ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
新年度に入り、新しく社会人になった皆さん、そして新しく進学した皆さん、期待と少しの不安を胸に新しい生活を始めていることと思います。
放射線関係の業務に就いた人や放射線を学ぶ学校に進学した人達には是非、放射線取扱主任者の資格取得を目指して欲しく思います。
これから放射線を学んでいく中ではじめに用語について意味を知っておきましょう。
電球や懐中電灯などに例えて分かりやすく説明しているホームページもありますので、それらのホームページを見てみるとよいかと思います。
身近な放射線としては電磁波のひとつであるエックス線があります。健康診断ではお世話になります。また、ガンマ線という言葉も聞いたことがあるかもしれません。
粒子ではアルファ線やベータ線などの言葉を聞いたことがあるかもしれません。
これらエックス線やガンマ線、アルファ線やベータ線を放出できる能力を放射能といいます。
また、放射線を勉強し始めると、ベクレル[Bq]やシーベルト[Sv]、グレイ[Gy]などといった単位が出てきます。それぞれの意味は、
崩壊(壊変)とは、不安定な原子核をもつ物質が安定な原子核をもつ物質に変わることをいい、1秒間に1つの原子核が崩壊(壊変)すると1ベクレル[Bq]と定義されます。ベクレル[Bq]:放射能を表す単位で放射性物質が1秒間に崩壊する原子の個数
シーベルト[Sv]:人が受ける被ばく線量の単位
グレイ[Gy]:物質にどれだけの放射線のエネルギーが吸収されたかを示す単位
これから、勉強をしていくと重要放射性核種のひとつとしてラジウム(226Ra)が出てきますが、ラジウム1gが示す放射能は3.7×1010[Bq]となります。(226Ra1gが示す放射能は3.7×1010[Bq]である」は暗記しておくとよいでしょう。ミナテンテンと覚えましょう。暗記しておくと放射線取扱主任者試験で役に立ちます。)
シーベルト[Sv]は、その値が大きいほど人体が受ける放射線の影響が大きくなることを意味しています。新聞などではこのシーベルト[Sv]の単位を見ることが多いかと思います。
放射線取扱主任者試験では放射能を計算で求める問題も頻繁に出題されていますので、放射能を求める公式も必ず暗記しておかなくてはなりません。
放射能を求める公式
放射能の単位Bq(ベクレル)は1秒間あたりの壊変数なので放射能をBq単位で求める公式になります。
ln2=0.693、NA=6.0×1023を代入すると、
ここで、
は壊変定数と呼ばれ一般的にλで表されます。
壊変定数:
放射性核種の壊変の確率を表す尺度で、一個の不安定な素粒子や原子核が単位時間に壊変する確率のことを一般に記号λで表し、核種に固有な定数である。
(原子力百科事典 ATOMICAより)
は質量を質量数で除したものでモル数を表しています。
にアボガドロ数(6.0×1023)を乗ずることで原子数になります。
放射能の公式を使用する過去問題の例としては、近年では第一種試験の2019年度化学問1、問3、第二種試験の2021年度化学問3などがあります。第一種試験の2019年度化学問1は原子数の比を求める問題、問3は放射能を求める問題です。第二種試験の2021年度化学問3は放射性物質の質量を求める問題です。
自分で解くことで公式の使い方を覚えましょう。
第一種試験
2019年度化学問1
放射能が等しい60Co(半減期5.27年)と57Co(半減期272日)が存在するとき、それぞれの原子核の個数の比(60Co/57Co)として、最も近い値は次のうちどれか。
2019年度化学問3
40K(同位体存在度0.0117%)の半減期は1.251×109年である。745.5gの塩化カリウム(式量74.55)の放射能[Bq]として、最も近い値は次のうちどれか。
第二種試験
2021年度化学問3
H215Oを含む水がある。ある瞬間の放射能が100MBqとすると、そのときのH215Oの質量[g]に最も近い値は次のうちどれか。ただし、15Oの半減期を120s、アボガドロ定数を6×1023mol-1、およびln2=0.7とする。