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2022年度の試験問題から⑦

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日も2022年度の問題を見てみましょう。

第一種試験実務の問題6です。

2022年度第一種試験実務問6からの抜粋

解答

具体的には、日本の原爆被爆者の寿命調査(Life Span Study)を中心とした疫学研究による各臓器・組織に対するがんの罹患率等のデータから、各臓器・組織の部位別の生涯リスクを推定した。次いで、(B)骨髄以外の臓器・組織のがんのリスクについては、線量・当量率効果係数を考慮して、推定値を(ア)2分の1に調整した。ここで得られた推定値から、疾患の自然発生率が異なる集団間で一般化するために、適切に重み付けして各臓器・組織の症例数を推定する方法を定めてアジア4集団と欧米3集団に適用し、その平均として、各臓器・組織の1万人当たり1Sv当たりに増加する症例数を求めた。これを「(C)名目リスク係数」と呼ぶ。さらに(C)名目リスク係数に対して、致死率、QOL、寿命損失などの確率を評価して各臓器・組織の1万人当たり1Sv当たりの(D)損害を計算し、その合計値として、「(D)損害で調整された(C)名目リスク係数」が求められた。これにより得られた数値をもとに、がんについて全集団で(イ)5.5%Sv、成人作業者で(ウ)4.1%Sv、(A)遺伝性(的)影響について全集団で(エ)0.2%Svという推定値が示された。

組織加重計数についても(D)損害から推定されている。(D)損害を合計して1になるように規格化した相対(D)損害を計算したうえで、この推定過程における不確実性を考慮し、各臓器・組織を4つのカテゴリーにグループ分けして、それぞれの組織・臓器に対してグループに共通の値を割り当てた。例えば(E)骨表面、唾液腺、皮膚に対しては0.01という値が、(F)膀胱、食道、肝臓に対しては0.04という値が割り当てられている。

 

(イ)、(ウ)、(エ)で問われている名目リスク係数の値は近年よく出題されています

第一種試験

 2019年度生物問26

 2017年度管理測定技術問5Ⅰ

 2016年度管理測定技術問5Ⅰ

 2015年度管理測定技術問5Ⅰ

 2014年度生物問20

第二種試験

 2022年度生物問11

 2022年度生物問9

 2017年度管理技術Ⅰ問2Ⅲ

 2015年度管理技術Ⅰ問1Ⅲ

 

名目リスク係数とは確率的影響を評価するため被ばく1Svあたりのがん及び遺伝的影響の発生頻度を表しています。


低線量・線量率の確率的影響の名目リスク係数(10-2[Sv-1])

        全集団(子供から老人までの全ての年齢集団)  成人集団
がん                 5.5%            4.1% 
遺伝的影響              0.2%            0.1%  

例えば、人が0.20Svの放射線を受けた場合には、
 0.055 × 0.20 = 0.011
と計算し、がんに罹患する確率が1.1%増加すると考えます。
放射線を受けていない人のがんの罹患率が33%の場合、それに1.1%だけ罹患率が増えてがんでの罹患率が34%ほどになると考えてもらえばよいかと思います。


 

名目リスク係数に関しては、全ての値を暗記する必要はありませんが、過去に試験に出題された数値くらいは覚えておくと良いでしょう。
放射線加重係数、組織加重係数の値は確実に暗記しておかなくてはなりません。
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