放射線取扱主任者試験に合格しよう!

資格取得を目指す皆さんを応援します

2022年度第二種試験問題総評 物理・化学・生物編

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

令和4年度の第二種試験の総評を掲載致します。

 

2022年度第二種試験問題総評

【物理化学生物】

例年並みの難易度の問題かと思います。

選択肢によっては少し難しいものもありますが、参考書で基本的なことをしっかりと勉強し、5年間から7年間分の過去問題を解いておけば6割から7割は十分得点できる問題です。

物理は過去問題とほぼ同じ問題が数題出題されています。

問11の文章問題は、物理、化学、生物いずれの課目もいくつか迷う設問はありますが、比較的解きやすく得点しやすい問題であったかと思います。

 

【物理】

問1、問2、問4は過去問題とほぼ同じ問題です。問1は2013年度管理技術Ⅱ問3、問2は2012年度管理技術Ⅱ問4、問4は2011年度管理技術Ⅱ問3とほぼ同じ問題です。過去問題を解いておけば正答できます。

問3の計算問題は少し難しかったですね。KL2L3オージェ電子という言葉が難しかったかもしれません。2020年度の物理問4では特性X線の運動エネルギーを求める問題が出題されています。合わせて復習しておきましょう。

問5は内部転換の問題、問6は荷電粒子と物質の相互作用に関する問題です。どちらも重要な分野ですので基本的なことをしっかり勉強しておくことが大切です。

問7の中性子捕獲反応に関する問題はちょっと難しかったかもしれません。捕獲反応(n,γ)は中性子と物質の相互作用のひとつであり重要な反応ですのでしっかり勉強しておきましょう。

問8の単位は毎年出題されています。単位を理解しておくと計算問題を解く際にも役立ちます。

問9はブラッグ・グレイの空洞原理に関連する計算問題です。1種試験ではよく出題されていますが、2種試験では難しかったかもしれません。

問10は半価層に関する問題です。2014年度管理技術Ⅱ問16に同様の問題が出題されています。半価層の公式、また指数計算について勉強しておくことが大切です。

問11は文章問題です。

Ⅰは光子と物質の相互作用についての問題で、(B)(C)は迷ったかもしれませんが、それ以外は基本的な問題です。(イ)はコンプトンエッジ(コンプトン端)を求める計算問題ですが、問題文中に公式がありますので代入するだけです。

Ⅱの図は非常に重要な図ですので自分で描けるようにしておくと必ず役に立ちます。この問題も図の見方を理解しておけば全て正答できます。1種試験では光子と物質の相互作用に関してこの図を覚えておくと得点できる問題がよく出題されています。

 

【化学】

問1は放射能に関する計算問題、問2は放射平衡に関する基本的な問題です。どちらも正答したいですね。指数計算はマスターしておきましょう。

問3は元素に関する問題です。安定同位体が存在しない元素としてTc、Pm、Bi以降の元素は覚えておきたいですね。

問4は中性子源に関する問題です。中性子源も放射線取扱主任者試験では非常によく出題されています。252Cfや241Am-Be 、226Ra-Beは覚えておきたいですね。

問5は核種の半減期に関する問題です。重要な核種の半減期や壊変、エネルギーは暗記しておきましょう。β線エネルギー、γ線エネルギーの大小の順番を問う問題もよく出題されます。

問6はいずれも壊変系列を作る天然放射性核種に属する核種です。壊変系列は暗記しておくと得点につながります。

問7は40Kの放射能を求める計算問題です。40Kの放射能に関しては今年度の1種試験化学問4でも出題されています。2種試験では2015年度管理技術Ⅱ問19Cでも出題されています。2014年度管理技術Ⅰ問5Ⅳの問題文中にもありますね。

問8は壊変に関する問題です。運動エネルギーが問われていますので少し戸惑ったかもしれません。

問9は放射線を利用した機器に関する問題です。2種試験ではよく出題されていますので、厚さ計、水分計、硫黄計、密度計などに利用される核種は覚えておきましょう。

問10は放射線化学に関する問題です。放射線と水との相互作用にも関係するので生物の試験でもよく出題される分野です。水和電子、ラジカル、還元剤、スプール、G値などの用語は押さえておきたいですね。

問11は年代測定に関する文章問題です。14Cを利用した年代測定に関する問題は1種試験でよく出題されています。1種試験では計算問題として出題されることが多く難しい問題ですが、本問題は計算問題もなく6割から7割は十分正答できます。(C)(D)(E)(H)は知識として知っておきたいですね。

 

【生物】

問1は骨髄死の問題です。骨髄死や腸管死の線量との関係や症状など基本的なことは暗記しておきましょう。1種試験でもよく出題されています。

問2は放射線感受性に関する問題です。ベルゴニー・トリボンドーの法則は2種試験では2021年度の生物問6や2015年度の管理技術Ⅰでも出題されています。

問3は白内障に関する問題です。白内障は2016年、2012年の管理技術Ⅰでも出題されています。代表的な確定的影響についてしきい線量は暗記しておきましょう。

問4の有効半減期に関しては物理的半減期、生物学的半減期の関係として公式を覚えておきましょう。計算問題としても出題されます。

問5、問6、問7で出題されているDNA損傷と修復、染色体異常、細胞周期、分割照射などは放射線取扱主任者試験では非常によく出題されています。しっかり勉強しておいて下さい。

問8の胎内被ばくに関しては、奇形や精神発達遅滞、発育遅延といった時期的影響としきい線量は暗記しておきましょう。胎内被ばくも試験では頻繁に出題されています。

問9の遺伝性影響の問題はちょっと難しかったですね。

問10の高LET放射線、低LET放射線も頻繁に出題されていますので特徴をしっかり覚えておきましょう。

問11は放射線がんに関する文章問題です。

いくつか迷う問題もありますが6割は正答できると思います。(F)や(ア)のがんの名目リスク係数などは知識がないと正答できない問題です。白血病、固形がんの特徴は知っておきたいですね。近年では1種試験、2種試験とも名目リスク係数が出題されています(2種試験では2017年度管理技術Ⅰ問2Ⅲ、2015年度管理技術Ⅰ問1Ⅲ)ので、ICRP2007年勧告のがん、遺伝性影響に関する全集団及び成人の名目リスク係数は覚えておくとよいでしょう。