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スプール、線エネルギー付与(LET)

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日の記事はスプール、線エネルギー付与(LET)に関する記事です。
化学や生物の試験でよく出題されています。生物ではほぼ毎年1問LETの生物作用に及ぼす影響に関する問題が出題されています。今年度28年度の試験では物理問16でもスプール、LETに関する問題が出題されています。
基本的な事項は覚えておきましょう。

放射線照射では、イオン、ラジカル、励起分子が生成しますが、イオン・ラジカルなどの集合体をスプールといい、水和電子はそのスプール内に生成します。

放射線の線質を表す指標であるLET(線エネルギー付与)は、放射線の飛程に沿った単位長さあたりのエネルギー損失です。単位は[keV/μm]などで表されます。
α線、陽子線、重粒子線、中性子線は高LET放射線であり、β線γ線X線は低LET放射線と言われています。
 高LET放射線ほど物質中で失うエネルギーが大きく、スプールの生成が緻密であり、隣同士のスプールが重なり合って連続的な円筒型となります。すなわち、高LET放射線ほどスプールが多く生成し、スプールの長さは線質に依存することになります。
 
高LET放射線の特徴
・直接作用が主である
・分割照射による回復(SLD,PLD)は無いか小さい
(生存曲線:肩が小、Dqが小、N≒1、指数型)
(高LETではDNA2本鎖切断が多くなるため、回復は小さい)
・線量率効果が無いか小さい
・細胞周期依存性(周期による感受性の違い)が無いか小さい
・RBEが大きい
(線量率効果が小さいので、低線量率、分割照射でさらにRBEは大きくなる)
・酸素効果が小さい(OER≒1)
増感剤(低酸素細胞増感剤)の効果が小さい
・防護剤の効果が小さい
・温度効果が小さい
 
X線γ線などの低LET放射線が細胞にほぼ均一に損傷を作るのに対して、α線重粒子線、中性子線などの高LET放射線は、同じ線量でも細胞の局所に損傷が偏って生じます。つまり高LET放射線によって細胞の一部に集中して生じた損傷は、低LET放射線によって細胞にまんべんなく生じた損傷よりも修復が難しく、細胞に与える影響が大きくなります。そのため、高LET放射線では 2本鎖切断の割合が増すことになります。

LETやスプールに関しては、第7版放射線概論では化学の第11章(P.233~)に記載がありますのでよく読んでおいてください。
LETに関しては生物の第8章(P.304)にも記載があります。
 
物理
平成28年度物理問16
 
化学
平成20年度化学問30
平成22年度化学問29
平成23年度化学問28
平成27年度化学問28
平成28年度化学問29
 
生物
平成17年度生物問28
平成18年度生物問27
平成19年度生物問28
平成20年度生物問27
平成22年度生物問28
平成23年度生物問28
平成24年度生物問30
平成25年度生物問25,26
平成26年度生物問25
平成27年度生物問28
平成28年度生物問27