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2019年度第一種試験問題総評 物理編

2019年度第一種試験問題総評

【物理】

難易度は例年並みかと思います。

選択肢で迷う問題もいくつか見受けられますが、過去問題とほぼ同一の問題、類似の問題もあり、今までの過去問題をしっかり勉強して試験に臨めば6割は得点できる問題です。

今年度から物化生がなくなり新たに問31と問32に文章問題が追加されました。過去の物化生の物理分野の問題と比べ、難易度もそれほど難しくもなく問題数も少なく受験生にとっては得点し易かったように思います。時間的にも1時間50分の試験ですので時間内には全問解答できる分量かと思います。

 

問1は相対論の問題です。相対論の問題はとっつきにくい分野ではありますが、放射線概論の第1章予備知識の章にいくつか重要な式が掲載されていますので、それらを暗記しておくことが大切です。

問2のNaI(Tl)シンチレーション光の波長から光子エネルギーを求める問題は過去にも管理測定技術の問題で出題されています。少し計算量がありますが難しい問題ではありません。

問5に関しては最近このような問題がよく出題されています。今年度2019年度の生物でも出題されています。昨年度2018年度も物理及び生物で出題されています。計算量がありますが、今後も出題される可能性がありますので自分で解けるようにしておきましょう。

問6の226Raや252Cfは重要核種です。壊変や半減期、エネルギー、また特徴を暗記しておきましょう。

問7の分岐壊変は公式を暗記しておけば解けます。本ブログにも記載しています。

問9の加速器については試験でよく出題される7種類の加速器をしっかり覚えておきましょう。

問11のウランも重要核種です。特に238Uと235Uの特徴はしっかりと暗記しておきましょう。

問13は2006年度第一種試験物理に出題れた問題と同一問題であり、また放射線概論(第7版)第7章章末演習問題とも同一問題です。

問15は2012年度第二種試験管理技術Ⅱに出題された問題の類題であり、また本ブログの荷電粒子の阻止能の記事にも記載しています。

問16の計算問題も過去には類似の問題が出題されていますが、この問題は初めて見る方には難しく感じられたかもしれません。

問17から問20までは光子と物質の相互作用に関する問題です。問17、問18、問20はコンプトン散乱に関する問題です。問18のコンプトンエッジに関する問題は2015年度の物理でも出題されています。本ブログにも記載しています。また、問20は2010年度物化生問2、2016年度物化生問1にも出題された内容です。問20は難しかったかかもしれません。問19は電子対生成に関する問題です。

問21は中性子の質量が明記されていませんので質量をエネルギーに換算した値を使用しなくてはなりません。少し戸惑ったかもしれません。中性子の質量1.6749×10-27[kg]を覚えておくと普通に計算できます。陽子、中性子、電子の質量は覚えておくとよいでしょう。

問22は中性子と物質の相互作用における反跳エネルギーに関する問題です。非常に出題頻度が高く毎年のように出題されている分野です。公式を確実に暗記しておきましょう。

問23の単位に関する問題、問24の計数値の誤差や統計に関する問題はいずれも出題頻度の高い分野です。過去問題をしっかり解いておけば必ず得点できる問題です。

問26はエネルギー分解能に関する問題です。本ブログでもこの問題に関しては先日少し記事を書きましたが、第一種試験では管理測定技術で、また第二種試験では管理技術Ⅰで幾度か出題されています。初めて見る人には難しかったかもしれません。エネルギー分解能の定義や計算方法をしっかり覚えておきましょう。

問28は気体検出器に関する問題です。印加電圧とイオン対生成数の関係を表した図において代表的な気体検出器がどの領域に属するかは覚えておきましょう。

問31の前半はカーマや吸収線量など線量測定における物理量に関する文章問題です。カーマ、吸収線量などの定義はしっかりと覚えておきましょう。後半はブラッグ・グレイの空洞原理に関する問題です。今までにも管理測定技術、物化生の過去問題で幾度と出題されてきていますので、確実に得点したい問題です。計算方法をしっかりと理解することが大切です。

