放射線取扱主任者試験に合格しよう!

資格取得を目指す皆さんを応援します

年代測定②

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
先日、放射性炭素14Cを利用した年代測定の記事を紹介しました。
放射性炭素14Cを利用した年代測定に関する問題は第一種放射線取扱主任者試験でも出題されています。
年代測定に関する問題は、放射線取扱主任者試験では放射性炭素14C以外にもカリウム40(40K)に関する問題もよく出題されています。
40Kは、放射線取扱主任者試験では137Csとともに非常に出題頻度の高い核種です。
 
主には、
・壊変に関する問題(β-壊変で40Ca、EC壊変で40Ar)
半減期に関する問題(分岐壊変の問題含む)
40K-40Arを利用した年代測定に関する問題
などが出題されています。
 
40K-40Ar年代推定法
天然のカリウムは、主に39K(93.22%)と41K(6.77%)の安定同位体から構成されていますが、放射性同位体である40K(半減期12.8億年)を0.012%含んでいます。40Kは10.7%がEC壊変により40Arになりますが、火山の噴火によって形成された岩石が閉鎖系であれば、その中に含まれる40Arは40Kの壊変によって生じたものであると考えられます。40Arの岩石中の封入比率を測定することによって岩石の年代を推定することができます。

その他、年代測定にはRb-Sr法、U-Pb法やTh-Pb法、さらにはPb-Pb法などもありますが、放射線取扱主任者試験で出題されやすいものとしては14Cと40Kかと思いますので、過去問題をしっかり解いておいて下さい。
 
40K-40Arを利用した年代測定に関する過去問題の抜粋を掲載します。

平成29年度第一種放射線取扱主任者試験物化生問3Ⅱ
「岩石が固化した時点では40Arを含まず、固化してからの40Kの壊変で生成した40Arがすべて岩石中に留まり、しかも岩石が閉じた系を保持できれば40Kと40Arの原子数比から岩石の固化年代が決定できる。固化時と現在の40Kの原子数をそれぞれN10とN1、その間の経過時間をt、40Kの壊変定数をλとすると、N1=N10・e-λtの関係から固化時の原子数N10はN1・e-λtとなる。したがって、40Kから生成した40Arの原子数、すなわち現在の40Arの原子数N2は(I)0.108・N1(e-λt-1)と表され、N1とN2が分かれば固化年代が求まる。」
以下の過去問題も参考になります。
 平成19年度物化生問3Ⅱ
 平成24年度物化生問3Ⅱ

参考までに、
平成26年度第二種放射線取扱主任者試験管理技術Ⅰ問5Ⅲ
「恒星内元素合成とは異なるアルゴンの主要な生成過程に、40Kの壊変がある。次の壊変図のように、40Kの壊変には(G)β-壊変により40Caを生じる場合と、(H)EC壊変により40Arを生じる場合がある。
 40Kは地球のような岩石型惑星には普遍的に存在し、半減期は約12.5億年である。地球が形成されたのは約46億年前と考えられるので、地球形成当初に存在した40Kのうち(エ)92 %は既に壊変し、壊変した40Kの(オ)11 %の原子数の40Arが生じていると考えられる。つまり、現在の地球上には地球形成時に存在した40Kの(カ)10 %の原子数の40Arが存在すると考えられる。
 なお、地球大気におけるアルゴン同位体の99.6%は40Arである。このことから、アルゴンが地球大気中で3番目に多い成分である理由は、40Kの壊変で生成した40Arが大気圏内に蓄積された結果と考えられている。」
平成26年度第二種放射線取扱主任者試験管理技術Ⅰ問5Ⅳ
「また、応用として、40Kの放射性壊変を利用した年代測定が行われており、「カリウム‐アルゴン法」が(J)岩石や鉱物を試料とする分析に用いられる。」