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名目リスク係数

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
昨日、放射線防護に関する記事を紹介しました。
その中で名目リスク係数という用語が出てきましたが、名目リスク係数とは確率的影響を評価するため被ばく1Svあたりのがん及び遺伝的影響の発生頻度を表しています。


低線量・線量率の確率的影響の名目リスク係数(10-2[Sv-1])

        全集団(子供から老人までの全ての年齢集団)  成人集団
がん                 5.5%            4.1% 
遺伝的影響              0.2%            0.1%  

例えば、人が0.20Svの放射線を受けた場合には、
 0.055 × 0.20 = 0.011
と計算し、がんに罹患する確率が1.1%増加すると考えます。
放射線を受けていない人のがんの罹患率が33%の場合、それに1.1%だけ罹患率が増えてがんでの罹患率が34%ほどになると考えてもらえばよいかと思います。



名目リスク係数の値に関しては、平成29年度の第2種試験の管理技術Ⅰ問2Ⅲでも出題されていますので掲載します。参考にして下さい。

平成29年度第2種試験管理技術Ⅰ問2Ⅲからの抜粋

「国際放射線防護員会(ICRP )が提唱する放射線防護体系では、確率的影響の防護にあたっては、線量及び線量率の高低にかかわらず同じ突然変異が確率的に生じ、影響の発生率は線量に比例するとう仮定に基づいて、(L)しきい線量のない直線モデルが適用されている。
 この(L)しきい線量のない直線モデルに従い、高線量・高線量率被ばくである原爆被爆者のがんの発生率から、リスク係数(単位線量当たりのがんの発生率)を求める。低線量・低線量率被ばくでのリスク係数を推定するためには(M)線量・線量率効果係数を2として、原爆被爆者等のデータから得られたリスク係数を2で除することにより低線量域でのリスク係数の推定値が得られる。
 ICRPは、ある年齢分布の集団における確率的影響について男女で平均したリスク係数(名目リスク係数)を勧告している。ICRP2007年勧告では、子供から老人までの全ての年齢集団(全集団)で1Sv当たりのがんの名目リスク係数を5.5%、成人(18歳から64歳までの就労年齢)集団で4.1%としている。
 同様に、遺伝性(的)影響を名目リスク係数も示されているが、ICRP2007年勧告では、評価対象を被ばくした個人からみてはじめての(イ)2世代までに限り、突然変異からの回復があることなどを考慮した結果、ICRP1990年勧告値よりも小さく、1Sv当たり、全集団で(ウ)0.2%、成人集団で0.1%となった。
 確率的影響の防護では、(L)しきい線量のない直線モデルが前提となるので、確定的影響のように線量限度を設けて発生を防止することができない。そこで臓器・組織によるリスクの違いに基づく(N)組織加重係数を用いて、放射線被ばくにおける(O)実効線量を算定し、(O)実効線量限度を超えないように平常時の被ばくを制限する。その値は、放射線業務従事者では5年間の積算値が(エ)100mSv(いずれの一年においても(オ)50mSv)と定められている。」