放射線取扱主任者試験に合格しよう!

資格取得を目指す皆さんを応援します

DNAの損傷と修復

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
昨日までに細胞が損傷を受けた場合の回復について、SLD回復、PLD回復の記事を紹介しました。
今日はDNAの損傷と修復についてまとめた記事を紹介したいと思います。
第7版放射線概論ではP.261-266に記載されている内容になります。

DNAは塩基、糖(デオキシリボース)、リン酸が1分子ずつ結合したヌクレオチドが数多くつながり、鎖がらせん状に2本並んだ巨大な分子です。
DNAをつくる塩基:A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)
これら4つの塩基のうち、
 プリン塩基:A(アデニン)、G(グアニン)
 ピリミジン塩基: T(チミン)、C(シトシン)

DNA損傷(起こりやすい順)
①塩基損傷:・OHによる酸化
②塩基遊離:脱塩基反応(塩基と糖の間の結合が切れる)
③1本鎖切断
④2本鎖切断:高LETで割合が増す(1本鎖切断の10倍のエネルギーが必要)細胞死

DNA修復
光回復
紫外線による損傷であるピリミジンダイマーが光回復酵素の存在下で可視光のエネルギーを利用してモノマーに戻し回復する。光回復酵素は、ウィルスとヒトを含む哺乳動物には存在しない。

放射線取扱主任者試験で是非覚えておきたい疾患である色素乾皮症(XP)はピリミジンダイマーを修復できないために起こる疾患です。
色素乾皮症(XP)は毛細血管拡張性運動失調症(AT)と並んで放射線取扱主任者試験でも出題頻度の高い疾患ですので必ず覚えておいて下さい。
本ブログの4月4日の記事(毛細血管拡張性運動失調症(AT)と色素乾皮症(XP))で紹介していますのでご覧ください。

塩基損傷の修復
・除去修復
 ①塩基除去修復(損傷のある部位のみ切り出す)
 ②ヌクレオチド除去修復(損傷部位を含めて広い範囲を切り出す)
・1本鎖切断の修復
 組換え修復
・2本鎖切断(高LET放射線で多い)の修復
 ①非相同末端結合:全細胞周期で見られるがG1,G2期で活発、誤りがちな修復
 ②相同組換え:相同な2本のDNAが必要なのでDNA合成後のS期後半~G2期 
        修復エラーなし
  

S期後半~G2期が放射線感受性が低いのは、相同組換え修復に必要な相同なDNAが複製されたばかりで距離的に近く効率よく修復が進むためです。
(第7版放射線概論P.269)
 

(2014年物化生問6Ⅲからの抜粋)
相同組換えによるDNA2本鎖切断の修復は、鋳型として(N)姉妹染色分体を必要とするため、細胞周期の(O)Sの後半から(P)G2に限定される。


2本鎖切断は高LET放射線で起こりやすくなり、1本鎖切断のおよそ10倍のエネルギーが必要です。2本鎖切断の修復は非相同末端結合、相同組換え修復で行われ、1本鎖切断よりも大掛かりになり修復されにくくなります。
X線γ線などの低LET放射線が細胞にほぼ均一に傷害を作るのに対して、α線重粒子線、中性子線などの高LET放射線は、同じ線量でも細胞の局所に傷害が偏って生じます。すなわち、高LET放射線によって細胞の一部に集中して生じた損傷は、低LET放射線によって細胞にまんべんなく生じた損傷よりも修復が難しく、細胞に与える影響が大きくなります。そのため、高LET放射線では 2本鎖切断の割合が増すことになります。
 
イメージ 1
イメージ 2
 
平成17年度生物問10
平成17年度物化生問5
平成19年度生物問4
平成20年度生物問6
平成21年度生物問7
平成21年度物化生問5Ⅰ,Ⅱ
平成22年度生物問3
平成23年度生物問5,6
平成24年度生物問5
平成24年度物化生問5Ⅰ,Ⅱ、問6Ⅱ,Ⅲ
平成25年度生物問3
平成25年度物化生問6Ⅰ
平成26年度生物問4
平成26年度物化生問6Ⅱ,Ⅲ
平成27年度生物問3
平成27年度物化生問6Ⅱ
平成28年度生物問5,6
平成28年度物化生問6Ⅱ,Ⅲ
平成29年度生物問4
平成29年度物化生問5Ⅱ
平成30年度生物問5,6