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2019年度第一種試験問題総評 実務編

2019年度第一種試験問題総評

【実務】

昨年度までの管理測定技術の課目がなくなり、今年度2019年度からは実務という試験課目に変更になりました。今年度は初めての「実務」課目の問題でしたが、昨年度までの管理測定技術の問題と大きな違いはなかったように思います。

2018年度までの管理測定技術の過去問題をしっかり解いて試験に臨めば十分6割は得点できる問題だったかと思います。問題数、計算量も少なめで全ての問題を解く時間も十分にあったかと思います。

 

問1は比例計数管に関する問題です。前半は気体検出器の原理について問われています。放射線概論にも掲載されていますし、管理測定技術の過去問題でも出題されていますので得点できる問題です。後半は3Heを計数ガスに使用した熱中性子を検出する比例計数管に関しての問題です。3He (n,p) 3Hの核反応も過去問題では幾度と出題されています。3Hの運動エネルギーのピーク値を求める問題に少し戸惑ったかもしれませんが、それ以外は得点できる問題です。

 

問2は非密封線源取扱い施設の放射線管理に関する問題です。直接測定法や間接測定法(スミア法)、表面汚染密度の計算問題が出題されています。直接法や間接法の問題では必ず固着性汚染、遊離性汚染は問われる内容ですので確実に得点出来るようにしましょう。また、表面汚染密度を計算する公式は直接法、間接法ともに重要公式で管理測定技術の過去問題でも幾度と出題されています。しっかり覚えて必ず自分で表面汚染密度を計算できるようにしましょう。本問題では直接法の公式を用いる問題となっていますが、今年度2019年度の第二種試験の実務では間接法により表面汚染密度を計算する問題が出題されています。(イ)の標準偏差を求める問題は少し戸惑ったかもしれませんが、第二種試験では過去に管理技術Ⅱの問題で同様の問題が出題されています。

 

問3 Ⅰは非密封放射性同位元素を使用する施設に関する問題です。放射性ヨウ素の捕集や粒子状放射性物質の捕集に関する問題は過去の管理測定技術の試験でも幾度と出題されています。HEPAフィルタや活性炭フィルタなどと合わせて必ず覚えておきましょう。また、放射性物質の捕集に関する問題では、本問題のような空気中のラドンの子孫核種のフィルタへの吸着も合わせて出題されることが多々あります。222Rn、220Rn、214Pb、212Pbなどに関しては半減期はしっかりと押さえておきましょう。

Ⅱは標識化合物の保管に関する問題です。これもよく出題される問題ですので、管理測定技術の過去問題をしっかりと解いておくことが大切です。遊離基捕捉剤や保管温度などがよく出題されています。

 

問4 Ⅰは放射性核種と検出器に関する問題です。3H、14C、32P、137Csはいずれも出題頻度の高い重要核種です。β線放出核種についてはアルミニウム中での飛程から核種を同定するフェザー法が出題されています。

Ⅱは凝集沈殿法やpHに関する計算問題が出題されています。化学に関する専門的な知識を必要とするので難しかったかもしれません。

Ⅲは貯留槽の中の放射性同位元素の排水に関する問題です。管理測定技術の過去問題でも非常によく出題されている問題です。少し計算量がありますが落ち着いて考えて解けば難しい問題ではありませんので得点できる問題です。

 

問5 Ⅰは放射線防護に関する問題です。防護量や実用量については管理測定技術の過去問題でも出題されていますし、放射線概論には掲載されています。しっかり勉強していれば得点できる問題です。

Ⅱも放射線防護に関する問題で、実効線量や等価線量を求める計算問題です。実効線量と等価線量を計算する公式を覚えておけば解ける問題です。

 

問6はヨウ素に関する問題です。ヨウ素は放射性核種の中でも最も試験で出題頻度の高い核種です。今年度2019年度の化学問32の文章問題でも出題されています。多くの同位体がありますが、安定同位体127I以外に123I、125I、128I、129I、131Iの放射性同位体に関しては特徴を必ず覚えておきましょう。(エ)の線量率を求める問題も非常によく出題されていますので公式を確実に暗記して自分で計算できるようにしましょう。