放射線取扱主任者試験に合格しよう!

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光子の減弱 半価層など

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日から7月に入りました。
 
梅雨本番とでも言いましょうか…先週から雨の日が多くなり、激しく降り続いているところもあるようです。湿度も高く蒸し暑い日が続いており、なかなか勉強に身が入らない日もあるかと思いますが、試験までそう余裕もない時期に来ていますので、自分の目標をしっかりと見据え日々頑張って下さい。
 
今日は放射線取扱主任者試験でも毎年必ず出題される光子についての記事を少し書きたいと思います。
放射線取扱主任者試験では光電効果、コンプトン散乱、電子対生成がもっとよく出題される光子と物資の相互作用ですが、これらの相互作用を起こすための光子の基本的な振る舞いをしっかりと理解しておきましょう。
 
光子は物資中を進みながらそのエネルギーを失っていきます。
光子が物質を通過したとき、物質との相互作用によりエネルギーが減弱される割合を線減弱係数として定義しています。一般的に線減弱係数はμで表されます。
光子の減弱を表す以下の式は必ず暗記しましょう。

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   I0 :入射光子の数 x:通過する物質の厚さ μ:線減弱係数
   I:物質を通過後の光子の数 

この式から物質を通過後の光子の数は指数関数的に減少していくことが分かります。すなわち、光子のエネルギーが減弱していく(弱まっていく)ことが分かります。
線減弱係数の単位[m-1]または[cm-1]も重要で、試験でもよく出題されていますのでしっかりと暗記しておきましょう。
 
放射線取扱主任者試験では半価層や1/10価層に関する問題も非常によく出題されています。半価層は入射光子の数を半分に減弱させる物質の厚さで、1/10価層は入射光子の数を1/10に減弱させる物質の厚さです。
 
半価層の求め方は、上式にI=I0/2を代入して、
 
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両辺をI0で除して、
 
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両辺の自然対数を取って、
 
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対数の公式から、
 
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eの対数(ln e)は1であるので、
 
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よって、半価層は
 
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1/10価層は、上式にI=I0/10を代入して計算すると、
 
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以下の値は必ず暗記しておきましょう。 
 
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本日の記事に関して、第一種試験、第二種試験で実際に出題された過去問題の例です。第一種試験では物化生や管理測定技術、第二種試験では管理技術Ⅰでも非常によく出題されています。必ず自分で計算できるようにしておきましょう。
 
2016年度第一種試験物理
問17
細い線束でγ線が厚さの異なる鉛板(線減弱係数μ)に垂直に入射したとき、それぞれの透過後のγ線の強度を比較する。厚さyの場合の強度をI1、厚さ(x-y)の場合の強度をI2とすると、比(I2/I1)として、正しいものは次のうちどれか。ただし、ビルドアップはないものとし、x>yとする。(選択肢省略)
2013年度第一試験物理
問17
ある遮蔽材に対して、半価層が1cmである細い線束のγ線の強度を1/100に減ずるのに要する遮蔽材厚さ[cm]として、最も近い値は次のうちどれか。ただし、ビルドアップ効果は考慮しないものとする。
(選択肢省略)
2017年度第二種試験管理技術Ⅱ
問6
ある単一エネルギーの細い光子束に対する遮蔽板の半価層が2.0mmであるとき、同じ材質の遮蔽板の1/10価層[mm]として、最も近い値は次のうちどれか。ただし、ln2=0.693、ln10=2.30とする。
(選択肢省略)
2016年度第二種試験管理技術Ⅱ
問16
あるγ線に対する鉛の線減弱係数が1.2cm-1であった場合、線量率を1/4にするのに必要な鉛の厚さ[cm]として最も近い値は、次のうちどれか。ただし、ビルドアップは無視するものとする。
(選択肢省略)
2015年度第二種試験管理技術Ⅱ
問6
コリメートされたγ線に対するある物質の半価層が4.0cmのとき、この物質に対するγ線の線減弱係数が[cm-1]として最も近い値は、次のうちどれか。
(選択肢省略)