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光子と物質の相互作用 第二種試験過去問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

先週から光子と物質の相互作用に関しての記事を掲載しています。

放射線取扱主任者試験では、光子と物質の相互作用として光電効果、コンプトン散乱、電子対生成は非常に重要で毎年必ず出題されています。過去問題でしっかりと勉強しておくことが大切です。

光子と物質の相互作用に関しては、第二種試験の管理技術Ⅰ(2018年度までの課目)の問題で基本的な文章問題が多くあります。今日はそれらの問題を掲載します。

非常に良い問題ばかりですので文章全体を覚えるくらいの気持ちで解いて下さい。

 

第二種試験

2018年度管理技術Ⅰ問5Ⅲ

(中略)

γ線のエネルギーが一定値を超えると、物質との相互作用で電子対生成を生じ、スペクトルには陽電子と関わりの深い構造が現われる。陽電子は生成地点近傍で電子と対消滅し、主に(I)の消滅放射線を2本生じる。この2本がともに検出器外へ逃れると、全吸収よりも(I)の2倍だけ低いエネルギーが検出器に与えられ、ピーク(カ)として現われる(ダブルエスケープピーク)。また、1本のみが逃れると、全吸収より

も(I)だけ低い位置にピーク(キ)として現われる(シングルエスケープピーク)。
 以上のことなどから、グラフ横軸の1チャンネルは(J)keVに相当する。この値から、ピーク②は検出器外部から入射した(K)の全吸収ピークと推定される。

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2017年度管理技術Ⅰ問1Ⅰ

密封放射線源として最もよく使われているものの一つに、137Cs γ線源がある。その線源から放出される主なγ線のエネルギーは(ア)keVであり、Csの原子核がβ壊変して生成した(A)の原子核励起状態から放出されるものである。このエネルギーのγ線が生体に入射すると、(B)と(C)を起こすが、しきい値のある(D)は起こさない。

2015年度管理技術Ⅰ問2Ⅰ

60Co線源からのγ線が物質に入射したときの相互作用を考える際、これらのγ線のエネルギーは(B)のしきい値、(ア)MeVより大きいが、(B)の頻度は一般的には無視できる。最も頻度の高い相互作用は(C)である。この過程ではγ線が物質中の電子と衝突して、そのエネルギーの一部を電子に与え、高速電子が生成する。(C)を繰り返すことによって、γ線のエネルギーは減少し、最終的には(D)によってγ線は消滅する。

2013年度管理技術Ⅰ問2Ⅱ 

137Cs線源から放出されるγ線のエネルギーは、電子対生成に必要なしきい値より低いので、電子対生成を起こさない。ちなみに電子対生成のしきい値は電子の静止エネルギーの2倍で約(G)MeVである。この線源からのγ線光子と物質との相互作用で最も起きやすいのは(H)散乱である。この相互作用の結果、光子のエネルギーの一部は電子に与えられるので、光子のエネルギーは減少する。この過程で発生する二次電子は(H)電子と呼ばれる。光子のエネルギーが減少してくると(I)の断面積が大きくなる。(I)では、軌道電子が光子のエネルギーを吸収して飛び出し、軌道には空孔が生じる。放出された電子の運動エネルギーは、光子の全エネルギーから、軌道電子の(J)を減じた値となる。

2012年度管理技術Ⅰ問2Ⅰ

光子放射線であるX線γ線は、物質中で(A)、(B)、(C)を起こす。このうち、(A)と(C)の場合には光子は消滅するが、(B)の場合には反跳電子にエネルギーを与えた分だけ、光子自身のエネルギーは減少する。(C)によって生成する陽電子も含めて、これらの相互作用によって物質中に多くの二次電子が生成する。これらの二次電子は物質を構成する原子・分子を電離したり、(D)することによって運動エネルギーを失っていく。(C)によって生成した陽電子は、運動エネルギーを失った後に物質中の電子と結びついて、正反対の方向に2本の(ア)keVの(E)を放出する。このエネルギーは電子の(F)と等価である。

