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酸素増感比(OER)

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
先日、3月27日の記事(間接作用の効果)において酸素効果について少し触れました。それに関連する事項として、今日は酸素増感比(OERについての記事を少し紹介したいと思います。
放射線の酸素効果は簡単に書くと以下のようになります。
「細胞の放射線に対する感受性が,酸素濃度の高い場合に大きくなり,逆に酸素濃度が低い場合には低下する現象」
その酸素効果の指標として酸素増感比(OERがあり、
酸素がない状態下と酸素がある状態下で同じ生物効果を与える放射線の線量の比で、次式で表されます。

  無酸素下である効果を得るのに必要な線量_
  酸素存在下で同じ効果を得るのに必要な線量


OERと線エネルギー付与(LET)との関係を表した図は以下のようになります。
この図は覚えておいてください。 

イメージ 1 

OERは低LET放射線ではおよそ2.5~3で、粒子線のような高LET放射線では
 低LET放射線よりも酸素による放射線感受性の変動が小さく1に近づく
(第7版放射線概論P.261)
・腫瘍組織(がん組織)は低酸素状態を含み、放射線感受性が正常細胞より低下し
 放射線抵抗性になる
・酸素効果は照射時に酸素が存在することが必要であるため、照射後に酸素濃度を
 高めたとしても効果はない(第7版放射線概論P.261)

酸素効果を高める低酸素細胞増感
 低酸素細胞増感剤は、低酸素細胞であるがん細胞に増感作用を持ち、酸素細胞である正常細胞には増感作用を示さないものでがん治療薬剤として期待されるものです。低酸素細胞増感剤はそれ自身は電子を取り込むことで還元され、相手側を酸化するため電子親和力を有するものが用いられます。(第7版放射線概論P.313)

低酸素細胞増感剤:メトロニダゾール、ミソニダゾール
放射線増感剤:
 BUdR(5-ブロモデオキシウリジン)、IUdR(ヨードデオキシウリジン)
 BUdRはウリジンであるが、構造がDNA構成物質であるチミジンと類似のため、DNAに取り込まれやすい。
 ただのウリジンはRNAの合成の標識化合物として用いられることに注意