ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日はウラン(U)に関して計算問題を一緒に解いてみましょう。
天然放射性核種であるUについては以下のことは是非覚えておきましょう。
○ウラン238(238U):ウラン系列
99.275% 半減期45億年
238U(45億年) → 206Pb(安定) α壊変8回 β壊変6回
0.72% 半減期7億年
235U(7億年) → 207Pb(安定) α壊変7回 β壊変4回
○234U(246000年):ウラン系列
0.005%
天然に存在する同位体:234U、235U、238U
では、本日の問題です。
問
現在の天然ウランの同位体存在度は、238Uが99.28%、235Uが0.72%である。45億年前の235Uの同位体存在度に最も近い値は次のうちどれか。ただし、238Uの半減期は45億年、235Uの半減期は7億年とする。
A 6% B 12% C 24% D 48% E 96%
天然ウランの中の234Uの割合は非常に小さいので、本問題では234Uの量は無視して238Uを99.28%、235Uを0.72%としてあります。
問題を解くために、現在、天然ウランが100gあったとして計算していきましょう。
天然ウラン100g中の238Uは99.28g、235Uは0.72gとなります。
238Uの半減期は45億年ですので、45億年で半分になったことになります。よって、45億年前には238Uは現在の99.28gの2倍あったことになりますので198.56gとなります。
放射線の問題らしく計算してみると、
放射能や原子数、質量などは半減期に従って半分ずつ減少していきます。式で表すと、最初の放射性核種の質量をw[g]、半減期をTとすると、t時間経過した後の質量は、
となります。
では、45億年前の238Uの質量をx[g]とすると、45億年後の238Uの質量は、238Uの半減期は45億年ですので、
となり、これが現在の 238Uの質量である99.28gになります。
よって、45億年前の238Uの質量x[g]は、
同様に、235Uについても考えてみると、
45億年前の235Uの質量をy[g]、235Uの半減期Tを7億年、経過時間tを45億年とすると、
現在の235Uの質量は0.72gですので、
となります。
ここで、45/7は6.4くらいですので、
として、
よって、
となります。
ここで、26.4は計算できませんが、26<26.4<27ですので、
であることは分かります。
よって、
であるので、
となります。すなわち、45億年前の235Uの質量は46.08gよりも大きく92.16gよりも小さい量となります。
まとめると、45億年前は
238Uの質量は198.56g
235Uの質量は46.08gよりも大きく92.16g
となりますので、 235Uの同位体存在度は、
235Uの質量が46.08gの時は、
235Uの質量が92.16gの時は、
となります。
問題の選択肢を見ると、この範囲内にあるのはCの24%だけになるので、正答はCになります。
半減期に関する計算問題はよく出題されていますので過去問題をしっかりと解いておきましょう。簡単な指数、対数の計算はできるようにしておくことが大切です。