ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
昨日、一昨日と放射線障害における確定的影響と確率的影響に関してしきい線量に関する演習問題と最近出題された過去問題を掲載致しました。
2019年度の第一種試験の生物では確定的影響のひとつである白内障に関する問題が出題されました。
問22
γ線被ばくを受けた眼の水晶体の放射線影響に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 線量が大きくなると放射線白内障の平均的な発症までの期間が短縮する。
B 水晶体混濁のしきい線量は0.5Gyである。
C 放射線白内障は水晶体の後嚢下(目の奥に近い部分)で細胞が被ばくすることに
よって起こる。
D 線量率が低下すると視力障害性の放射能白内障のしきい線量は低下する。
確定的影響の中には、白内障のように発症するまでに数年かかるものもあります。なお、白内障のしきい値は1.5グレイとされてきましたが、最近国際放射線防護委員会(ICRP)はそれより低い0.5 グレイ程度に見直し、眼の水晶体に対する職業被ばくの新しい等価線量限度を設けました。(さまざまな影響のしきい値(出典 環境省))
白内障に関する問題は第一種試験では生物の試験で時々出題されています。また、第二種試験では管理技術Ⅰで出題されていますが、この第二種試験管理技術Ⅰに出題された文章問題を読み込めば白内障や水晶体混濁に関する重要な知識は得ることができると思いますので何度も何度も解きながら覚えていくとよいでしょう。
第一種試験
2012年度生物問14
2008年度生物問25B 進行した症例でも他の原因で誘発された白内障と区別できる。C 線質による違いは認められない。D 被ばく線量によらず潜伏期間は一定である。E 水晶体上皮細胞の障害による。
2007年度生物問25B しきい値が存在する。C 線量率効果は認められない。D 潜伏期は認められない。
2016年度管理技術Ⅰ問1Ⅲ(中略)
非がん疾患のうち、とくに白内障は、眼の水晶体に起きる変性疾患であり、重要な放射線防護の対象のひとつである。水晶体は細胞(O)組織であり、その前面を覆う上皮細胞層には(P)が含まれ、生涯を通じて分裂して新しい細胞が作られ、これが水晶体赤道とよばれる部位に移動するに従い、細胞核が抜けて、クリスタリンを含む透明な水晶体線維となって赤道へ集積していく。
この(P)は放射線感受性が(Q)ため、被ばくすると変性・死滅して膨化し、水晶体後部(後極)に移動して、乳白色の(R)を生じ、視力が低下して白内障になる。γ線や(S)被ばくの場合、0.5Gy以上で検出可能な(R)を生じ、線量率によらず白内障に進行すると考えられている。
また、被ばく後白内障が現れるまでの潜伏期は、半年から35年(平均して数年)程度と長いが、被ばく線量が高くなるほど短く、症状の程度を示す重篤度も増す。分割または長時間の慢性被ばくでは潜伏期は長く、重篤度は(T)。
2012年度管理技術Ⅰ問1Ⅱ
(中略)
眼の水晶体も放射線感受性の高い組織で、放射線を被ばくすると水晶体前面の上皮の分裂細胞が損傷を受け、障害を受けた細胞は徐々に後方に移動し、(O)の被膜下に蓄積し、(P)の原因となる。水晶体の後部皮膜下に乳白色の(P)を形成した疾病が(Q)である。なお、(Q)は、(R)障害に分類される。
放射線取扱主任者試験ではしきい線量が存在する放射線障害として白内障以外でも皮膚に関する障害もよく出題されています。
皮膚の放射線障害はなかなか複雑で覚えにくい障害ですが、できれば過去問題で出題された内容は暗記して押さえておければ得点につながるかと思います。皮膚障害の過去問題に関しては後日掲載したいと思います。