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放射線発生装置におけるPET核種製造に関する問題

ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
今日も第7版放射線概論の章末の演習問題を掲載します。
管理測定技術の分野から管理技術10章「放射線取扱い施設」の章末問題の問2(P.538)です。
管理測定技術の試験では、このような放射線発生装置におけるPET核種製造に関する問題が出題されています。
全文暗記してしまうくらい何度も読んで下さい。


問2 PET診断用の放射性同位元素(RI)として18Fを製造、使用する施設がある。18Fの製造に用いられる放射線発生装置としては(1)が最も多く利用されている。(2)の濃縮同位体を含む水をターゲットとして、(1)で加速された陽子を照射することにより、18Fが生成される。
放射線発生装置の使用室内には、運転中立ち入ることはできず、無理に入ろうとすると(3)機能により装置が自動停止するようになっている。運転停止直後は室内の線量率が高いので、入室する際には、放射線モニタで空間線量率の減衰を確認する。又、発生装置周辺には高線量率の場所があるため、測定レンジが広く数mSv・h-1まで測定可能な(4)式サーベイメータを携行することが望ましい。
18Fは半減期が110分の(5)壊変核種である。その測定には、(5)の消滅時に反対方向へ放出される、エネルギーが(6)keVの消滅放射線を同時計数する方法が用いられている。


PET核種は放射線取扱主任者試験での重要核種です。
11C、13N、15O、18Fの半減期は全て暗記するとともに、それぞれの核種を製造する核反応式も暗記しましょう。本ブログの10月11日の記事(陽電子放射断層撮影(PET)製剤)で解説しています。

18Fの製造に用いられる放射線発生装置としては(1)サイクロトロンが最も多く利用されています。(2)酸素の濃縮同位体を含む水をターゲットとして、サイクロトロンで加速された陽子を照射することにより18Fを生成することができます。ネオンに重水素を照射しても18Fは生成することができることも覚えておきましょう。

 イメージ 1
 イメージ 2

放射線発生装置の使用室内は運転中立ち入ることはできません。無理に入ろうとすると(3)インターロック機能により装置が自動停止するようになっています。また、運転停止直後は室内の線量率が高いので、入室する際には放射線モニタで空間線量率の減衰を確認する必要があります。発生装置周辺には高線量率の場所があるため、測定レンジが広く数mSv・h-1まで測定可能な(4)電離箱サーベイメータを携行することが望ましいとされています。

また、放射線発生装置室内の空気は運転中に発生した中性子により放射化されていますので半減期が1.8時間の41Arが生成している可能性があります。
このことは試験でもよく問われており、過去問題でも実際に出題されていますので覚えておきましょう。

18Fは半減期が110分の(5)β+壊変核種である。その測定には陽電子消滅時に反対方向へ放出されるエネルギーが(6)511keVの消滅放射線を同時計数する方法が用いられています。β+壊変核種が消滅時に反対方向へ放出される2本の511keVの放射線陽電子放射断層撮影(PET)に利用されます。

陽電子放射断層撮影(PET)については生物や管理測定技術の試験でよく出題されています。本ブログの10月11日の記事(陽電子放射断層撮影(PET))でも解説していますので是非お読み下さい。 

本問題の類題として、過去問題では平成20年度管理測定技術問3Ⅰ、平成23年度管理測定技術問4Ⅰがあります。平成25年度管理測定技術問3ⅡでもPET核種が問われています。平成25年度管理測定技術問3Ⅰや平成27年度管理測定技術問3Ⅲではサイクロトロン室内での中性子による放射化が問題として出題されています。
平成30年度管理測定技術問3Ⅰでも同様の問題が出題されています。


放射線発生装置を使用する部屋では、
・インターロックの設置
・入室時の高線量率を測定可能なサーベイメータの携行
中性子が発生する室内では空気が放射化されて41Arが生成:40Ar(n,γ)41Ar
などは重要事項ですので抑えておきましょう。