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過渡平衡(140Ba-140La)

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

先日、化学の基本計算の記事において、アクチニウム系列に属する核種の 223Ra と 219Rnの間に永続平衡が成立することを書きました。

今日は過渡平衡で重要な核種 140Ba と 140La について覚えましょう。140Ba -140La の過渡平衡は非常に重要で試験でも頻繁に出題されています。

2021年度の試験では、化学問4でも出題されています。

140Ba

半減期12.8日 β-壊変

140La

半減期1.68日 β-壊変

 

140Ba はβ-壊変して 140La になります。

親核種である140Baの半減期12.8日は娘核種である 140La の半減期1.68日に比べて長いため、両者の間には過渡平衡が成立します。

過渡平衡のおさらい
・過渡平衡は、親核種1の半減期が娘核種2の半減期に比べて長いときに成立(T1>T2
・全放射能(親核種と娘核種の和)が最大となる時間は、娘核種の放射能が最
    大となる時間よりも早い
・娘核種の放射能が最大となる時間では、娘核種の放射能と親核種の放射能
    が等しくなる
・娘核種の放射能は親核種の半減期に従って減少していく
 
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2021年度第一種試験化学問4を以下に掲載します。この問題は2008年度第一種試験の化学問10の類題です。

2021年度第一種試験化学問4

2008年度第一種試験化学問10

1.0MBqの 140Ba と過渡平衡にある 140La の放射能[MBq] として最も近い値は次のうちどれか。ただし、140Ba の半減期は12.7日、140La の半減期は1.68日とする。

(正答 1.15MBq)

 

140Ba-140La の過渡平衡に関する問題で是非解いておいて欲しい問題を掲載します。

2016年度第一種試験化学問8

140Ba は以下のように2回β-壊変して 140Ce になる。分離精製した 140Ba 試料に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 140La の放射能が最大となる前に、140Laと140Baの放射能の和に極大が

    あらわれる。
B 140Laの放射能が最大となるとき、140Laと140Baの放射能の和は、その時点

      における 140Baの放射能の2倍に等しい。
C 140Laの放射能が最大になった後、140Laの放射能140Baの放射能の比

      は、次第に一定になる。
D 140Laの放射能が最大になった後、140Laの原子数と140Baの原子数の比

      は、次第に一定になる。

2014年度第一種試験化学問7

140Baは半減期12.8日でβ-壊変して140Laとなり、140La(半減期1.68日)はβ-壊変して140Ce(安定)になる。この逐次壊変で、140Laを分離除去した140Baから生成する140Laの放射能が最大となるときをtmaxとすると、次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A tmaxでは、140Laの生成速度と壊変速度は等しい。
B tmaxでは、140Laの放射能140Baの放射能に等しい。
C tmaxの後は、140Laの放射能140Baの放射能を常に上回る。
D tmaxの後は、140Laの放射能は次第に半減期12.8日で減衰するようになる。

2015年度第一種試験物化生問3Ⅱからの抜粋

過渡平衡の一例として、140Baの壊変系列を見てみる。

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140Ba中に生じている140Laを分離除去した後、純粋な140Baを保存すると、半減期12.8日で140Baがβ-壊変し、次第に140Laの量(放射能)が増加する。その結果、(I)日後に140Laの放射能が最大になる(ただし、ln7.6=2.03)。その後、140Laの放射能は、親核種140Baの放射能を(イ)、次第に半減期(J)日で減衰するようになる。

生成する140Laを無担体で分離するには、140Baと140Laを含む溶液に、(K)及びFe3+を加え、アンモニアアルカリ性にすることによってFe3+を(L)として沈殿させる。水溶液中で生成した140Laは(M)価であり、Fe3+と共沈する。沈殿をろ別したのち、塩酸に溶かし、ジイソプロピルエーテルを用いた溶媒抽出によりFe3+を除くと140Laが得られる。この場合、Ba2+は保持担体であり、Fe3+140Laを無担体で取り出すための非同位体担体である。

 

放射線取扱主任者試験では暗記すべきことをしっかりと覚えることで貴重な1点を確実に得点することが大切です。

その1点ずつの積み重ねが合格という目標を達成させてくれます。