問32は荷電粒子の運動に関する文章問題です。磁場中を動く荷電粒子が磁界やローレンツ力の影響を受けながら運動するときのエネルギーや軌道が問われています。2012年度、2017年度の物化生の過去問題でも同様な問題が出題されています。磁場中で運動する荷電粒子が受けるローレンツ力や円運動する際の速度や遠心力などの公式は確実に暗記しておきましょう。また磁界の方向などを決めるフレミングの左手の法則などもしっかりと理解しておきましょう。

 

2019年度第二種放射線取扱主任者試験総評

法改正により試験科目が変更されて初めての試験になりました。

試験課目の変更はありましたが、内容的には昨年度までの問題と大きな違いはなかったように思います。


【第二種試験】

昨年度までの管理技術Ⅱの課目が新たに物理、化学、生物の課目に変更になりました。新たな課目では物理分野、化学分野、生物分野から五者択一式の問題がそれぞれ10問ずつ、そして昨年度まで管理技術Ⅰの課目で出題されていたそれぞれの分野の文章問題が1問ずつ追加された構成になっています。

物理、化学、生物と分野が明確に区切られたことで解答しやすくなったように感じます。文章問題も昨年度まで管理技術Ⅰで出題されていた問題と大きな違いはありませんでした。

実務の課目は昨年度までは管理技術Ⅱで出題されていた五者択一式の問題10問、そして管理技術Ⅰで出題されていた測定分野、管理分野の文章問題が2問の構成にになっています。昨年度まで管理技術Ⅰで毎年出題されていた人が常時立ち入る場所、管理区域境界、事業所の境界などでの線量限度を求める計算問題は実務の試験で出題されています。この計算問題も例年よりは計算量も少なく易しめで解きやすかったかと思います。


法改正により試験科目が変更されて初めての試験となり、試験前までは受験生にとっては不安があったことかと思いますが、結果的には問題そのものは昨年度までの試験と大きな違いはなかったかと思います。

来年度以降受験する人にとっても、今まで通り過去問題をしっかりと解いておけば十分合格できることが分かりました。

今年度の問題を解くことはもちろんのこと、昨年度までの管理技術Ⅰ、管理技術Ⅱの過去問題をしっかり解くことが大切です。

過去問題をしっかり勉強すれば必ず合格できます。

 

2019年度第一種放射線取扱主任者試験総評

法改正により試験科目が変更されて初めての試験になりました。

試験課目の変更はありましたが、内容的には昨年度までの問題と大きな違いはなかったように思います。

 

【第一種試験】

昨年度までの物化生の課目がなくなり、物化生で出題されていたそれぞれの分野の文章問題が物理、化学、生物のそれぞれの課目に分配された構成となりました。

昨年度まで物化生に出題されていた文章問題に比べて、今年度の文章問題は解きやすい問題であったように思います。例年、物化生を苦手としていた受験生も多かったため、今年度の試験は受験生にとっても良い問題であったと思います。

昨年度までの管理測定技術は今年度から実務という課目に変更になりましたが、試験内容も昨年度までの管理測定技術と大きな違いはなく管理測定技術の過去問題をしっかり解いて試験に臨んだ人にとっては十分対応可能な問題だったかと思います。

 

法改正により試験科目が変更されて初めての試験となり、試験前までは受験生にとっては不安があったことかと思いますが、結果的には問題そのものは昨年度までの試験と大きな違いはなく、むしろ今年度の試験は物化生がなくなった分、内容的にも時間配分的にも解きやすい問題構成になっていたように思います。

来年度以降受験する人にとっても、今まで通り過去問題をしっかりと解いておけば十分合格できることが分かりました。

今年度の問題を解くことはもちろんのこと、昨年度までの物理、化学、生物、物化生、管理測定技術の過去問題をしっかり解くこと大切です。

過去問題をしっかり勉強すれば必ず合格できます。

 

