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被ばく事故

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
残念なことに日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター(茨城県大洗町)で被ばく事故が発生したことはニュース等でご存知かと思います。

ボルト留めされた金属製容器のふたを開封したところ、中のビニール袋が破裂してU(ウラン)とPu(プルトニウム)を含む粉末が飛散したとのことです。
ビニール袋が破裂した原因については定かではありませんが、専門家は「UやPuがα壊変し、放出されたα線(He:ヘリウムの原子核)によりHeガスが充満し容器の内圧が高まって破裂した可能性はある」と指摘しています。
 
被ばくした男性の肺からは、22000BqのPu239(T=24100年)と、220BqのAm241(T=432年)が検出されたそうです。PuとAmは人体への影響が大きいα線を放出するため、肺が受ける被ばく線量は大きく、今後50年間で12Sv、1年間で1.2Svと推定されています。
現在、被ばくした数人の方は放射線医学総合研究所で治療のため放射性物質の体外への排出を促す「キレート剤」を点滴しているとのことです。
 
体内汚染の放射性物質の除去法については管理測定技術の試験でも出題されています。このブログでも5月12日の記事(内部被ばく)でも少し紹介しています。

Puの内部被ばくに関する過去問題を抜粋します。

平成22年度管理測定技術問6Ⅱ
「内部被ばくによる身体的影響は、摂取核種の臓器親和性、物理化学的性状や摂取経路により特徴付けられる。プルトニウム-239に関しては、可溶性プルトニウム塩により創傷部が汚染されるとプルトニウムが骨や肝臓に移行して、これらの臓器に長期間にわたり蓄積し、(L)放射線荷重係数(M)20である(N)α線を放出し続け骨肉腫等を誘発する。これに対し、酸化プルトニウムを吸入被ばくした場合では、容易に血液中に移行せず、長期間肺にとどまることにより肺がんを誘発する。」

平成25年度管理測定技術問5Ⅲ
放射性物質を体内摂取した場合、医師の判断に基づき、生物学的影響を低減するための除染治療を行う。除染治療においては、摂取した放射性物質の種類や摂取経路等を踏まえ、適切な方法を選択する。消化管での吸収を低減するためには、胃洗浄や下痢の投与、プルシアンブルーなどの(Q)イオン交換剤投与などが行われる。主に腎臓から排泄される核種については(R)利尿剤の投与が、そして、安定同位体投与により内部被ばくを低減する方法の例としては、トリチウム摂取の際の(S)水分摂取があげられる。キレート剤による体外排泄促進法では、コバルトや銅などの重金属についてはペニシラミンが、プルトニウムアメリシウムなどの超ウラン元素については(T)DTPAがそれぞれ用いられる。これらの処置は、体外排泄効果をモニタリングしながらその継続の可否を判断する。」