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光子と物質の相互作用

ブログをご覧のみなさん、こんにちは。
本日も旧ブログから物理学の記事の移設をひとつ行いたいと思います。
 
高エネルギー加速器研究機構のホームページ↓
 http://accwww2.kek.jp/oho/OHOtxt4.html
には、いろいろ参考になる資料のpdfファイルが無料でダウンロードできます。

例えば、2011年の佐々木慎一(KEK)講師の『7.放射線物理計測基礎論』
『7.放射線物理計測基礎論』のP.11の図2.4は平成21年度の物化生の問2の図と同じです。といっても、この図は光子と物質の相互作用で非常に重要な図ですので、第7版放射線概論P.114にもあります。
自分で描けるようにしておくと必ず役に立ちます。
 
図から分かるように、およそ1~3MeVの光子では、全ての物質とコンプトン散乱を起こすことになります。
 
イメージ 1
 

《平成21年度物理問18》
鉛と光子の相互作用を判断する場合、鉛は原子番号Z=82なので、上図からコンプトン散乱を起こす光子のエネルギー範囲は500keVから4MeVくらいであることが分かります。よって、平成21年度物理問18の選択肢Dは誤りであることが分かります。

平成23年度物理問18》
光子が水中に入射する場合を考えると、水の実効原子番号は7.5なので上図からコンプトン散乱が支配する範囲が大きいことが分かります
A 0.1MeVの光子と水との相互作用は、図よりコンプトン散乱であるため正しい。
B 鉛は原子番号Z=82なので、1MeVの光子と鉛との相互作用は、図よりコンプトン
      散乱であるため誤り。
C 2MeVの光子と水との相互作用は、図よりコンプトン散乱であるため誤り。
D   10MeVの光子と鉛との相互作用は、図より電子対生成であるため正しい。
      よって、平成23年度の物理問18はADが正しいため、正答は2となります。

その他、平成24年度物理問17、平成26年度物理問17でも出題されています。
平成28年度物理問18、平成29年度物理問18もこの図を知っていれば解くことができます。
平成30年度物化生問1Ⅱ(B)もこの図を書ければ正答は簡単に分かりますね。

『7.放射線物理計測基礎論』のP.18は、平成21年度の物化生の問2のⅡにかなり近いですね。
『7.放射線物理計測基礎論』のP.32の図3.8は、平成23年度の管理測定技術の問1のⅢの図と似ていますね。

2011年の佐々木慎一(KEK)講師の『7.放射線物理計測基礎論』は時間があれば読んでみるといいと思います。