2011年度管理技術Ⅰ問5Ⅱ

高エネルギーの光子(γ線X線)が物質に入射すると、主にコンプトン散乱、光電効果及び電子対生成の3種類の相互作用を介して、光子のエネルギーが物質に与えられる。
 コンプトン散乱では、入射した光子のエネルギーの一部が軌道電子に与えられ、反跳電子が放出される。また、入射した光子は散乱されて進行方向が変わり、エネルギーは低下する。このとき、散乱された光子の波長は、入射した光子の波長に比べて(G)なる。
 散乱された光子のエネルギーは散乱角度に依存し、散乱角度が180°のとき、すなわち入射方向へ散乱されるときに最小になる。入射光子のエネルギーが511keVならば、散乱光子のエネルギーの最小値は(エ)keVであり、波高スペクトルの(オ)keVに相当する位置付近にはコンプトンエッジが観測される。また、この光子の波長は、散乱によって(カ)mだけ(G)なった。なお、プランク定数は4.14×10-18keV・sとする。
 光電効果では、入射した光子はエネルギーをすべて軌道電子に与えて消滅し、光電子が放出される。また、光電子が放出された後に、入射光子とは異なるエネルギーの光子が発生することがある。これは、放出された電子の軌道に生じた空席へ外側の軌道の電子が遷移した際に、その余剰エネルギーが光子として放出されたもので(H)と呼ばれる。また、(H)の代わりに、(I)が放出される場合もある。
 電子対生成では、入射した光子のエネルギーはすべて電子と陽電子の生成及び電子と陽電子の運動エネルギーに費やされ、光子は消滅する。電子対生成にはしきい値があり、光子のエネルギーが(キ)keVよりも小さいときは起こらない。このしきい値は、電子(ク)個分の静止質量のエネルギーに相当する。

2010年度管理技術Ⅰ問4Ⅲ

放射性同位元素から放出される光子と物質との相互作用について考えてみる。ここでのキーワードは光子のエネルギーである。
 光子のエネルギーすべてを吸収して原子核内の(a)が放出される現象を(K)と呼ぶ。放出される電子の得たエネルギーは、光子の全エネルギーではなく、それから(a)の束縛エネルギーを差し引いたものである。
 高エネルギーの光子は電子と衝突し、電子を原子から飛び出させると同時に自分自身もエネルギーを失って、波長の(ア)光子、すなわち、散乱光子となる。このような散乱現象を(L)と呼ぶ。したがって、このような(L)を繰り返しているうちに、光子はそのエネルギーが低下し、ついには(K)を起こして原子に吸収される。
 光子のエネルギーが低い場合は、(a)の束縛エネルギーの方が高いために、散乱によって光子エネルギーが変化しないことがあり、このような減少を(M)と呼ぶ。一方、(イ)MeV以上の高エネルギーの光子が原子核の近傍を通過する際、光子は消滅して、電子とその反粒子である(b)の対を生成することがある。この現象を(N)と呼ぶ。

 

電子対生成

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今週は光子と物質の相互作用に関して記事を掲載しています。

昨日までにコンプトン散乱、光電効果について記載しましたので、今日は電子対生成に関しての記事になります。
 
電子対生成
 光子が物質の原子核の電場で電子と陽電子を生成する反応

 

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電子対生成で覚えておきたいことは、
・入射光子エネルギーが1.022MeV以上のとき起こりうる
・生成した陽電子は電子と結合し0.511MeV の2 本のγ線(消滅γ線、消滅放射線)を

 反対方向に放出して消滅する
・生成した電子と陽電子のエネルギーは、入射光子のエネルギーをEとすると、それ

 ぞれ「0~ E-1.022 MeV」までの範囲の連続スペクトルである
・電子対生成の断面積は物質の原子番号の2 乗に比例し、光子のエネルギーが大きく

 なる程起りやすくなる

など


電子対生成は電子と陽電子の2つを生成するのでしきいエネルギーが存在し、入射光子のエネルギーが電子の静止エネルギー0.511MeV と陽電子の静止エネルギー0.511MeV の和である1.022MeV 以上でないと起こりません。