そろそろ…

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

10月も最後の週に入り、今週末からは11月になり秋も深まってきました。

今年の秋は台風15号に引き続き大雨が関東近辺に降り多くの災害をもたらしています。被害に見舞われた地域の方が少しでも早く復興できることを祈っています。

 

そろそろ今年度の放射線取扱主任者試験の結果発表がある頃ですが、原子力安全技術センターのホームページにはまだアナウンスは掲載されておりません。明日月曜日くらいにはアナウンスがあるのではないかと個人的には思っていますが…

今年度2019年度の放射線取扱主任者試験の問題を解き終えましたので講評を次の記事から掲載したいと思います。

生物の問題を振り返って

2019年度の第一種放射線取扱主任者試験の生物の問題について少し触れたいと思います。
いくつか難しい問題も含まれているように感じます。選択肢の中で正誤の判断を迷うものもありますが、他の選択肢から正答にたどりつける問題も多くありますので難易度は例年並みといった感じかと思います。

過去問題をしっかりと解いて臨み、6割は得点したい問題です。

問2は放射線の産業利用に関する問題で農業分野での吸収線量についての問題である。それぞれの事例において放射線が利用されていることは覚えておきたいことであるが、本問題では吸収線量まで問われているので難しい問題である。
問3,8は臓器親和性に関する問題である。問3の骨に集積する核種や問8で問われている核種が集積する臓器は確実に覚えておきたい。
問4は急性放射線障害に関する問題であるが、近年同様な問題が何回か出題されている。詳細な症状、数値まで覚えておかなくてはいけないので難しい問題の部類である。
問6は唾液腺への被ばくに関する問題である。唾液腺に関しては2012年の生物で出題されているが、この問題も難しい問題であったと思う。
問7は相対リスクに関する問題である。相対リスクや絶対リスクに関する問題は出題頻度が高いので過去問題をしっかりと解いておきたい。
問9,11は医療被ばくや自然放射線に関する問題である。できるだけ最新の情報で被ばく線量などの数値は覚えておきたい。
問12,13の直接作用、間接作用は基本ですね。生物の問題では毎年のように出題されています。
問17は計算問題です。2018年度生物問23の類題です。近年はこのような計算問題がよく出題されていますので難しく感じるかもしれませんが過去問題をしっかり解いて解き方を理解して下さい。
問20においてブラッグピークについては理解しておきましょう。
問22は眼の放射線影響における白内障や水晶体混濁に関する問題である。第二種の管理技術Ⅰの試験では2012年や2016年に類似の問題が出題されているが、やや難しい問題であったかもしれない。
問24は皮膚障害に関する問題である。皮膚に関しては被ばく線量と症状の関係がなかなか複雑であるのでやや難しい問題であったかもしれない。
問26は名目リスク係数に関する問題である。近年では名目リスク係数に関する問題がよく出題されている。2007年勧告のがんの名目リスク係数の値(5.5%や4.1%)や遺伝性(的)影響の名目リスク係数の値(0.2%、0.1%)は暗記しておいた方が良い。
問29の99mTcのように核医学に利用される核種は覚えておきたい。
問30はホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に関する問題である。基本的な原理と10B(n,α)7Liの核反応は覚えておきたい。

今年度の計算問題は昨年度(2018年)の問23の類題です。

この手の問題は苦手な人も多く難しく感じられるかと思います。同様の問題は、2012年度化学問1、2018年度物理問8でも出題されています。今後も必ず出題されていくかと思いますので過去問題をしっかりと解いて自分で解ける様にしておくことが大切です。

 

 

