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永続平衡成立までの娘核種の放射能

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

前回までの記事では、放射平衡の関係にある90Srと90Y及び140Baと140Laの放射能や分離に関する記事を掲載しました。

90Sr-90Yの永続平衡の関係、140Ba-140Laの過渡平衡の関係は非常に重要ですので、それぞれの放射能や原子数などを表す公式は確実に暗記しておいて下さい。必ず試験で出題されます。

 

140Ba-140Laのような過渡平衡になる場合では、娘核種2の原子数は以下の式に近似できることは前回記事にしました。(必ず暗記しなくてはならない超重要公式ですね)

 

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また、90Sr-90Yのように永続平衡の関係になる場合には、親核種と娘核種の放射能は等しくなることも先日記事にしました。(以下の式も必ず暗記しなくてはならない超重要公式です)

 

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永続平衡が成立して、娘核種の放射能が親核種の放射能と等しくなるのは娘核種の半減期の10倍程度の時間が経過した後です。では、それまでの娘核種の放射能はどのくらいになるのでしょうか。

永続平衡の関係にある親核種と娘核種の、そして全放射能(親核種と娘核種のの放射能の和)の経時変化との関係を示す図は以下のようになります。

 

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娘核種2の放射能A2は次第に大きくなり最終的には親核種1の放射能と等しくなることが図からも分かります。この娘核種2の放射能A2を式で表すと以下のようになります。
 

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・経過時間tが娘核種の半減期T2と等しいときは、娘核種の放射能A2は親核種の放射能A1の2分の1になります。
・経過時間tが娘核種の半減期T2の2倍と等しいときは、娘核種の放射能A2は親核種の放射能A1の4分の3になります。
・経過時間tが娘核種の半減期T2の3倍と等しいときは、娘核種の放射能A2は親核種の放射能A1の8分の7になります。

                     
経過時間tが娘核種の半減期T2の10倍程度になれば、ほぼA2=A1になります。
この式も重要であり、放射線取扱主任者試験でも出題されていますので、是非覚えておきましょう。2011年度第一種試験物化生問3Ⅱがこの内容が問われた問題です。

 

90Sr-90Y及び140Ba-140Laの関係に代表される放射平衡の問題は毎年必ずといっていいほど出題されています。しっかり放射線概論と過去問題で勉強しておいて下さい。