生成した陽電子が電子と結合して消滅するときに反対方向に消γ線(消滅放射線線)を放出するのであって、電子と陽電子が反対方向に放出されるわけではありません。
さらには消滅γ線陽電子が電子と結合し消滅した位置で放出され、電子対生成が起こった位置で放出されるわけではありません。

過去問題では電子対生成の問題は非常によく出題されていますが、陽電子に関しても時々出題されていますので、陽電子の特徴も押さえておきましょう。

 

陽電子

 陽電子(β+線)は電子(β-線)の反粒子ですので、基本的にはβ-線と同じ振る舞いをします。β-線と同様、制動放射線も放出し、また質量も同じになります。β+線の最大飛程はβ-線の最大飛程とほとんど同じになります。
 β+線とβ-線の違いは、β+線は電子と結合して消滅するときに0.511MeVの2本の光子(消滅放射線)を放出することです。β-線は消滅放射線は放出しません。
 また、β+線のエネルギースペクトルはβ-線と同じで連続スペクトルになりますが、その形状は異なります。
 

2010年度第一種試験物化生問2Ⅲの問題を掲載します。

電子対生成に関して基本的な内容ですので、文章すべて暗記するくらいの気持ちで何回も読んで下さい。

2010年度物化生問2Ⅲ

原子核周辺の(Q)クーロン場の中で光子が消滅し、一対の電子と陽電子が生成される現象を電子対生成と呼ぶ。電子と陽電子は質量を有することから、この現象は光子のエネルギーが電子の静止質量エネルギーの2倍以上でないと起こらない。生成した陽電子は電子の(R)反粒子であり、電子と結合すると(S)0.511MeVの2個の(T)消滅放射線を互いに反対方向に放出する。

 

電子対生成に関する近年の第一種試験物理の課目から過去問題を掲載します。

自分で解いて電子対生成について理解を深めて下さい。

 

第一種試験

2019年度物理問19

電子対生成に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 電子対生成によって作られた陽電子は、同時に生成された電子と結合

   して消滅する。
B 電子対生成によって作られた陽電子のエネルギーと電子のエネルギー

   は等しい。
C 電子対生成の原子当たりの断面積は物質の原子番号のほぼ2乗に比例す

   る。
D 光子と原子核の電場との相互作用により生じる。
E 電子対生成によって作られた陽電子の真空中での寿命は約15分であ

   る。

2017年度物理問17

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 電子対生成には、電子の静止質量の2倍以上に相当する光子エネルギー

   が必要である。
B 電子対生成で生じた電子と陽電子は、互いに180度方向に放出される。
C 電子対生成で生じた陽電子は、3つの光子を放出して消滅することがあ

   る。
D 電子対生成の断面積は、物質の原子番号の3乗にお比例して大きくな

   る。

2016年度物理問18

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A K吸収端のエネルギーは、金よりも鉛の方が高い。
B 100keVの光子と空気との相互作用において、コンプトン散乱の断面積

   よりレイリー散乱の断面積の方が大きい。
C 1MeVの光子に対するコンプトン散乱の断面積は、鉄よりアルミニウム

   の方が大きい。
D 5MeVの光子と水との相互作用において、電子対生成の断面積よりコン

   プトン散乱の断面積の方が大きい。

2013年度物理問13

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 電子対生成により生じた電子と陽電子は光子の入射方向に対して90°の

   角度で放出される。
B 電子対生成では光子の全エネルギーが電子及び陽電子の運動エネル

   ギーに転移する。
C 電子対生成が起きると特性X線又はオージェ電子が放出される。
D 電子対生成が起きる確率は物質の原子番号のほぼ2乗に比例して増加す

   る。

 

光子と物質の相互作用に関しては、光電効果、コンプトン散乱、電子対生成をしっかりと押さえておくことが重要です。

光子と物質の相互作用に関する過去問題としては、基本的で良い問題が第二種試験の文章問題で見られます。これらの過去問題を何回も解いて文章を覚えるくらいの気持ちで勉強すれば、基本的な内容はしっかり頭に入れることができます。

次回は光子と物質の相互作用に関する問題として、第二種試験の文章問題をいくつか紹介したいと思います。

 

