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2021年度第一種試験問題総評 化学編

2021年度第一種試験問題総評

【化学】

難易度は例年並みといったところでしょうか。

五者択一式の問題では計算問題が8問出題されています。計算問題も含め、難しい問題もいくつかありますが、傾向は例年と似通っていますので過去問題をしっかりと解いて臨めば、6割は得点できるように思います。

文章問題の問31、問32は過去の物化生の問題をしっかり解いておけば6割、7割は十分得点できる問題です。

 

問1は比放射能を求める問題です。比放射能を求める問題は化学の試験で過去にもよく出だされています。

問2、問3は放射平衡の問題です。問2は2010年度化学問6でも同様の問題が出題されています。問3は2019年度化学問6などと似た感じの問題です。

問4の140Ba-140Laの過渡平衡は非常に重要で過去問題では頻繁に出題されています。

問5は64Cuの分岐壊変に関する問題です。64Cuに関しての同様の問題は過去に何度か出題されています。最近では2019年に第二種試験の物理問11Ⅱで出題されています。以下のブログにも記事を載せています。

 2019年度第二種試験問題 壊変図(64Cu)

 

問6は核反応の問題です。アルカリ金属やハロゲン、希ガスなどを生成する核反応に関する問題がよく出題されています。

問7は中性子放射化分析に関する問題です。重要公式をしっかりと暗記しておけば正答できます。

問8は単核種元素の問題です。2020年度化学問10、2018年度化学問15でも出題されました。Be, F, Al, P…です。語呂合わせで暗記しておきましょう。

問9はヨウ素に関する問題です。ヨウ素放射線取扱主任者試験では重要核種です。過去にも幾度と出題されていますので確実に暗記しておきましょう。

問10は核種の同位体に関する問題です。少し難しかったかもしれません。各元素の安定核種を知っておくと良いですね。

問11は難しいですね。トリチウムについてかなり知識がないと正答できないように思います。

問12は選択肢Eが正しいこと、選択肢BとCが誤りであることが分かれば消去法で正答は導けます。

問13は壊変系列に関する問題ですが、4つの壊変系列について全てをしっかりと暗記していないと難しい問題かと思います。

問14も難しい問題かと思いますが、選択肢4が正しいと分かれば正答できます。

問15の気体発生、問16の沈殿、問17のクロロ錯体は化学の試験でも頻繁に出題されていいます。基本事項を暗記していれば正答できます。

問18は2013年度化学問2の類題である。初めて解く人には難しく感じたかもしれません。2010年度物化生問3Ⅰにも出題されています。

問19は放射能を求める基本問題です。

問20も標識化合物の定義に関する基本問題です。

問21はAgClの沈殿に関する計算問題ですが、グラフを読めれば正答できます。

問22は液体シンチレーション検出器の問題です。液体シンチレーション検出器に関する問題も放射線取扱主任者試験では非常によく出題されています。過去の物化生の問題も含め過去問題をしっかり解いておくことが大切です。

問23は放射性核種を利用した分析法に関する問題で、このような問題も頻繁に出題されています。よく出題されている分析法の原理は理解しておく必要があります。

問24は同位体希釈法の計算問題です。2011年度化学問26の類似問題です。

問25は担体に関する問題です。同位体担体、非同位体担体、スカベンジャーなどの用語はしっかりと押さえておきましょう。シラード・チャルマー法に関する問題はホットアトムとしてよく出題されています。計算問題も出題されています。2019年度化学問32Ⅱや2015年度物化生問4Ⅰ、2005年度物化生問1Ⅰなどの過去の物化生の文章問題をしっかり解いておくと良いでしょう。

問26は放射性核種の用途の問題で、選択肢のいずれの用途もよく出題されています。どの用途に何の核種が使用されているかしっかり覚えておきましょう。

問27は難しかったかもしれません。選択肢Dなどは過去にも管理測定技術の試験でよく出題されています。

問28はイメージングプレートに関する問題です。最近では2018年度第二種試験の管理技術Ⅱ問13で出題されています。

問29のW値、G値などはよく出題されていますので確実に定義を覚えておかなくてはなりません。フリッケ線量計、セリウム線量計などは2020年度化学問30、2017年度化学問29など計算問題も頻繁に出題されています。

問30は単位の換算に関する計算問題です。普通に計算すれば正答できます。

 

問31、問32は文章問題です。

問31は周期表に絡めた文章問題です。いくつか選択肢に迷う設問もありますが、概ね6割から7割は正答したい問題です。(イ)(ウ)は計算問題ですが、(イ)は放射化分析の公式を覚えておけば正答できます。(ウ)も放射能を求める公式に代入して計算すれば正答できます。少し計算量がありますので、計算間違いをしないようにしましょう。

 

問32はリンに関する問題です。リンはヨウ素などと並び放射線取扱主任者試験でも頻繁に出題される重要核種のひとつです。問題文に挙げられている30P、32P、33Pは放射性同位体として半減期やエネルギー、用途は必ず覚えておかなくてはなりません。31Pが安定同位体であることも覚えておく必要があります。

塩素から核反応により生成すリン、硫黄については放射線概論にも載っていますので核反応式を書けるようにしておきましょう。そして、リンと硫黄の分離もFe(OH)3との共沈なども放射線概論に記載されています。(D)(E)の計算問題も少し計算量はありますが基本問題です。放射線概論をしっかり勉強しておけば8割は得点できます。

 

化学は暗記しなくてはならないことが非常に多く、範囲も広くなかなか勉強がしづらい課目ですが、放射線概論などの参考書をひと通り読んだ後はできるだけ多くの過去問題を解き、その中で暗記すべきこと、計算問題の解き方などをマスターしていくと良いでしょう。化学に関する基本的な知識がない場合は、高校化学の参考書から勉強を始めると良いでしょう。