ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日は生物の問題を一緒に解きましょう。
生物は確実に暗記することで9割近くは得点できる課目です。早いうちに放射線概論などの参考書を一通り読み、その後、過去問題を解きながら参考書に書かれてあった内容がどのようなかたちで問題として出題されるかを確かめながら覚えていきましょう。
では、今日の問題です。
問
次の放射線障害の組合せのうち、しきい線量のあるものはどれか。
1 不妊と脱毛 2 脱毛と甲状腺がん 3 甲状腺がんと皮膚潰瘍
放射線障害において、しきい線量があるかないかは確定的影響か確率的影響で分類することができます。確定的影響と確率的影響については生物の試験で非常に出題頻度の高い分野ですのでまずはおさらいしてみましょう。
確定的影響:しきい線量あり 大部分は急性影響(一部晩発障害)
一定量の放射線を受けると必ず影響が現れる現象で、受けた放射線の量が多くなるほどその影響度(障害)も大きくなります。確定的影響は多くの細胞が放射線によって傷ついたときに生じ、例えば脱毛や白内障などの障害が発生します。放射線を受ける量を一定量(しきい値)以下に抑えることで防ぐことができます。
しいき線量とはこの線量を被ばくすると人に障害が発生する線量のことをいいます。確率的影響:しきい線量なし 全て晩発影響(がん、遺伝的影響)
一定量の放射線を受けたとしても必ず影響が現れるわけではなく、放射線を受ける量が多くなるほど影響が現れる確率が高まる現象をいいます。しきい値が存在しない影響です。がんや白血病などが該当します。
確定的影響、確率的影響に関しては重要な図(以下の図)があります。
さて、本日の問題に出題されているそれぞれの影響は以下のように分類できます。
確定的影響(しきい線量あり):不妊、脱毛、皮膚潰瘍
しきい線量のあるものは不妊、脱毛、皮膚潰瘍になるので、正答は1になります。
不妊のしきい線量は一時不妊か永久不妊か、また男性か女性かでも異なってきますので混同しないように確実に暗記することが大切です。脱毛や皮膚潰瘍に関しては、いくつかの皮膚障害についておおまかなしきい線量を覚えておきましょう。皮膚障害に関しては複雑ですのでなかなかこれといったしきい線量を決めることは難しくなりますが、例えば以下のページなどを参考に読んでみるとよいでしょう。
放射線の皮膚への影響 (09-02-04-04)(出典 原子力百科事典ATOMICA)
放射線障害に関する確定的影響と確率的影響の特徴は生物の試験でよく出題されており、過去の物化生の試験でもよく出題されています。必ず暗記してなくてはならない分野です。確定的影響と確率的影響に関して線量と頻度及び線量と重篤度を表す図は自分で描けるように覚えておきましょう。
人体への影響についてしっかり勉強したい方は環境省の以下のページも参考になります。