【管理技術Ⅱ】
難易度は例年並みの問題かと思います。
基本問題、重要問題が多く、ひねった問題は特別見当たりません。計算問題は5題ですが、問2が第二種試験ではあまり見かけない問題ですが、それ以外は特別難しい問題も初見の問題もありません。6割は十分得点できる問題です。
問1は毎年必ず主題されている単位に関する問題です。出題される単位はほぼ決まっているので過去問題をしっかり解いておけば正答できます。
問2は電位差Vで加速したときのエネルギーE=eVの公式を覚えておけば解ける問題です。第二種試験ではここ最近はあまり出題されたことのない問題でしたので少し戸惑ったかもしれません。
問3は壊変や内部転換、自発核分裂、核反応などで放出される放射線に関する問題です。壊変により放出される放射線は基本事項ですので必ず覚えておきましょう。また内部転換で放出されるもの、中性子放出を伴う核分裂、核反応もよく出題されていますので必ず押さえておきましょう。
問4は放射能を求める公式を暗記しておけば正答できるかと思います。AからD全ての核種が放射線取扱主任者試験では重要核種ですので、半減期、エネルギーは暗記しておきましょう。
問5は過去にも同様の問題が出題されています。壊変定数の定義をしっかり覚えておきましょう。
問6は線エネルギー付与(LET)に関す問題です。LETの意味、性質、またブラッグ曲線なども覚えておきましょう。
問7は光子と物質の相互作用に関する問題です。重要な図がありますので自分で描けるようにしておきましょう。
問8のコンプトン散乱に関する計算問題は基本問題です。過去に全く同一の問題が出題されています。
問9、問11は検出器に関する問題です。問9はα線を検出できる検出器が選択肢にいくつかありますので少し迷ったかもしれません。問11の中性子の検出器に関しては、熱中性子、高速中性子の検出方法を覚えておきましょう。
問10は過去に管理技術Ⅰで同様の問題が出題されています。時定数の意味を知っていれば簡単に正答できます。
問12は計数率、標準偏差の公式をしっかり暗記しておけば正答できます。過去にも同様の問題が何度か出題されています。
問13は個人線量計で使用されるイメージングプレート(IP)に関する問題ですが、IPに関しては過去にも出題されています。IPの特徴を覚えておきましょう。
問14、問15、問16は個人被ばく管理や防護、職業被ばくなどに関する問題です。問16の職業被ばくと一般公衆被ばくについては線量限度とあわせて違いを覚えておきましょう。
問18はβ+壊変する主な核種を覚えておけば正答できるかと思います。
問19、問20は放射性核種や放射線の利用に関する問題です。問19で夜光塗料に3Hが使用されることは覚えておきたいですね。他は迷うことはないと思います。
問21の自然放射線に関する問題は非常によく出題されています。最新の情報で覚えておきたい事項です。自然放射線からの被ばく線量の数値を覚えることはなかなか大変ですが、日本における数値は核種とあわせてある程度覚えておいた方がよいでしょう。
問22、問23は個人線量計に関する問題です。第二種試験では個人線量計に関する問題が非常によく出題されています。主要な個人線量計については原理や使用方法、装着位置などをしっかりと覚えておきましょう。
問25はDNAの損傷や修復に関する問題です。放射線取扱主任者試験ではDNAの損傷や修復などは非常に重要でまたよく出題されています。細胞周期や生存率の図とあわせてしっかり勉強しておきましょう。
問26は過去にほぼ同一の問題が出題されています。急性放射線症についてはしきい線量などとあわせて症状などを押さえておきましょう。
問28は染色体異常に関する問題です。DNAの損傷や修復と同様、放射線取扱主任者試験では非常に重要かつ出題頻度の高い項目です。確実に押さえておきましょう。
問29の内部被ばくに関しては、臓器親和性について核種と沈着しやすい臓器の関係をしっかり暗記しておきましょう。
問30は放射線における発がんリスクに関する問題です。絶対リスク、相対リスク、また過剰が付いた場合など定義をしっかり覚えておきましょう。
全体的には例年の問題と大きな違いはなく、全ての分野から概ね出題されています。
計算問題も第二種試験でよく出題されるコンプトン散乱における反跳電子のエネルギーを求める問題、時定数の問題、標準偏差に関する問題が出題され、またDNAの損傷、修復、個人線量計、放射線の利用、自然放射線といった過去問題でよく出題されている問題が多く出題されています。
過去問題をしっかり勉強した方は7割から8割は得点できる問題かと思います。