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2019年度第一種試験問題総評 生物編

2019年度第一種試験問題総評

【生物】

いくつか難しい問題や選択肢の中で正誤の判断を迷うものもあります。消去法により正答にたどりつける問題もありますが難易度は例年より少し難しかったかもしれません。過去問題をしっかりと解いて臨み、6割は得点できるようにしたい問題です。

近年ではDNAやタンパク質など生化学の問題が出題される頻度も高くなっています。来年度以降の受験を考えている人は生化学に関して基礎的なことは勉強しておいた方がよいかと思います。

 

問1のPET核種を使用した標識化合物の問題は過去にも幾度と出題されています。

問2は放射線の産業利用に関する問題で農業分野での吸収線量についての問題です。放射線の産業利用に関する事例は主なものは覚えておきましょう。本問題では吸収線量まで問われているので難しい問題だったかと思います。この問題で吸収線量を覚えておくとよいでしょう。

問3、問8は放射性核種の臓器親和性に関する問題です。問3の骨に集積する核種は非常によく出題されています。放射性核種が集積する臓器は確実に覚えておきましょう。

問4は急性放射線障害に関する問題ですが、近年同様な問題が出題されています。詳細な症状、数値まで覚えておかなくてはいけないので難しい問題かと思います。同様の過去問題を解きながら暗記するのがよいでしょう。

問5の急性被ばくに関しては骨髄死、腸管死、中枢神経死の線量や生存期間、またヒトの半致死線量などを確実に覚えておきましょう。被ばく後の末梢血中の変化については毎年のように出題される分野です。各血球の変化を表す図をおおまかでも自分で描けるようにしておくとよいでしょう。

問6は唾液腺への被ばくに関する問題です。唾液腺に関しては2012年度の生物でも出題されていますが、この問題も難しい問題だったかと思います。

問7は相対リスクに関する問題です。相対リスクや絶対リスクに関する問題は出題頻度が高いので過去問題をしっかりと解いて考え方を理解しておきましょう。この問題もやや難です。

問9、問11は医療被ばくや自然放射線に関する問題です。医療被ばく線量や自然放射線量は変化するものなので、できるだけ最新の情報で数値は覚えておきましょう。古い過去問題と最近の過去問題とでは正答が異なる場合もありますので注意が必要です。

問12、問13の直接作用、間接作用は問題です。生物の問題では毎年のように出題されている分野です。間接作用の修飾効果も非常に出題頻度の高い分野ですので確実に覚えておきましょう。問16が修飾効果に関する問題です。

問14、問15はDNA損傷やその修復に関する問題です。DNA損傷やその修復に関する問題も毎年必ず出題されている分野です。細胞周期や周期毎の感受性などと合わせて覚えておくとよいでしょう。

問17は計算問題です。今年度2019年度の物理や昨年度2018年度の物理及び生物でも同じ考え方で解く問題が出題されています。近年はこのような計算問題がよく出題されています。難しい問題ですが過去問題をしっかり解いて解き方を理解して下さい。

問18のアポトーシスも頻出問題です。特徴を確実に覚えておきましょう。

問20はブラッグピークに関する問題です。がん治療と合わせて理解しておきましょう。

問22は眼の放射線影響における白内障や水晶体混濁に関する問題です。2012年度及び2016年度の第二種管理技術Ⅰの試験においてに類似の問題が出題されていますが、やや難しい問題だったかと思います。

問24は皮膚障害に関する問題です。皮膚に関しては被ばく線量と症状の関係が複雑ですので難しい問題だったかと思います。皮膚の主要な障害に関してはしきい線量を覚えておきましょう。

問26は名目リスク係数に関する問題です。近年では名目リスク係数に関する問題が非常によく出題されています。ICRP2007年勧告のがんの名目リスク係数の値(5.5%、4.1%)や遺伝性(的)影響の名目リスク係数の値(0.2%、0.1%)は暗記しておいた方がよいでしょう。

問29で出題されている99mTcのように核医学に利用される核種は201Tl、67Gaなどいくつかありますので確実に覚えておきましょう。

問30はホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に関する問題です。基本的な原理と10B(n,α)7Liの核反応は覚えておきましょう。

問31 Ⅰは細胞死や生存曲線に関する文章問題です。増殖死や間期死などの細胞死に関する文章問題は過去の物化生でも幾度か出題されています。コロニー形成に関しても過去に物化生で出題されていますが、コロニー形成率の計算問題は最近は出題されていなかったので戸惑ったかもしれません。後半はRBEやOER、また生存曲線のα/β比に関する問題です。これらも物化生の過去問題で出題されていますので過去問題をしっかり解いて臨めば得点できる問題です。

Ⅱの前半はベルゴニー・トリボンドーの法則に関する文章問題で基本問題です。後半は急性障害に関する問題です。皮膚や小腸などの幹細胞に関しては放射線概論にも記載されていますし、物化生の過去問題でも出題されています。

問32 Ⅰは毛細血管拡張性運動失調症に関する文章問題です。毛細血管拡張性運動失調症に関しては過去の物化生でも幾度と出題されていますが、本問題は専門的な内容が問われ難しい問題だったかと思います。この問題を通して毛細血管拡張性運動失調症に関して理解を深めて下さい。

Ⅱは昨年度2018年度の物化生で出題された問題の類題です。昨年度の過去問題をしっかり解いて試験に臨んだ人は得点できたかと思います。数年前から生物分野ではDNAの構造やタンパク質など生化学の問題が非常によく出題されるようになってきました。基本的な生化学に関する勉強を行うとともに、過去5年間分程度の物化生の過去問題は必ず解いて試験に臨むことが大切です。