秋の気配

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

久しぶりの更新になります。

10月も半ばを過ぎめっきり秋らしくなりました。朝晩は本当に気温も下がり肌寒く感じる日が多くなってきていますので、体調を崩さないよう気を付けて下さい。

さて、皆さんにとってはもう間もなく発表されるであろう今年度の放射線取扱主任者試験の結果が気になっていることと思います。原子力安全技術センターのHPではまだアナウンスがありませんので、正確な発表日は分かりませんが、来週後半から再来週初め辺りになるように思います。

自己採点で合格圏内に入っている人は発表が待ち遠しく感じられるかもしれませんが、あともう少しお待ちください。

 

現在、令和元年度の第一種放射線取扱主任者試験の解答解説を作成しています。

法令を除く物理、化学、生物、実務の問題を一通り解き終えて、おおよそ完成に近づきつつあります。(法令は作成致しません)もう間もなく、左のカテゴリーの中の過去問題解答解説(第1種、第2種過去問題の解答・解説配布(有料))に追加したいと思います。ご興味ある方はまたご連絡いただきたく思います。

令和元年度の第二種放射線取扱主任者試験の解答解説は第一種試験の解答解説が完成しましたら作成いたしますのでもうしばらくお待ちください。

 

化学の問題を振り返って

2019年度の第一種放射線取扱主任者試験の化学の問題について少し触れたいと思います。
難易度は例年並みといった感じではないでしょうか。
選択肢の中には難しい内容のものもあり、解答するのに戸惑う問題もいくつかありますが、今までの過去問題をしっかりと解いておけば6割は得点できる問題かと思います。

計算問題:問1、問2、問3、問5、問8、問21、問25

問1や問3のような原子数比や放射能を求める問題は過去問題でもよく出題されていますので、放射能を求める公式を理解していれば解けるかと思います。
問2は部分半減期ですね。化学や物化生の過去の問題で何度か出題されています。部分半減期を求める問題では252Cfや40Kがよく出題されています。昨年度2018年度の物化生問4Ⅱでは212Biの部分半減期を求める問題が出題されました。
問5の比放射能を求める問題もよく出題されています。2013年度化学問4、2014年度化学問7などが類似の問題です。
問8は昨年度2018年度物化生問4Ⅱの類似の問題です。昨年度出題されたばかりの問題で、皆さん過去問題をしっかりと解いて試験に臨んだかと思いますので解けた問題かと思います。
問21はクロム酸カリウムの沈殿に関する問題ですが、問題文が長くじっくり読まないと間違えそうな問題です。
問25の同位体希釈法に関する問題は毎年のように出題されていますので過去問題をしっかりと解いておけば得点できます。

放射平衡:問6、問7

問7は過渡平衡の図に関する問題です。放射平衡に関しては式だけでなく親核種、娘核種の放射能の変化を表す図もしっかりと覚えておきましょう。

核反応:問9、問10、問11

問9の励起関数の問題は過去にもあまり出題されていなかったかと思いますのでは難しかったかと思います。ただ、落ち着いて考えれば消去法で正答にはたどり着けるようにも思います。本試験中はまずはパスして、時間が余ったら考える程度でも良いかもしれません。

天然放射性核種:問12、問16、問17

天然放射性核種も過去問題でも非常によく出題されていますのでしっかり覚えておきたい分野です。

元素(放射性核種):問13、問14、問15

問13のリン、問14のPET核種は重要核種ですので確実に暗記しておきましょう。
問15は低エネルギーβ線放出核種の半減期に関する問題です。これらの核種も重要核種ですので必ず暗記しておきましょう。

沈殿:問18

2005年度化学問19の類題です。沈殿や溶解に関しての問題です。

気体発生:問20

イオン交換樹脂:問22

最近、ここ5年くらい前から陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂に関する問題がよく出題されているように思います。

ホットアトム:問26

放射線利用機器:問27

その他

問19はSrの分析法に関する問題で難しかったかと思います。
問29は生物の試験で、問30は物理の試験でも出題されるような問題です。