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沈殿に関する問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日は演習問題を一緒に解いてみましょう。
化学の分野から沈殿に関する演習問題です。

化学反応式は苦手な方も多いかと思いますが、放射線取扱主任者試験で出題される化学反応式にそれほど難解なものはありません。過去問題を解いて基本的なことを覚えておけば自分で書けるようになると思いますのでしっかり勉強して下さい。



次の操作のうち、沈殿が生成し、その沈殿物にほとんどの放射性同位元素が含まれることになるものを選べ。

14Cを含む炭酸カルシウムに塩酸を加えて酸性にする
22Naを含む水酸化ナトリウム溶液に塩化鉄(Ⅲ)溶液を加える
36Clを含む塩化ナトリウム溶液に硝酸銀溶液を加える
40Kを含む塩化カリウム溶液に水酸化ナトリウム溶液を加えてアルカリ性にする
238Uを含む炭酸ウラニルに硝酸を加えて酸性にする



化学反応式で書いて沈殿物に放射性同位元素が含まれるか見てみましょう。

① イメージ 1

生成する塩化カルシウム(CaCl2)は水に溶解しますので沈殿にはなりません。
放射線核種の14Cは炭酸ガス(CO2)となって気体になります。①は誤り

② イメージ 2

生成する水酸化鉄(Ⅲ)(Fe(OH)3)は赤褐色の沈殿となります。放射線核種の22Naは食塩(NaCl)となって水に溶解しますので沈殿にはなりません。②は誤り

③ イメージ 3

生成する塩化銀(AgCl)は白色の沈殿となります。放射線核種の36Clがこの沈殿に含まれることになります。③は正しい

④ イメージ 5

生成する水酸化カリウム(KOH)に放射線核種の40Kが含まれますが、水酸化カリウムは水に溶解しますので沈殿にはなりません。、食塩(NaCl)も水に溶解しますので沈殿にはなりません。④は誤り

⑤ イメージ 4

生成する硝酸ウラニル(UO2(NO3)2)に放射線核種の238Uが含まれますが、硝酸ウラニルは水に溶解しますので沈殿にはなりません。⑤は誤り

よって、沈殿物に放射性同位元素が含まれるものは塩化銀(AgCl)になりますので③が正解です。

⑤のウラニルに関する化学反応式は書けなくても気にすることはありません。
①から④の化学反応式は必ず自分で書けるようにしましょう。

また、②の水酸化鉄(Ⅲ)(Fe(OH)3)は、90Sr-90Yの溶液から90Yを分離する際の共沈剤として使用されることは必ず覚えておかなくてはなりません。

90Sr-90Yを含む溶液にFe3+及び水酸化ナトリウム溶液を加えアルカリ性にし、水酸化鉄(Ⅲ)(Fe(OH)3)の沈殿をつくり、90Yを90Y(OH)3として共沈させます。
90Y3+を分離する際に非放射性のSr2+イオンを担体として加えておくと90Srは溶液に残ります。この非放射性のSr2+イオンを保持担体といいます。
最近では、平成25年度物化生問4Ⅲ、平成27年度物化生問3Ⅲに出題されています。


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