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放射線利用機器に関する問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

先日から放射性核種に関する記事を何回か掲載してきましたので、今日は放射性核種に関する演習問題を一緒に解いてみましょう。

放射線取扱主任者試験では、放射性核種に関しては壊変や半減期、エネルギー以外にも放射性核種を利用した機器に関する問題も非常によく出題されています。

放射線利用機器に用いられる核種及び放射線の組合せは過去問題を解きながらしっかりと覚えておきましょう。

 


問 

放射線利用機器と、使用する密封放射線源の例を示した次の中から正しいものの組合せはどれか。

A 厚さ計(鉄鋼用)-55Fe
B 硫黄計-137Cs
C 非破壊検査装置-192Ir
D 水分計-252Cf


 

厚さ計は、放射線の吸収や散乱を利用しています。β線は紙や数mm以下の薄いフィルムやシートなどの厚さ測定に多く使用され、147Pm、85Krなどが利用されます。γ線は厚い鋼板などに使用され、241Amや137Csなどを用います。55Feは硫黄計や蛍光X線の線源に使用され厚さ計には利用されないので選択肢Aは誤り。

硫黄計の線源としては241Amや55Feが利用されます。241Amは透過型で59.5keVのγ線を、55Feは励起型でMn-Kαの5.9keVの特性X線を利用しています。137Csは厚さ計などに使用され、硫黄計には使用されないので選択肢Bは誤り。

非破壊検査に用いる放射線にはX線γ線中性子線などがあります。X線装置およびγ線源が放射線透過試験(ラジオグラフィ)用として広く使用され、γ線源としては放射性同位体192Irおよび60Coが多く用いられます。よって、選択肢Cは正しい。

水分計には一般的に252Cfが利用されています。252Cfから放出された高速中性子と水素原子核との散乱を利用していいます。よって、選択肢Dは正しい。
よって、選択肢CとDが正しくなります。


厚さ計、硫黄計、水分計はいずれも2019年度の第二種試験化学問9でも出題されています。厚さ計は2019年度第一種試験化学問27で出題されています。

 

関連する最近の過去問題をいくつか掲載します。過去問題をしっかり解いて覚えるように下さい。

第一種試験

2019年度化学問27

次のうちα線源を利用している機器はどれか。
1 レベル計 

2 ECDガスクロマトグラフ 

3 メスバウアー分光装置 

4 散乱型厚さ計 

5 煙感知器

2018年度化学問27

透過型厚さ計で用いる線源と下図に示した測定範囲の関係として、正しいものの組合せは次のうちどれか。

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   A    B   C   D
1 90Sr 241Am 137Cs 85Kr 
2 241Am 85Kr 90Sr 137Cs 
3 90Sr 85Kr 137Cs 241Am 
4 85Kr 90Sr 241Am 137Cs 
5 85Kr 90Sr 137Cs 241Am

2017年度化学問28

放射性同位元素装備機器に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 厚さ計は、β-線の散乱や吸収を利用している。
B 中性子水分計は、速中性子と水素原子核の弾性衝突を利用している。
C 硫黄計は、α線で硫黄原子を励起することを利用している。
D 密度計は、α線の質量減弱係数が物質によらず一定であることを利用し

   ている。

2016年度化学問28

次の放射線利用機器、利用している核種及び放射線の組合せのうち、正しいものはどれか。
1 厚さ計 - 90Sr - X線 

2 イオウ計 - 11C - β+線 

3 ECDガスクロマトグラフ - 63Ni - β-線 

4 レベル計 - 35S - γ線 

5 水分計 - 252Cf - α線

2014年度化学問29

次の放射性同位元素が用いられている分析・計測装置で、利用される放射線が正しいものはどれか。
1 60Co-レベル計-X線 

2 63Ni-ガスクロマトグラフ-γ線 

3 147Pm-厚さ計-β線 

4 241Am-蛍光X線分析装置-中性子線 

5 252Cf-水分計-α線

 

第二種試験

2019年度化学問9

放射性同位元素装備機器に用いられる密封線源及び検出器に関する次の組合せのうち、正しいものはどれか。
A 厚さ計 85Kr プラスチックシンチレ-ション検出器
B 密度計 90Sr 3He比例計数管
C 水分計 252Cf GM計数管
D 石油硫黄計 241Am 電離箱

2018年度管理技術Ⅱ問19

一般消費財と核種の関係として、正しいものの組合せはどれか。
A 夜光塗料-3H 

B グロー球-85Kr 

C 静電除去装置-210Po 

D 煙感知器-241Am

2017年度管理技術Ⅱ問18

放射性同位元素を装備した機器と主に使われている放射線源の組合せとして正しいものはどれか。
A 非破壊検査装置-85Kr 

B レベル計-32P 

C 蛍光X線分析装置-55Fe 

D 密度計-241Am 

E 硫黄分析計-63Ni

2016年度管理技術Ⅱ問19

放射性同位元素を装備した機器と放射線源の組合せとして正しいものはどれか。
A 水分計-241Am-Be 

B 厚さ計-85Kr 

C 静電除去装置-210Po 

D ガスクロマトグラフ-63Ni

2015年度管理技術Ⅱ問18

放射性同位元素を装備した機器で利用されている現象について、次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A ECDガスクロマトグラフでは軌道電子捕獲壊変核種から放出される

   オージェ電子の、分析ガスによる吸収が利用されている。
B 中性子水分計では測定試料中の水素による速中性子の散乱が利用され

   ている。
C 静電気除去装置ではα線あるいはβ線による電離で生じたイオンにより

   静電気を中和することが利用されている。
D 厚さ計では測定試料による放射線の吸収や散乱が利用されている。

2015年度管理技術Ⅱ問20

放射性同位元素を装備した機器と放射線源及び検出器に関する次の組合せのうち、正しいものはどれか。
A 透過型厚さ計-147Pm-電離箱 

B 密度計-60Co-シンチレーション検出器 

C 水分計-204Tl-3He比例計数管 

D 煙感知器-241Am-GM計数管

2014年度管理技術Ⅱ問20

放射性同位元素装備機器と放射線源に関する次の組合せのうち、正しいものはどれか。
A 厚さ計-90Sr、147Pm 

B 水分計-241Am-Be、252Cf 

C 密度計-137Cs、241Am 

D 蛍光X線分析装置-85Kr、192Ir

放射線を利用した機器は第一種試験、第二種試験ともに毎年のように出題されていますので主要な機器に使用される核種や簡単な原理は必ず覚えておきましょう。