光電効果

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

昨日、光子と物質の相互作用のひとつであるコンプトン散乱について記事を書きました。光子と物質の相互作用で出題される計算問題のほとんどはコンプトン散乱ですので、昨日掲載した公式は必ず暗記して自分で使えるようにしておきましょう。

 

放射線取扱主任者試験で出題される光子と物質の相互作用には、コンプトン散乱の他に光電効果と電子対生成があります。今日は光電効果について簡単に記事にしたいと思います。

 

光子と物質の相互作用において入射光子のエネルギーと起こりやすい相互作用の関係は放射線取扱主任者試験でもよく出題されている分野ですので必ず覚えて下さい。

 

「入射光子のエネルギーが小さいときは光電効果が起こりやすく、エネルギーが大きくなるとコンプトン効果のほうが相対的に起こりやすくなる。さらに光子のエネルギーが大きくなると電子対生成が起こりやすくなる。」

 

以下の図を自分で描けるようにしておけばこの文章は覚えられると思います。この図を使用して解く問題は非常によく出題されていますので必ず覚えておきましょう。

 

 
 物質が光子エネルギーを吸収して自由電子を生じる現象
 放出された電子を光電子という

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光電効果で覚えておきたいことは、
・光子が原子に吸収されて消滅し、軌道電子が原子から飛び出す
・断面積は原子番号の5乗に比例しエネルギーの3.5乗に反比例する
原子番号の大きな原子に低エネルギーの光子が入射されたときに寄与が大きい
・複数の殻で光電効果が可能なときは内側の殻ほど起こりやすい
・光電子(軌道電子)はあらゆる方向に放出される
など
 

最近出題された光電効果に関する問題です。

第一種試験

2018年度物理問15

光子と物質との相互作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 光電効果で生じる光電子のエネルギーは、光子のエネルギーに比例す

   る。
B 光電効果に対する原子当たりの断面積は、原子番号の2乗に比例する。
C 質量エネルギー吸収係数は、質量減弱係数より小さい。
D 線源弱係数は、物質とその密度及び光子のエネルギーによって決ま

   る。

2017年度物理問21

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 光電効果によって放出される光電子は、全ての方向に均等に放出され

   る。
B 光電効果は光子の粒子性を示す現象である。
C 光電効果に対する線減弱係数は、物質の原子番号をZとすると、Z(Z+1)

   に比例する。
D 光電効果に伴ってオージェ電子が放出されることがある。

2017年度物理問18

光子と物質との相互作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 0.2MeVの光子と水との相互作用は主に光電効果である。
B 1.0MeVの光子と鉛との相互作用は主に光電効果である。
C 2.0MeVの光子と水との相互作用は主にコンプトン効果である。
D 10MeVの光子と鉛との相互作用は主に電子対生成である。

2015年度物理問19

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 光電効果は、光子と束縛電子との相互作用により起こる。
B 光電効果は、光子と軌道電子との弾性衝突である。
C 光電効果に伴って、オージェ電子が放出されることがある。
D 光電効果の原子当たりの断面積は、原子番号の2乗に比例する。
E 光電効果の原子当たりの断面積は、光子エネルギーの増加とともに増加

   する。

2014年度物理問17

次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 0.1MeVの光子による鉛の吸収線量においては、光電効果が最も大きく

   寄与する。
B 137Csγ線による鉄の吸収線量においては、光電効果が最も大きく寄与

   する。
C 60Coγ線による水の吸収線量においては、コンプトン効果が最も大きく

   寄与する。
D 3MeVの光子による鉄の吸収線量においては、電子対生成が最も大きく

   寄与する。

2014年度物理問14

光電効果に関連する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A 光電子のエネルギーは入射光子のエネルギーに比例する。
B 光電効果に伴って必ず特性X線が放出される。
C 光電効果の起こる確率(断面積)は入射光子のエネルギーとともに単調に

   変化する。
D 蛍光収率は物質の原子番号によって決まる。

 

