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表面汚染密度に関する計算問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日は計算問題を一緒に解いてみましょう。
管理測定技術の管理分野に関する計算問題です。

問 作業室の床面全域が137Csで一様に汚染した。表面密度は200Bq/cm2で遊離性汚染である。この場合、次の問に答えよ。
(1) 表面密度と表面密度限度の比はいくらか。
(2) 全面マスクを着用して除染作業を行ったとき、作業者の吸入する空気中の137Cs
   放射能濃度はいくらか。ただし、全面マスクの防護係数を50、除染作業による再
      浮遊係数を5×10-5cm-1とする。
(3) 除染作業を1時間40分行った場合、作業者の137Csの体内摂取量はいくらか。た
     だし、作業者の呼吸率は毎分0.02m3、作業中の空気中の放射性濃度は一定とし、
     吸入した137Csはすべて体内にとどまるものとする。

表面汚染密度に関する計算問題は管理測定技術の試験で非常によく出題されています。2018年度でも問3Ⅲに出題されました。重要な公式もありますのでしっかりと暗記しておきましょう。
 
では、問題を解いてみましょう。
(1)
α線を放出する放射性同位元素の表面密度限度、またα線を放出しない放射性同位元素の表面密度限度は覚えておきましょう。
 α線を放出する放射性同位元素の表面密度限度:4Bq/cm2
 α線を放出しない放射性同位元素の表面密度限度:40Bq/cm2
 
137Csはβ線γ線を放出する核種です。α線を放出しない放射性同位元素になるので、表面密度限度は40Bq/cm2になります。
本問題での表面密度は200Bq/cm2ですので、表面密度と表面密度限度の比は、
 
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(2)
137Csの空気中濃度は、表面密度に再浮遊係数を乗ずることにより求められます。
よって、
 
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                                                         イメージ 3
 
マスク防護係数は作業環境の空気中の放射性核種濃度が装着したマスク中の濃度の何倍になるかを表しているので、作業者の吸入する空気中の137Cs放射能濃度は、作業環境の137Cs濃度の50(マスク防護係数の値)分の1になります。
よって、
 
 イメージ 4
 
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(3)
作業者が吸入する空気量に空気中の137Cs放射能濃度を乗ずれば作業者が摂取する137Csの量が求められます。作業者が吸入する空気量は、呼吸率が毎分0.02m3で1時間40分間(100分間)汚染作業を行っているので、
 
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空気中の137Cs放射能濃度は(2)で2.0×10-4[Bq/cm3]と求めたので、この値と作業者が吸入する空気量を乗ずると、
 
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正答
(1) 5 (2) 2.0×10-4[Bq/cm3] (3) 4.0×102[Bq]
 
表面汚染密度に関する問題は、来年度以降は事故対応に関する課目として十分出題されるかもしれませんのでしっかり解き方をマスターしておきましょう。