで、強い分子構造の化合物を合成したり、耐熱性の高い分子構造の化合物を製造したりすることができます。放射線照射により耐熱性を高めたポリエチレン製被覆電線やタイヤなどがあります。④は正解です。

⑤は医療器具の滅菌です。⑤は正解です。
滅菌照射では、60Coや137Csなどから放出されるγ線が生物に与える影響を利用して滅菌します。工場などで生産された注射針などの医療用具をダンボール箱などに梱包し、そのまま箱の外から放射線を照射し医療用具を完全に滅菌し、そのまま発送できるので再汚染の心配がありません。

よって、最も不適切なものは①になります。
②から⑤は全て正しいので是非暗記しておいて下さい。

今年度(平成29年度)の第2種放射線取扱主任者試験の管理技術Ⅱの問20で密封γ線の産業利用に関する問題が出題されています。本日の演習問題よりは難しい問題ですが、是非解いてみて下さい。

第1種放射線取扱主任者試験では平成30年度化学問28で電子線照射の工業利用に関する問題が出題されています。