光電効果に関しては計算問題が出題されることは稀ですが、過去には以下のような問題が出題されています。

2011年度物理問17

0.1MeVの光子がタングステン光電効果を起こし、K軌道電子が放出された。またこれに伴い、Kα-X線が発生した。それぞれのエネルギー[keV]として正しい組合せは次のうちどれか。ただし、K軌道とL軌道における結合エネルギーはそれぞれ69.5keV及び10.9keVとする。

2005年度物理問18

100keVの光子と鉛との相互作用に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。ただし、鉛のK吸収端及びL吸収端のエネルギーはそれぞれ88keV、13keVとする。
A 主な相互作用は光電効果である。 
B 電子は全ての方向に均等に放出される。 
C この相互作用において12keVの電子が放出される。 
D この相互作用において75keVの光子が放出される。

 

第二種試験

2018年度管理技術Ⅱ問7

137Cs線源からのγ線が生体に入射したときの相互作用の確率が大きい順に並んでいるものは次のうちどれか。
1 光電効果 > コンプトン効果 > 電子対生成

2 光電効果 > 電子対生成 > コンプトン効果 

3 コンプトン効果 > 光電効果 > 電子対生成

4 コンプトン効果 > 電子対生成 > 光電効果 

5 電子対生成 > コンプトン効果 > 光電効果

2016年度管理技術Ⅱ問7

光電効果に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A γ線のエネルギーと光電子のエネルギーは等しい。 
B γ線の運動量はすべて光電子に与えられる。 
C γ線を吸収する確率はより内殻の電子の方が大きい。 
D 光電効果の断面積は物質の原子番号の5乗にほぼ比例する。

2013年度管理技術Ⅱ問5

光電効果に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A γ線エネルギーがK軌道電子の結合エネルギーよりも高い場合、K軌道電

   子に対する断面積の方がL軌道電子に対するものよりも大きい。
B 原子断面積はγ線エネルギーにほとんど依存しない。
C 原子断面積はおおよそ原子番号の5乗に比例する。
D 光電子は連続エネルギー分布を示す。

 

2018年度までは第一種試験の物化生の課目でも、また第二種試験では管理技術Ⅰの課目でも光子と物質の相互作用に関する問題は非常によく出題されてきました。

2019年度からは文章問題が各課目で出題されるようになりましたが、今後も第一種試験、第二種試験ともに物理の課目で光子と物質の相互作用に関する文章問題は必ず出題されますので、しっかりと過去問題を解いて勉強しておくことが大切です。

 

コンプトン散乱の公式

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

先週、近年の放射線取扱主任者試験における出題傾向をまとめた記事を掲載いたしました。過去問題を見てみると物理の試験では光子と物質の相互作用のひとつであるコンプトン散乱の計算問題が第一種試験、第二種試験ともによく出題されています。

 

コンプトン散乱

 光子が電子と衝突し入射光子の振動数より小さな振動数の光子が散乱する現象

  イメージ 1
 
コンプトン散乱で覚えておきたいことは、
・コンプトン散乱は光の粒子性を示す現象である
・入射光子と軌道電子との弾性散乱といえる
・コンプトン散乱後の散乱光子の波長は入射光子の波長よりも長い
・コンプトン散乱が起こると特性X線またはオージェ電子が放出される
・コンプトン散乱における原子当たりの断面積は原子番号に比例する
など

光子が物質と相互作用を起こし、コンプトン散乱が起こった場合の散乱光子のエネルギーを表す以下の公式は超重要公式です。必ず暗記しましょう。
エネルギーを代入するときの単位はMeVであることに注意しましょう。
 
 イメージ 2
 
式中のm・c2は電子の静止エネルギーを表し0.511MeVとなり、角度θは散乱光子の散乱した角度になります。
 
その他にもコンプトン散乱に関連する重要な公式がいくつかありますので必ず暗記して使えるようにしておいてください。

コンプトン電子のエネルギーEe
 

散乱光子の波長λと入射光子の波長λ0の差
 

 

