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散乱光子と入射光子の波長差

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
先日光子について少し記載しましたが、光子に関する問題の中で計算問題ではコンプトン散乱に関する問題が圧倒的に多いかと思います。
コンプトン散乱には必ず暗記しておきたい公式がありますのでしっかり覚え、過去問題を繰り返し解くことで使えるようにしておきましょう。
 
先日の記事で、
「コンプトン散乱では散乱光子の波長は入射光子に比べて長くなる」
と記載しました。
そして、入射光子のエネルギーが511keVのときの散乱光子のエネルギーの最小値を計算しました。
散乱光子の波長が入射光子の波長に比べてどのくらい長くなっているかも是非自分で計算してみて下さいと最後に書きましたが、皆さん、計算してみましたか?
 
一緒に計算してみましょう。
まず、入射光子の波長を求めてみましょう。
エネルギーと波長の関係の公式は以下の式でしたね。
Eはエネルギー[J]、λが波長[m]、hはプランク定数[J・s]、cは光の速度[m/s]です。
 
 
 
まず、入射光子のエネルギー511keVをジュール[J]単位に変換します。
エネルギーの単位の換算の以下の式は必ず暗記しておきましょう。
 
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この式を使用すると、入射光子のエネルギー511keVは、
 
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プランク定数は6.62×10-34[J・s]、光の速度は3.0×108[m/s]ですね。
これらの数値も暗記しておきたいですね。
よって、
 
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この式をλについて解くと、
 
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となります。
同様に散乱光子の波長も求めてみましょう。散乱光子のエネルギーは170keVでしたので、このエネルギーをジュール[J]単位に変換します。
 
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よって、
 
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よって、散乱光子の波長と入射光子の波長の差Δλは、
 
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となります。
 
散乱光子と入射光子の波長差には公式があります。覚えておくと便利な公式です。
 
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λが散乱光子の波長[m]、λ0が入射光子の波長[m]、hはプランク定数[J・s]、cは光の速度[m/s]、m0は電子の静止質量(9.11×10-31[kg])、θは散乱角度です。
 
この式に代入すると、散乱角度は180°なのでcosθ=-1として、
 
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となります、上述の計算結果と一致しますね。
 
h/(m0・c)は電子のコンプトン波長と呼ばれ、光子が90°散乱される場合の光子の波長の変化を表しています。h/(m0・c)を計算すると2.4[pm]になります。
 
電子のコンプトン波長については、平成17年物化生問4で出題されています。