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原子数の求め方

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

4月に入り一週間が過ぎました。

例年ならば、新しく社会人になった人も進学された人も新しい環境に少しずつ慣れ始めてきた頃かと思いますが、今年度は予想外のコロナウィルスの影響で皆さんの生活も一変していることと思います。昨日は緊急事態宣言まで出されることとなりました。早く収束して日常が戻って欲しく思います。

 

さて、先日はフリッケ線量計の問題に関して解き方の手順を記しました。

その中で最初に①で「Fe3+の原子数を求める」と書きましたが、放射線取扱主任者試験の第一種試験の化学の問題では原子数を問う問題がよく出題されています。

 

2018年度問2

同じ強さの放射能24Na(半減期:15.0時間)と43K(半減期:22.3時間)がある。それらの原子核の個数の比(24Na/43K)として、最も近い値は次のうちどれか。

2017年度問4

10mgの226Ra(半減期1600年)を密閉容器に40日間保管した時、容器内に存在する222Rn(半減期3.8日)の原子数として最も近い値は次のうちどれか。

2015年度問7

1.0Bqの90Sr(半減期28.8年:9.1×108秒)を含むストロンチウム水溶液100mL(ストロンチウム濃度1.0mg・L-1)がある。全ストロンチウムに対する90Srの原子数比として、最も近い値は次のうちどれか。ただし、ストロンチウムの原子量は87.6とする。

2014年度問5

32P、177Luをそれぞれ1kBqを含む10mLの水溶液がある。2週間後の32P/177Luの原子数比として、最も適切なものは次のうちどれか。ただし、32P、177Luの半減期をそれぞれ14日、7日とする。

2012年度問2

放射能で等量の134Cs(半減期2.0年)と137Cs(半減期30年)とがある。10年後の134Csと137Csの原子数比として最も近い値は次のうちどれか。

2011年度問5

1.0MBqの59Fe(半減期3.8×106秒)を含む水溶液10mLがある。この水溶液中の非放射性鉄のモル濃度が0.1mol・L-1のとき、59Feの全鉄に対する原子数比(59Fe/Fe)として最も近い値は次のうちどれか。

2010年度問4

炭素120g中に14Cが3.9Bq含まれている。この場合の14Cと13Cの原子数比14C/13Cとして最も近い値は次のうちどれか。なお、14Cの半減期は5730年、12Cの同位体存在度は99%、アボガドロ数は6.0×1023mol-1とする。

 

原子数はモル数にアボガドロ数6.0×1023を掛けることで計算できます。

ここで、モル数とは何かを知っておかなくてはなりません。

ある物質の1モル(1mol)はその物質の分子量にgをつけた質量になります。
例えば、
 炭酸ガス(CO2)(分子量12+16×2=44)1モルは44g
 塩化水素(HCl)(分子量1+35.5=36.5)1モルは36.5g

 

原子量(または分子量)Mの物質がw[g]あったとすると、そのモル数は、

 f:id:radioisotope_f:20200408175311g:plain

と表せます。公式として覚えておきましょう。

 

炭酸ガス(CO2)44gの原子数は、

 f:id:radioisotope_f:20200408174429g:plain

となります。塩化水素(HCl)36.5gも1モルですから同様に6.0×1023個となります。

 

原子数を求める問題では、放射能を求める公式を利用して原子数を計算することもあります。放射能を求める公式は以下の式になります。重要公式です。

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また、放射能は定義から、
 
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の式でも表されます。
これら2つの式から、後者の式中のNがモル数×アボガドロ数になっているので原子数を表していることも分かります。

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一方、Nの前のλは

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となり壊変定数となります。
壊変定数についてはまた後日説明したいと思います。
 

化学の問題を解くためにはモル数や原子数をいった基本的な計算はできるようにしておかなくてはなりません。