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時定数の問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

 

昨日近くの図書館に行ってきましたが、黙々と勉強をしている人、また涼みに来てのんびり寛いでいる人などで多くの人がいました。

猛暑日の毎日が続いており、私の住んでいる愛知県で今週はずっと35~37℃の予報です。コロナウイルスの感染も増加していますし、コロナウイルスとともに熱中症も予防しなくてはなりません。水分補給と休息をしっかりと取って体調管理に気を付けて下さい。

 

昨日、時定数の記事を掲載しましたが、記事の最後に以下の文章を書きました。

このまま暗記しておきたい文章です。

時定数の値を小さくすると、指針のゆらぎが大きくなり、指示値の相対標準偏差は大きくなるが、応答は速くなる

今日は、この文章を演習問題を解きながら理解していきましょう。

 


あるサーベイメーターを用いて、同一のX線を測定するとき、時定数をT1秒に設定した場合①と、T2秒に設定した場合②とを比較した次の記述のうち誤っているものはどれか。ただし、T2=10T1とし、①及び②において時定数以外の条件には変化はないものとする。

A 応答速度は①より②の方が遅い。

B 計数率の標準偏差は、①においては②における値の1/10である。

C 計数率の相対標準偏差は、①においては②における値のf:id:radioisotope_f:20200810125642g:plain倍である。

D 計数率の指示値の揺れは、①より②の方が小さい。

E 計数率が小さいX線の測定には、一般に①より②の方が適している。 


 

問題文に「T2=10T1」と書いてありますので、②の時定数T2は①の時定T1よりも10倍大きくなっています。時定数が大きくなると応答は遅くなるので、②の方が①よりも応答は遅くなります、よって、選択肢Aは正しい。

 

時定数がN倍になればサーベイメーターの計数値もN倍になります。

計数時間を イメージ 20、計数値を イメージ 21 とすると、計数率の標準偏差イメージ 3 です。(前々回、前前々回の記事で説明しましたね)すなわち、計数率の標準偏差は計数値の平方根になりますので、計数値がN倍になれば 計数率の標準偏差f:id:radioisotope_f:20200810131604g:plain倍になります。よって、時定数が10倍になればサーベイメーターの計数値も10倍になり、計数率の標準偏差f:id:radioisotope_f:20200810125642g:plain倍になります。よって、計数率の標準偏差は①においては②における値のf:id:radioisotope_f:20200810132506g:plain倍となりますので、選択肢Bは誤り。

 

計数率の相対標準偏差は計数率の標準偏差をその計数率で除したものになります。時定数が10倍になればサーベイメーターの計数値も10倍になり、計数率の標準偏差f:id:radioisotope_f:20200810125642g:plain倍になりますので、その相対標準偏差f:id:radioisotope_f:20200810132353g:plain倍、すなわちf:id:radioisotope_f:20200810132506g:plain倍になります。よって、計数率の相対標準偏差は①においては②における値のf:id:radioisotope_f:20200810125642g:plain倍となりますので、選択肢Cは正しい。

 

「時定数の値を小さくすると、指針のゆらぎが大きくなり…」と上述の文章にありますので、時定数の大きい②の方が指針のゆらぎは小さくなります。よって、選択肢Dは正しい。時定数を小さくすると、目標値までは短い時間で到達しますが、揺れ幅も大きくなることが感覚的に分かると思います。

 

計数率が小さい場合は、時定数は長めに設定して測定時間を長めにすっくり測定することが必要です。よって、時定数の大きい②の測定が適していますので選択肢Eは正しい。

よって、選択肢Bが誤りとなります。

 

標準偏差や時定数については苦手としている人も多いかもしれませんが、公式を覚え問題をたくさん解けば基本的な問題は得点できるようになります。

諦めずに頑張って問題を解くようにして下さい。

次回は実際の放射線取扱主任者試験で出題された時定数に関する過去問題を掲載する予定です。