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過渡平衡について

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

 

今日は放射平衡に関する記事を少し書きたいと思います。

放射線取扱主任者試験における放射平衡の問題では、永続平衡として90Sr-90Yが、過渡平衡としては140Ba-140Laが非常によく出題されています。

 

令和4年度(2022年度)の第一種試験化学問5でも140Baと140Laに関する問題が出題されていますので、今日は140Baと140Laを覚えましょう。

(令和4年度(2022年度)は第二種試験化学問2でも放射平衡が出題されています)

 

140Ba 半減期12.8日 β-壊変

140La 半減期1.68日 β-壊変

 

140Baはβ-壊変して140Laになります。

親核種である140Baの半減期12.8日は、娘核種である140Laの半減期1.68日に比べて長いため、両者の間には過渡平衡が成立します。

140Ba -140Laの過渡平衡は非常に重要ですので必ず暗記しておきましょう。

 

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放射平衡における親核種、娘核種の原子数を表す公式も放射線取扱主任者試験では超重要公式ですので必ず暗記しておかなくてはなりません。(λは壊変定数)

親核種1の原子数 

 

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娘核種2の原子数 

 

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通常、娘核種2の最初の原子数は0であることが多いので、N2は以下の式で表されます。

 

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〈過渡平衡の特徴〉
・親核種1の半減期が娘核種2の半減期に比べて長いときに成立(T1>T2

・娘核種2の放射能は親核種1の半減期に従って減少していく
・娘核種2の放射能が親核種1の放射能よりも大きくなる
・娘核種2の放射能が最大となる時間では娘核種2と親核種1の放射能とが等しくなる
 
140Ba-140Laのように過渡平衡になる場合においては、娘核種2の原子数は、さらに以下の式に近似することができます。(この式も超重要公式ですので必ず暗記すること)
 
 
 
放射能の比は、
 
     
 
すなわち、娘核種2の放射能が親核種1の放射能よりも大きくなります。

 

140Ba-140Laのように過渡平衡に関する過去問題として、第一種試験の化学では以下のような問題も出題されています。

是非解いてみて下さい。

2022年度化学問5

140Ba-140Laのように過渡平衡に関する過去問題として、第一種試験の化学では以下のような問題も出題されています。解けるように勉強しておきましょう。

精製した140Ba(半減期12.75日)から140La(半減期1.68日)が生成し、140Baと140Laが過渡平衡となっているとき、次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 140Laの放射能140Baの放射能より大きい。
B 140Laの比放射能は、時間とともに減少する。
C 原子数の比(140La/140Ba)は約7.6である。
D 水酸化鉄(Ⅲ)共沈法で、水溶液中の140Laを140Baから分離することがで

   きる。

2021年度化学問4

1GBqの140Ba(半減期13日)の質量[g]は、これと過渡平衡にある140La(半減期40時間)の質量[g]の何倍か。次のうち最も近い値はどれか。

2016年度化学問8

140Baは以下のように2回β-壊変して140Ceになる。分離精製した140Ba試料に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A 140Laの放射能が最大となる前に、140Laと140Baの放射能の和に極大があ

   らわれる。

B 140Laの放射能が最大となるとき、140Laと140Baの放射能の和は、その時

   点における140Baの放射能の2倍に等しい。

C 140Laの放射能が最大になった後、140Laの放射能140Baの放射能の比

   は、次第に一定になる。

D 140Laの放射能が最大になった後、140Laの原子数と140Baの原子数の比

   は、次第に一定になる。

2014年度化学問7

140Baは半減期12.8日でβ-壊変して140Laとなり、140La(半減期1.68日)はβ-壊変して140Ce(安定)になる。この逐次壊変で、140Laを分離除去した140Baから生成する140Laの放射能が最大となるときをtmaxとすると、次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

A tmaxでは、140Laの生成速度と壊変速度は等しい。

B tmaxでは、140Laの放射能140Baの放射能に等しい。

C tmaxの後は、140Laの放射能140Baの放射能を常に上回る。

D tmaxの後は、140Laの放射能は次第に半減期12.8日で減衰するようにな

   る。

2015年度第一種試験物化生問3Ⅱ

過渡平衡の一例として、140Baの壊変系列を見てみる。

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140Ba中に生じている140Laを分離除去した後、純粋な140Baを保存すると、半減期12.8日で140Baがβ-壊変し、次第に140Laの量(放射能)が増加する。その結果、(I)日後に140Laの放射能が最大になる(ただし、ln7.6=2.03)。その後、140Laの放射能は、親核種140Baの放射能を(イ)、次第に半減期(J)日で減衰するようになる。

生成する140Laを無担体で分離するには、140Baと140Laを含む溶液に、(K)及びFe3+を加え、アンモニアアルカリ性にすることによってFe3+を(L)として沈殿させる。水溶液中で生成した140Laは(M)価であり、Fe3+と共沈する。沈殿をろ別したのち、塩酸に溶かし、ジイソプロピルエーテルを用いた溶媒抽出によりFe3+を除くと140Laが得られる。この場合、Ba2+は保持担体であり、Fe3+140Laを無担体で取り出すための非同位体担体である。

 

参考までに、La(ランタン)に関しては140La以外に139Laがアクチバ ブルトレーサーに使用されています。放射線取扱主任者試験ではよく出題されていますので合わせて覚えておきましょう。
 アクチバブルトレーサーに使用される元素:139La、55Mn、79Br、151Eu

 

覚えることで得点できるものは確実に暗記しましょう!