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2020年度第一種試験問題総評 化学編

2020年度第一種試験問題総評

【化学】

難易度は多少難しく感じられる問題もありますのでやや難といったところでしょうか。

五者択一式の問題は、計算問題が7問ありますが、問題そのものは基本的な問題ばかりで解きやすかったかと思います。計算問題以外の問題では、選択肢の中には難しい問題もいくつかあります。数年間分の過去問題をしっかりと解いて臨めば、6割は得点できるように思います。

文章問題の問31、問32は過去の物化生に出題された問題と類似の問題も多く、過去問題をしっかり解いておけば6割、7割は十分得点できる問題です。

いつも書いていますが、計算問題が苦手な人は暗記すべきことを確実に覚えて暗記問題で得点することを心がけましょう。


問1から問3は計算問題です。問1の分岐壊変に関する問題は近年はよく出題されているので、過去問題をしっかりと解いておけば正答できます。問2は放射能から経過年数を求める問題です。永続平衡になることが分かればそんなに難しくありませんが、対数の計算が必要になります。問3は2008年化学問3の類似問題です。連立方程式を立てることができれば難しくありません。

問4は2008年の化学問18で類似とまでは言えませんが、同じよう系統の問題です。知っていないと正答できない問題ですので難しい問題の部類に入ると思います。
問5も間違えそうな問題です。比放射能放射能に関して基本的なことをしっかりと押さえておく必要があります。
問6は計算問題です。操作手順に沿って計数率から放射能を求めれは、33Pの濃度は分かります。
問7は中性子放射化分析に関する問題です。重要公式ですので、この公式から考えれば正答できます。
問9の235Uの核分裂生成物は過去問題でも何度も出題されています。このブログにも収率を表す図を掲載していますので、図から2つの山の部分とその真ん中の谷の部分に該当する質量数は覚えておきましょう。
問10の安定同位体が1種類のみの元素は、2007年化学問1でも出題があります。このブログに語呂合わせを掲載しています。「別荘風なあるプレイス・・・・」です。
問11のテクネチウムは化学の問題で過去にも出題されていますので過去問題を解いておけば正答できます。(2006年化学問15、2016年化学問12など)
問12のアクチノイドに関する問題も過去には何度か出題されています。(2007年化学問4、2011年度化学問12など)
問14は元素の同位体に関する問題で、2014年化学問2の類題です。よく出てくる元素については放射性同位体なのか安定同位体について覚えておく必要があります
問15、問16は壊変系列に関する問題です。今年の壊変系列の問題は少し難しかったかもしれません。壊変系列に関する問題は毎年のように出題されています。トリウム系列、ネプツニウム系列、ウラン系列、アクチニウム系列の4つの系列については必ず暗記していきましょう。
問17は核医学に関する問題です。核医学に使用される核種、また装置などは暗記しておく必要があります。装置の原理まで覚えるのは大変ですが、よく出題される装置については覚えておくとよいでしょう。
問18は年代測定に使用される核種と、その年代範囲まで問われています。難しかったかもしれません。
問19は気体の捕集方法、問20はイオン化傾向に関する問題で、両問題とも高校化学の範囲です。問19の気体の捕集方法に関する問題は放射線取扱主任者試験ではあまり見たことがありませんので、高校化学の知識がない人には難しかったかと思います。問20のイオン化傾向に関する問題は過去にも何度か出題されています。
問21は放射性気体の発生、問22は共沈に関する問題です。水酸化鉄Fe(OH)3とともに共沈する元素は放射性核種の分離で重要です。90Srと90Y、140Baと140Laは覚えておきましょう。またSO42-とPO43-も重要です。
問23は溶媒抽出法の基本問題です。
問25は液体シンチレーション検出器に関する問題です。少し難しかったかもしれませんが、良い選択肢が並んでいますので暗記すると良いでしょう。
問26は同位体希釈法に関する問題です。2006年化学問26にかなり近い問題です。
問27は難しかったかと思います。
問28は放射線同位元素とその利用に関する問題です。過去にもよく出題されている問題です。計測装置だけでなく、放射性核種の放射線の種類までしっかりと暗記しておきましょう。
問29は加速器とその利用例に関する問題です。難しかったかもしれません。加速器は物理の試験でよく出題されますが、化学でも出題されるのは珍しいかと思います。
問30は化学線量計に関する問題です。フリッケ線量計とセリウム線量計のグラム数が違うので間違えないようにしなくてはなりません。

 

問31は天然放射性核種に関する文章問題です。半減期10.7年の希ガス(ケ)が迷ったかもしれません。その他は、過去問題でもよく出題されている内容ばかりなので得点しやすい問題であったかと思います。


問32は環境試料中の放射性核種に関する問題です。

出題されている90Sr、137Cs、131Iは放射線取扱主任者試験では重要核種です。壊変形式、エネルギーはもちろん、それらの核種の性質も暗記しておく必要があります。全問得点したい問題です。
Ⅱの前半部分は、高校化学の知識が必要です。金属を溶かす酸の種類や酸化力などについての知識が問われています。最近はあまり出題されたことがないので、少し難しかったかもしれません。後半は90Srと90Yの永続平衡や分離に関する問題で、過去問題でも頻繁に出題されていますので是非得点したいところです。共沈法やミルキングなどは重要分野です。
Ⅲの前半は、これも高校化学の知識が必要ですので、高校化学を履修していなかった人には難しかったかもしれません。後半の135Csの原子数を求める問題は放射能の公式から求められます。基本問題です。