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2020年度第二種試験問題総評 実務編

2020年度第二種試験問題総評

【実務】

問1は実効線量に関する問題です。意外とこのような問題はあやふやな記憶の人もいますので再度確認しておきましょう。Aが誤りでDが正しいことが分かれば正答できますね。

問2は防護の基本原則に関する問題です。ICRP2007年勧告での3つの防護、「正当化」「最適化」「線量限度」は必ず覚えておきましょう。第二種試験では2021年の実務問5でも防護体系の3つの基本原則に関する問題が出題されています。

問3の実効線量率定数は、放射性物質から1m離れた位置での空間線量率を実効線量率で表すための係数で、単位は[μSv・m2・MBq-1・h-1]です。γ線エネルギーが大きい核種ほど実効線量率定数の値も大きいことが分かれば正答は導けます。実効線量率定数に関しては重要な公式がありますね。実務(旧管理技術Ⅰ)の問題では毎年この公式を用いる計算問題が1問出題されています。今年度も問11で出題されています。

問4は光子束の減弱に関する問題です。半価層が与えられていますので、1/10価層の値が分かれば正答は導けますね。光子束の減弱に関しても重要な式がありますので必ず暗記しておきましょう。

問5、問6は放射線測定器に関する問題です。放射線測定器に関しては、測定できる放射線の種類は確実に覚えておきましょう。また、比例計数管、GM計数管、シンチレーション検出器、半導体検出器は非常によく出題されていますので、原理や特徴についてはしっかり勉強しておいて下さい。

問7は個人線量計に関する問題です。第二種試験では個人線量計に関する問題が非常によく出題されています。本問題の蛍光ガラス線量計はOSL線量計、熱ルミネセンス線量計と並んで非常に出題頻度の高い線量計ですので必ず勉強しておきましょう。

問8は個人被ばく線量の評価に関する問題です。体外計測法やバイオアッセイ法などは出題頻度の高い分野です。ホールボディカウンタなどの装置の概要、スミア法などはしっかりと押されておきましょう。

問9は防護服に関する問題です。過去にもあまり出題されていないかもしれませんが基本的な問題ですので普通に考えれば正答できる問題です。

問10は除染剤に関する問題です。今年度(2020年度)の化学問9でも化学物質に関して除染に関する問題が出題されています。本問題は実務の見地からの問題ですが、漏洩した放射性物質の除染は効率的に行う必要があります。マーキングをすることや固着しないうちにできるだけ早めに除染することを覚えておきましょう。

問11

第二種試験では毎年必ず出題されている計算問題です。今年度の問題は計算量も少なく解きやすい問題だったかと思います。

Ⅰは実効線量率を求める公式をしっかり暗記して計算間違いをしないように落ち着いて計算すれば正答できる問題です。毎年、法令に絡めて人が常時立ち入る場所、管理区域境界、事業所の境界の線量限度等も出題されていますので確実に暗記しておきましょう。(I)は線源の交換時期に関する問題ですが、第二種試験では過去にも同様の問題が旧管理技術Ⅰで出題されています。(2010年問2Ⅱ、2011年問3Ⅱ、2013年問3Ⅱ)過去問題を解いていた人は正答できたかと思います。

Ⅱは個人線量計に関する問題です。第二種試験では個人線量計に関する問題が非常によく出題されています。実務問7でも出題されています。蛍光ガラス線量計、OSL線量計、熱ルミネセンス線量計は出題頻度が高い線量計ですのでしっかり勉強しておく必要があります。後半の不均等被ばくの可能性があるときの個人被ばく線量管理については、第二種試験では2012年の管理技術Ⅰ問3Ⅲで出題されています。参考までに第一種試験でも2007年の管理測定技術問6Ⅰで出題されています。

問12

Ⅰの前半は90Srに関する基本的な問題です。90Srと90Yは永続平衡の関係にあります。両核種の壊変、半減期やエネルギーは確実に暗記しておかなくてはなりません。紛失時の報告などは法令に関する基本問題ですので、こちらも確実に正答できるようにしておきましょう。第二種試験では2010年の管理技術Ⅰ問3Ⅰでも同様の問題が出題されています。(ア)の放射能を求める問題は今年度(2020年度)の化学問1でも同様の問題が出題されています。

Ⅱは90Srに関する被ばくの出題です。β線の防護に関しては制動放射線を考慮する必要があります。体外計測法やバイオアッセイ法なども出題頻度の高い分野です。吸収線量、等価線量、実効線量などの意味も理解しておくとともに、放射線加重係数や組織加重係数を用いて吸収線量から等価線量、実効線量を求める公式も暗記しておきましょう。

Ⅲはサーベイメータに関する問題です。放射線測定器に関しては、測定できる放射線の種類、線量域、またエネルギー測定が可能かどうかは押さえておく必要があります。