放射線取扱主任者試験に合格しよう!

資格取得を目指す皆さんを応援します

2021年度第二種試験問題総評 物理編

2021年度第二種試験総評

【物理】

問1は光子に関する問題です。X線γ線については「光子」とひとくくりに覚えているだけで定義を含めた性質について知らないこともあるかと思いますので、この問題を通して復習しておくと良いでしょう。

問2は原子核に関する問題です。原子核の大きさは原子の大きさと合わせて覚えておきましょう。また、核子の定義も知っておかなくてはなりません。陽子、中性子、電子の質量などは暗記しておくと必ず試験で役に立ちます。結合エネルギーに関しては質量数との関係を表す図がありますので大まかな図は頭に入れておきましょう。核子当たりの結合エネルギーが質量数が60のFe付近で最大になること、またHeでも極大値をもつことは覚えておきましょう。

問3は問2でも出題されている核子当たりの結合エネルギーに関する計算問題です。質量欠損の計算ができれば正答できます。2020年度物理問1、2017年度管理技術Ⅱ問2でも同様の問題が出題されています。

問4は壊変に関する基本問題です。壊変後の生成核種の原子番号、質量数がどのように変化するかは確実に理解しておきましょう。

問5はLET(線エネルギー付与)に関する問題です。本問題は2013年度管理技術Ⅱ問9の類題です。LETは荷電粒子の飛程に沿って単位長さ当たりに局所的に与えられるエネルギー量のことで放射線の線質を表す指標になります。荷電粒子の阻止能、飛程を表す式も重要です。

問6は連続スペクトルに関する問題です。連続スペクトル、線スペクトルを示すものは確実に暗記しておきましょう。暗記するだけで得点に繋がります。

問7はγ線のスペクトルに関する問題ですが難しかったかもしれません。光子と物質の相互作用では光電効果、コンプトン散乱、電子対生成はしっかり勉強しておきましょう。特にコンプトン散乱は計算問題もよく出題されていますので、散乱後の散乱光子のエネルギーを求める重要な公式は確実に覚えておきましょう。また、選択肢Dのコンプトン端(コンプトンエッジ)に関しても時々出題されますので知っておくと良いでしょう。

問8は中性子線源に関する問題です。中性子を放出する核種や核反応として、241Am、226Ra、252Cfは重要ですので必ず覚えておきましょう。

問9は単位に関する問題です。毎年、単位又は用語に関する問題は必ず出題されています。単位は用語の定義を考える上でも基本であり、また計算問題を解く上でも必要になってきます。確実に覚えておかなくてはなりません。

問10は計数率の標準偏差に関する問題です。本問題は2019年度物理問10の類題です。計数値や計数率、またそれらの標準偏差を求める公式がありますので確実に暗記しておけば正答できる問題です。

問11 

Ⅰはチェレンコフ光に関する文章問題です。第一種試験ではチェレンコフ光に関する問題は物理の試験で時々出題されていますが、第二種試験では過去にもあまり出題されていないと思いますので初めて見た人には難しい問題だったかもしれません。チェレンコフ光は物質中の荷電粒子の速度が光速度を超えると発生します。相対論の話と関係してきますので、2020年度物理問11にも関連する問題です。

本問題は文章に沿って行けば(A)(B)は正答できますし、(C)は図1にグラフが与えられていますのでEk>270keVであることも分かります。この運動エネルギーEkを求める問題は第一種試験では物理の試験で出題されたことがあります。(第一種試験物理2012年度問14、2016年度問15)

Ⅱは光子と物質の相互作用からの出題です。光電効果とコンプトン散乱です。上述した問7の選択肢Dの6コンプトン端(コンプトンエッジ)を求める式が(3)に表されています。(3)を自分で導いてみて下さい。

コンプトン散乱に関する問題は数式や計算問題が多く出題されますので、できるだけ多くの過去問題を解いて慣れておくことが大切です。