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放射性同位元素の利用に関する問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
本日も演習問題を一緒に考えてみましょう。
先日、分析・計測装置に利用される放射性同位元素に関する問題を掲載しましたが、それと関連し、本日も放射性同位元素の利用に関する問題です。

問 次のラジオアイソトープの利用に関する記述のうち、誤っているものを選べ。

63Niはガスクロマトグラフの線源に用いられている。
85Krは厚み計に用いられている。
99TcはSPECT薬剤に用いられている。
125Iは永久刺入線源に用いられている。
241Amは煙感知器に用いられている。

 ガスクロマトグラフィーのECD検出器(電子捕獲型検出器)には63Niのβ線の電離
 作用が利用されています。①は正解です。
 キャリアガスであるN2ガスのみである場合は電離電流が流れていますが、電子親
 和力の高い元素を含んだ化合物が存在すると電子が電子親和力の高い化合物に捕獲
 されてイオン電流が低下することを利用しています。
②厚さ計は放射線が物質を透過する際の吸収や散乱を利用しています。β線厚さ計は
 紙や数mm以下の薄いフィルムやシートなどの厚さ測定に多く使用され、β線源と
 して147Pm、85Kr、90Srなどが利用されます。②は正解です。
 厚い試料を測定する際にはγ線が使用され、241Amや137Csのγ線が使用されます。
③SPECT(単一フォトン放射断層撮影装置)は人の体内に放射性同位元素を投与し
 て、その放射性同位元素から放出される放射能を体外で測定しコンピューターで処
 理して断層画像を得る装置です。放射性同位元素としてはγ線を放出する99mTcや
 123Iなどが一般的に使用されます。③は誤りです。
④がんの放射線治療法においては用いる線源の種類により短時間の放射線照射(高線
 量率)と長時間の放射線照射(低線量率)があります。刺入時間による分類で一時
 刺入と永久刺入です。一時刺入用の線源としては137Csや192Irがあり、永久刺入用
 の線源としては198Au125Iがあります。④は正解です。
 うに241Amが使用されます。⑤は正解です。

よって、99Tcではなく99mTcがSPECT薬剤に使用されるので、誤りは③となります。
 
2018年度の試験問題を見てみると、
第一種試験では、化学問27では厚さ計に関して線源と測定範囲に関する問題が、また生物問1では核医学に使用される核種の問題が出題されています。
第二種試験では、管理技術Ⅱ問19に煙感知器が、また問20では放射線の医学利用に関する問題が出題されています。いずれもしっかり暗記しておけば正答できる問題ですので確実に覚えておきましょう。
本日の問題に関連する内容として以下の記事もあわせて読んで勉強して下さい。 
 医療分野で利用される放射線については原子力百科事典ATOMICAでも詳しく掲載されています。