コンプトン散乱の問題ではコンプトンエッジも時々出題されることがあります。
2019年度第一種試験の物理の試験でも出題されています。
物理問18
γ線スペクトロスコピーにおいて、コンプトンエッジと全吸収ピークとのエネルギー差は、入射光子のエネルギーが大きくなると、次のどの値{MeV]に近づくか。
2017年度第一種試験でも出題されました。
物理問17
NaI(Tl)γ線スペクトロメータにより、エネルギー未知のγ線の波高分布スペクトルを測定したところ、全吸収ピークが600チャネルに、コンプトンエッジが400チャネルに観測された。この場合のγ線エネルギー[keV]として、最も近い値は次のうちどれか。ただし、このスペクトロメータの零点調整はなされている。
 
コンプトンエッジ(コンプトン端)はコンプトン散乱が起こった場合に、波高スペクトルにおいてコンプトン電子の最も高いエネルギーの位置付近に観測されます。
コンプトンエッジに関しては以下のブログ記事でも掲載していますのでご覧下さい。

 コンプトンエッジに関する問題

 

第二種試験でのコンプトン散乱に関する問題は、過去ではほとんどが以下の公式を用いる基本的な問題です。公式をしっかりと暗記し自分で計算できるようにしておけば必ず得点できる問題です。

 
 イメージ 2


 

 

2019年度第二種試験の物理の試験で出題されたコンプトン散乱に関する問題は以下のような問題でした。

物理6

137Cs線源からのγ線が物質に入射してコンプトン効果を起こした場合、次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
A コンプトン効果は光子の波動性を示す現象である。
B 散乱光子のエネルギーは331keVを超えない。
C γ線の入射方向から180°方向に散乱される光子のエネルギーは約184keV

   である。
D 反跳電子のエネルギーは480keVを超えない。

 

第二種試験におけるコンプトン散乱に関する記事は以下のブログ記事でも掲載していますのでご覧下さい。

 第二種試験のコンプトン散乱

 

計算問題の公式は暗記しても自分でその式を利用できなくては意味がありません。

過去問題を解く中で使い方を覚えていくことが大切です。最初は公式の使い方が分からなかったり間違えたりで構いません。少しずつ理解していくことが大切です。

 

試験勉強では、計算問題によらずどのような問題でも何度も間違えながら、その都度解説を読み、自分がなぜ間違えたのか、何を理解していなかったのか、何を暗記していなかったのかを復習しながら、少しずつでも理解していくこと、暗記していくことを増やしていくことが重要です。失敗から学んでいくことが大切です。

 

試験勉強ではいくら失敗しても大丈夫です。努力により失敗を成功に変えていくことで本番の試験では必ず合格という目標を達成することができます。

 

第一種試験及び第二種試験実務の主な出題分野

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

今日は第一種試験の実務(2018年度までは管理測定技術)の課目について過去5年間の試験、及び第二種試験の2019年度の実務の試験で、主にどのような分野の問題が出題されたかをまとめてみました。

これからの勉強の参考にして下さい。

 

第一種試験

実務(2018年度までは管理測定技術)

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2019年度第二種試験

実務

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第一種試験化学・生物 過去5年間分の主な出題分野

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

今日は第一種試験の化学、生物の課目について過去5年間の試験で、主にどのような分野の問題が出題されたかをまとめてみました。

これからの勉強の参考にして下さい。

放射線取扱主任者試験は課目数も多く、またそれぞれの課目の範囲も広いため勉強には時間が必要です。早めに勉強を始めることが大切です。

 

化学

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生物

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第一種試験、第二種試験の実務の課目については、後日掲載してみたいと思います。

 

第二種試験物理・化学・生物 2019年度の主な出題分野

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。

第二種放射線取扱主任者試験では、物理、化学、生物の分野は2018年度までは管理技術Ⅱの課目で測定分野や管理分野と合わせて5肢択一式の問題が30問出題されていました。

2019年度からは、物理・化学・生物の名称の課目になり、それぞれの分野において5肢択一式10問と文章問題1問が出題される形式になりました。

2019年度の試験において、物理・化学・生物の課目でどのような分野の問題が出題されたかをまとめてみました。

これからの勉強の参考にして下さい。

 

物理

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化学

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生物

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