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平成30年度第一種試験問題について(管理測定技術)

 
 

【管理測定技術】

 今年度の管理測定技術の難易度は例年並みといった感じかと思います。計算問題も多くなく難解な問題もなかったため時間的には1時間45分で全問題を解くことは十分できたかと思います。過去問題をしっかりと勉強して試験に臨めば6割は得点できる問題だったかと思います。


問1
Ⅰ 中性子に関する問題です。中性子の核反応に関しては重要かつよく出題される分野ですのでしっかり勉強しておかなくてはなりません。断面積の単位や重要な核反応など基本的な問題が出題されています。熱中性子、高速中性子の検出などについてもしっかりと勉強しておきましょう。
Ⅱ 中性子検出に絡めた計算問題です。(イ)の点線源におけるフルエンス率を求める際に球の表面積を使用することは過去にもよく出題されていますので過去問題をしっかり勉強していた方は計算できたかと思います。今年度2018年は第二種試験の管理技術Ⅰでも関連する問題が出題されています。また、計数率、標準偏差に関する公式もよく出題されていますのでしっかりと暗記しておかなくてはなりません。(ケ)の標準偏差は難しかったかもしれません。

問2
Ⅰ Ge検出器に関する問題です。ピークの形状や面積に関する問題で出題頻度が高い分野ではないので少し難しかったかもしれません。ガウス分布正規分布といった用語は知っておきたいですね。過去には2007年にピーク形状や面積に関する問題が出題されています。
Ⅱ γ線スペクトルに関する問題で、ピーク計数率と放射能の関係やピーク効率に絡めた計算問題です。昨年度2017年の問1の類題です。2005年や2013年にも同様の問題が出題されていますので、過去問題をしっかり勉強していた方にとっては得点できた問題かと思います。
Ⅲ Ge検出器における標準線源を用いた検出器のエネルギー校正に関する問題です。前半部分はγ線の検出器のエネルギー校正に使用される核種に関する知識が必要です。γ線エネルギーの校正に使用される主な核種のエネルギー値は覚えておきたいですね。後半のパイルアップやポールゼロキャンセルなどの用語に関しては2015年にも出題されています。個人的には放射線取扱主任者試験で増幅器に関する専門的な知識まで必要とは思いませんが、2015年に続いて出題されていますし、また今年度2018年は第二種試験の管理技術Ⅰでも出題されています。過去問題で出題されている内容くらいは押さえておいた方が良いかもしれません。

問3
Ⅰ 加速器の使用に関する問題です。いずれの穴埋めも過去に出題されていますので確実に得点しておきたい問題です。
Ⅱ 放射性同位元素の取扱いに関する問題です。前半の線量当量や半価層に関する計算問題は管理測定技術の試験では非常によく出題される分野です。(ア)(イ)(ウ)全て過去に同様の問題が出題されていますので、公式をしっかり覚えておけば難しい問題ではありませんので是非得点したい問題です。後半の安全ピペッタやコールドランといった用語も過去に出題されている内容ですので得点しておきたい問題です。
Ⅲ 表面汚染密度に関する問題です。公式を暗記しておけば正答できる問題です。

問4
Ⅰ 3Hと14Cに関する問題です。3Hと14Cなどの試験でよく出題される核種の半減期、エネルギーは確実に覚えておかなくてはなりません。液体シンチレーション検出器に関する問題も過去に何度か出題されていますので得点できたかと思います。後半の3Hと14Cの捕集に関しても過去問題で頻繁に出題されています。過去問題をしっかり勉強した方は全問正解できた問題かと思います。
Ⅱ 放射性同位元素の気体発生、沈殿、吸着などに関する問題です。このような形式で出題されるのは過去にはあまりなかったかと思いますが、基本的な内容を問うているので難しくはありません。なかなか良い問題ではないかと思います。放射線取扱主任者試験で出題される気体発生や沈殿に関する化学反応は限られていますので、それらについては是非暗記しておきたいですね。高校化学の参考書に全て記載されている内容ばかりです。また、Ⅰ同様、重要核種の半減期は確実に覚えておかなくてはなりません。

問5
Ⅰ 放射線被ばくの管理に関する問題です。職業被ばく、一般公衆被ばくの線量限度はしっかり暗記しておかなくてはなりません。航空機乗務員の宇宙線被ばくに関しては2013年の管理測定技術で出題されており (オ)の5mSv/年についても問題文には記載されています。2013年は問題として問われていませんでしたので、軽く読み流してしまっていた方も多かったと思いますので難しかったかもしれません。
Ⅱ 自然放射線からの被ばくに関しての問題です。自然放射線に関しては生物の試験でも非常によく出題されていますのでできるだけ最新の情報で覚えておきたい事項です。 (J)の40Kからの内部被ばく線量の値は難しかったかもしれません。自然放射線からの被ばく線量の数値を覚えることはなかなか大変ですが、日本における数値は核種とあわせてある程度覚えておいた方がよいでしょう。

問6
Ⅰ 内部被ばくのモニタリングに関する問題です。体外計測法やバイオアッセイ法は毎年のように出題されています。過去問題をしっかり勉強しておけば7割程度は得点できる問題かと思います。肺モニタで検出する核種とエネルギーについては過去にも出題されていますので覚えておきたい事項です。(F)の肺モニタの検出限界値を問う問題やバイオアッセイ法の(H)や(J)の数値を問う問題は過去にはあまり出題されていないかと思いますので難しかったかもしれません。
Ⅱ バイオアッセイ法に関する問題です。バイオアッセイの試料が尿、便、呼気、鼻汁といったことを問う問題は過去にもよく出題されていますが、バイオアッセイ法の対象となる核種とその試料を問う問題はあまり過去には出題されていなかったように思います。この際、覚えておきましょう。後半のバイオアッセイの試料である尿や便の採取に関しては、昨年度2017年の管理測定技術の問題文中に記載されています。問題として問われていませんでしたので見落としていたかもしれませんが、しっかり覚えておきたいですね。

 
 
今年度の管理測定技術の問題は、計算問題も多くなくそれ程難しい問題もありませんでしたので、比較的得点し易かったように思います。その分、逆に暗記すべきことをしっかりと覚えておかないと得点できない問題でもあると言えます。
物化生同様、過去問題と類似する問題も比較的多く出題されていますので、過去問題をしっかりと勉強して試験に臨んだ方は7割程度は得点できたかと思います。
 
管理測定技術の試験では放射性同位元素の知識を必要とする問題も多く出題されていますので、重要核種の半減期、壊変形式、エネルギーなどは確実に暗記しておくことが大切です。計算問題では公式をしっかりと暗記し、過去問題を解きながらその公式を自分で使えるようにしておくことが大切です。