放射線取扱主任者試験に合格しよう!

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140Baと140La

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

前回、前々回と放射性核種90Srと90Yの記事を掲載しました。

90Sr-90Yの放射平衡(永続平衡)、また90Srと90Yの分離は放射線取扱主任者試験でも頻出分野ですので確実に得点できるようにしっかりと勉強しておきましょう。

放射線取扱主任者試験では、90Sr-90Yの関係と並び140Ba-140Laの関係の問題もよく出題されています。

今日は140Baと140Laについて覚えましょう。

 

140Ba

半減期12.8日

・β-壊変

140La

半減期1.68日

・β-壊変

 

140Baはβ-壊変して140Laになります。親核種である140Baの半減期12.8日は娘核種である140Laの半減期1.68日に比べて長いため、両者の間には過渡平衡が成立します。

140Ba -140Laの過渡平衡は非常に重要ですので必ず暗記しておきましょう。

 

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90Srと90Yの分離と同様、140Baと140Laの分離も放射線取扱主任者試験ではよく出題されています。140Baと140Laの分離の問題も出題される内容はだいたい決まっていますので、過去問題を解いてしっかりと解けるようにしておくことが大切です。

2006年度第一種試験物化生問1Ⅱ

親核種の半減期が娘核種の半減期より長いとき、試料中に成長してくる娘核種を化学分離して取り出せば、短半減期の核種の利用が可能である。この操作は(A)といわれる。(A)は、娘核種の放射能が最大になる時点tmaxで行うと効率がよい。

tmaxはdN2/dt=0として、これから

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が得られる。

一例として、

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の壊変系列を考える。140Baの半減期は(C)日、140Laの半減期は(D)日である。

t=0で140Laと140Ceを分離して、純粋な140Baの状態であったとすると(E)日後に140Laの放射能は最大に達する。なお、ln(B)=2.03とする。

140Laを無担体で分離するには、いくつかの方法があるが、140Baと140Laを含む溶液にBa2+及び(F)を担体として加え、アンモニアアルカリ性にすることによって(G)を沈殿させ、沈殿をろ別したのち、塩酸に溶かし、メチルイソブチルケトン(MIBK)などを用いた(H)によって(F)を除くことができる。この場合、Ba2+は(I)であり、(F)は140Laを無担体で取り出すための(J)である。

2015年度第一種試験物化生問3Ⅱ

過渡平衡の一例として、140Baの壊変系列を見てみる。

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140Ba中に生じている140Laを分離除去した後、純粋な140Baを保存すると、半減期12.8日で140Baがβ-壊変し、次第に140Laの量(放射能)が増加する。その結果、(I)日後に140Laの放射能が最大になる(ただし、ln7.6=2.03)。その後、140Laの放射能は、親核種140Baの放射能を(イ)、次第に半減期(J)日で減衰するようになる。

生成する140Laを無担体で分離するには、140Baと140Laを含む溶液に、(K)及びFe3+を加え、アンモニアアルカリ性にすることによってFe3+を(L)として沈殿させる。水溶液中で生成した140Laは(M)価であり、Fe3+と共沈する。沈殿をろ別したのち、塩酸に溶かし、ジイソプロピルエーテルを用いた溶媒抽出によりFe3+を除くと140Laが得られる。この場合、Ba2+は保持担体であり、Fe3+140Laを無担体で取り出すための非同位体担体である。

 

それでは、今日も関連する演習問題を一緒に解いてみましょう。


問 37GBqの140Ba(バリウム-140)と過渡平衡の状態にある140La((A)-140)の混合溶液から、沈殿法によって140Laを無担体の状態に分離する1つの方法は、溶液に適当量の非放射性の塩化バリウム(B)と塩化第二鉄(C)を加え、アンモニア水で処理して、水酸化第二鉄を沈殿させ、140Laをこれに(D)させる方法である。このとき加えられる塩化第二鉄は、非同位体担体あるいは(E)といわれ、塩化バリウムは(F)といわれる。


140Ba(バリウム-140)と140La(A)ランタン-140)の放射平衡の壊変式は半減期も含めて必ず暗記しておかなくてなりません。

 

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過渡平衡にある140Ba-140Laの混合溶液から、140Laを無担体の状態で分離する方法としては溶液に適当量の非放射性の塩化バリウムBBaCl2と塩化第二鉄CFeCl3を加え、アンモニア水で処理してアルカリ性にし、水酸化第二鉄Fe(OH)3を沈殿させ、140LaをFe(OH)3D)共沈させます。
このとき加えられる塩化第二鉄Fe(OH)3のFe3+は、140La3+同位体ではないので非同位体担体あるいはE)共沈剤といわれ、塩化バリウムBaCl2のBa2+140Ba2+F)保持担体といわれます。

塩化バリウムや塩化第二鉄は分離の問題ではよく出てくる化合物ですので化学式は書けるように暗記しておきましょう。また、水酸化第二鉄も沈殿としてよく問題にされる化合物ですので化合物名、化学式を暗記しておきましょう。
上述で紹介して2015年度第一種試験物化生問3Ⅱの問題でも(L)で水酸化第二鉄の化学式が問われています。また、2015年度第一種試験物化生では問3Ⅲ(Q)でも水酸化第二鉄が問われています。

 

放射線取扱主任者試験では暗記すべきことをしっかりと覚えることで貴重な1点を確実に得点することが大切です。

その1点ずつの積み重ねが合格という目標を達成させてくれるのです。