フリッケ線量計に関する計算問題
ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
昨日、化学の課目についての記事を書きました。今日はその中で計算問題としてよく出題されているフリッケ線量計に関する問題を一緒に考えてみましょう。
問
フリッケ線量計を60Coのγ線で1時間照射したところ、Fe3+が溶液1g当たり5.6×10-5g生じた。γ線の線量率(Gy・h-1)は次のうちどれか。ただし、Feの原子量を56、Fe3+生成のG値を16、アボガドロ定数を6.0×1023mol-1、1eVを1.6×10-19Jとする。
最初に化学線量計のおさらいです。
化学線量計は放射線照射によって化学変化を起こした原子数が放射線量に比例することを利用して線量を測定する線量計です。
化学線量計としては。
・フリッケ線量計
・セリウム線量計
の2つが試験にはよく出題されています。
○フリッケ線量計
の酸化反応を利用 G値15.5
○セリウム線量計
の還元反応を利用 G値2.45
ここで、
G値とは物質が100eVのエネルギーを吸収したときに変化する原子数のことで、
フリッケ線量計でのG値はおよそ15.5程度、セリウム線量計でのG値はおよそ2.45
となります。この値は是非暗記しておきたい数値です。
では、今日の問題の解き方の手順を書いてみます。
① 1時間の照射で5.6×10-5gのFe3+が生成されているので、この値から変化した
Fe3+の原子数を求める
② 100eVのエネルギーが照射されたときに16個のFe3+が変化する(G値=16)こと
から、①で求めた原子数が変化するために必要なエネルギーを求める
③ ②で求めたエネルギーの単位を eV から J に変換する
④ ③で求めたエネルギーは溶液1gあたりに吸収したエネルギーでであるため、
これを溶液1kgあたりに吸収したエネルギー Gy に変換する
この手順で計算すれば正答を導くことができます。
4月11日(土)に計算過程を掲載いたしますので、それまで自分で解いてみて下さい。正答のみ記載しますと600 Gy・h-1になります。
第一種試験で出題されるフリッケ線量計やセリウム線量計に関する計算問題は、本問題のようなパターンですので必ず解けるようにしておきましょう。